『テレフォン人生相談』アイドルオタク50歳長男に「結婚してほしい」母親と子離れ

「息子にはおふくろみたいな女性と結婚してほしい」

　何を言っても、この相談者は納得がいかない様子だ。じゃあ、彼女は息子に一体どうなってほしいのか？

「私代わりにおふくろになってくれるような人に来て（息子と結婚して）ほしい。一緒になっていただける人がいないかなって」

　超気持ち悪いことをさらっと口にした相談者。自身のクローンを探し出し、生贄として息子にあてがおうとしている。SFじゃないんだから。

「だって、本人が歳とったときに誰に面倒みてもらうのか？　って」

「50歳の息子の老後の面倒みてくれ」と言って、来てくれる女性なんかいない。しかも、品定めする気まんまんの姑がいるのだ。「奥さんに介護してほしい」とか「アイドルにかまけて」とか、なかなかに昭和臭溢れる相談者である。でも、結婚したらしたで息子の奥さんにケチをつける展開も容易に想像できてしまう。果たして、彼女は次男の奥さんとの関係も良好なのだろうか？　心配だ。

　実のところ、意のままに動かせる同性の人間を欲しがっているのが本音な気もするのだ。息子には言えないことでも、女同士なら言える。つまり、息子だけでなく自分の介護もさせたいと考えているということ。広い意味で“奴隷”を求めている。でも、息子が結婚したら家を出ていく可能性は大きいはず。そこを相談者は想定できていない。子離れできていないし、息子を別個人といまだに認識できていない毒親ということである。

マドモアゼル・愛の助言「幸せな状況だと思うよ」

　この相談者の中で、50歳にもなろうかという息子はいまだに10代のままで止まっている。理由は、実家で同居しているから。逆に言えば、ひとつ屋根の下で暮らせている今に感謝するべきだと思う。本当だったら、こんな過干渉の母親は捨てられてもおかしくない。一緒に住んで帰ってきてくれるだけでもスペシャルなことだ。長男の責任で同居しているだけという事実に気付いてほしいのだけど……。マドモアゼル・愛からのアドバイスは以下だ。

「今がすごく幸せな状況だと思ったらどうかしら？　お母さんの今の立場を見るとお体もお健康そうだし、経済的に追い込まれてるわけでもないし、ちゃんとみてくれている息子さんも、とりあえずいい距離感でいるし。で、息子さんは『お母さんを捨てる』とか冷たい感じじゃなくて、淡々として仕事もちゃんとやっている。それぞれ経済的にも自立している。一番、変におもねる必要がなくてお互いすっきりしてるじゃないですか？　これは幸せな状況だと思うよ」

　今回の相談は、かなり緊急度低めの内容だった。寂しいから息子に介入し、依存したい。その訴えでしかなかったのだから。「将来が寂しくないように」と助言めいたことを息子に言っているが、結婚し、子どもを持っても老後の寂しさ解消とは無関係ということを相談者自らが体現してしまっている。

　長男の彼女を追い払ったり、「“息子のおふくろ”になってくれる人が欲しい」と言い出したり、ゾッとする告白が存分に聞けた今回。相談はまごうことなき杞憂であり、相談者こそ元凶というケースであった。自分寄りのアドバイスをもらえるだろうと期待していても、原因は自分にあるのだから無理。息子を思い通りにしたい欲もMAXで、タチはかなり悪かったと思う。久しぶりにキツい相談者だった。

寺西ジャジューカ（芸能・テレビウォッチャー）

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、（昔の）プロレス系。『証言UWF』（宝島社）に執筆。

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