トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 郷ひろみを50年追いかける91歳古参ファン

『家つい』郷ひろみを50年追いかける91歳の古参ファン「ひろみのファンじゃなかったら生きがいを失っていた」

41歳で15歳の郷ひろみに一目惚れし、それから50年間の推し活

 横浜駅前でスタッフが声をかけたのは、91歳の御婦人。どこかからの帰りのようだ。

「今、ディナーショー行ってきた。ひろみさんの。郷ひろみさん」

 というか、とても91歳には見えない。腰は曲がってないし、滑舌もいいし、まったくボケてもいない。やはり、好きなものがあると人は若くなれるのだろうか? スタッフは彼女の家について行くことにした。

 そんなこんなで、ご自宅へ到着。築30年の大きな一軒家だ。築30年ということは、定年後に建てた家ということ? 玄関を上がると、いきなり郷ひろみのポスターが貼ってあった。リビングには額縁に収まった郷ひろみのサイン入り写真も飾ってある。限定50枚のレア物で、彼女がゲットしたのはなんとシリアルNO.1のそれであった。

 とにかく、家じゅうが郷ひろみだらけなのだ。マウスパッドも郷ひろみだし、5万円で落札した郷ひろみの着用シャツもある。彼が実際に着たのだから、5万円は安いものだろう。しかも、特典でひろみとツーショット写真を撮ることもできた。

――袖は通しました?
「通さないよ(笑)。ひろみが着たものだから」

 さっきから、彼女は郷ひろみを「ひろみ」と呼んでいる。当然である。何しろ、ひろみを50年推し続けているのだから。

「(ひろみが)デビューしてテレビの歌番組を見たとき、好きになっちゃったんだよね。出たばっかりで、『あんな可愛い人、この世にいない!』と思ったもん。ひろみさんは15歳でしょ。ひろみさんがデビューしたとき、私40歳過ぎてたもん」

 41歳のときに、15歳のひろみに一目惚れした彼女。確かに、デビュー当時のひろみはありえないくらい可愛い。だとしても、時代性を考えるとスゴい。今なら10代のジャニーズを40代の女性が応援するのも普通だ。しかし、当時はめずらしかったと思う。それでもひろみに惚れ込み、50年後の今も現役という事実。男性ファンは推しを若いアイドルにコロコロ乗り換えがちだが、女性は1度ファンになると長い。今のジャニオタも、いずれはファン歴60年の古参になるのだろうか?

「コンサートのときは一緒にいろいろやったりさ。“A CHI CHI A CHI”、曲によって振りが違うんだよ」

「A CHI CHI A CHI」がイケる昭和一桁生まれは、元気すぎ! さらに、家にはひろみのレコードやテレカ、雑誌が綺麗な状態で保存してあった。

「最近のファンの人は持ってないよね」

 91歳のファンによるマウントは説得力が桁違いである。

「昔は結構、ひろみさんが出没するところに北海道から沖縄まで行ったりさ。80歳近くになってもうやめたけど、70代の頃はまだ結構飛び歩いてた(笑)。ひろみさんの前に行ったら緊張で口もきけないけど(笑)」

 50年も追っかけているのだ。おそらく、ひろみとは何度もツーショットを撮ったはず。きっと、ひろみから存在を認知されているとも思う。でも、推しの前に行くとしゃべることもままならない。だから、ステージ上のひろみを応援する。ある種、恋をし続けているようなものだ。これが若さにつながっているのだろう。推しのいる生活を続けると、90歳でも元気に若々しく過ごすことができる。それを彼女は証明している。

「(家の中は)ひろみだらけ(笑)」

 本当に家じゅうひろみだらけだ。台所に行くと、ひろみグッズの湯呑みが置いてあった。「ひろみの湯呑み」と韻を踏んでいるのがお洒落。冷蔵庫を開けるとひろみのフリーザーバッグがあったし、5時がGOになっているひろみの目覚まし時計もあった。痒いところに手が届く、郷ひろみのグッズ展開。それを全部買う彼女もいいファンだと思う。ひろみグッズだけで家のものが全部揃ってしまいそうだし、このVTRだけで筆者は一生分のひろみを摂取したような気がする。

 リビング隣の部屋には、ご主人との写真が飾ってあった。病院に経営のアドバイスをするコンサルの仕事をやっていたらしい。なんと、勲章「瑞宝双光章」ももらっているそうだ。下世話な言い方をすると、ご主人はすごく稼いでいた。そんな夫も8年前に肺がんで亡くなった。

――旦那さんはひろみさんファンってことは知ってたんですか?
「なんでも許してくれてたから。だから、優しいんだよね。私は本当に主人に感謝している。幸せですよ。贅沢をさせてもらえて、ありがたい」

 家庭を顧みずに仕事に集中する夫。でも、ひろみのことを想っていれば寂しさは紛れた。逆に言えば、奥さんの推し活をご主人は全面的に理解していた。遠慮なく楽しませてくれたのだ。

「ひろみさんのファンじゃなかったら私、本当に生きがいを失ってたかもしれない。つい最近、主人の妹が教えてくれたの。『(兄が)一生懸命働いているのは、少しでも遺してやりたいから』って。そうだったんだと思って、嬉しかった」

――これからの夢とか目標はありますか?

「コンサートに行って、立って応援するじゃない? どこまでついていけるかわからないけど、頑張りたい(笑)。今はまた、(ひろみも)素敵な男性になってるじゃない。自分の体をきちんとメンテナンスし、それは『ファンのため』って言ってくださるでしょ。だから、私たちもちゃんとしなくちゃって思う」

「推しへ使うお金は生命維持費」という言葉があるが、まさにこういうことなのだろう。生きがいである。そして、50年も夢を見させてあげられている郷ひろみも偉大だ。ひろみは芸能人の鑑だし、彼女はオタクの鑑だった。

今回は、趣味に人生を捧げる“熱狂的マニア”の特集であった。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

記事一覧

サイト:Facebook

てらにしじゃじゅーか

最終更新:2022/04/21 09:57
12
ページ上部へ戻る

配給映画