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スタンダップコメディを通して見えてくるアメリカの社会#27

バイデン反ワク派に痛烈ジョークも…大統領が晩餐会でコメディアンにいじられる米国

バイデン反ワク派に痛烈ジョークも…大統領が晩餐会でコメディアンにいじられる米国の画像1
バイデン大統領(写真/Getty Imagesより)

 4月30日、毎年恒例のホワイトハウス記者団主催の夕食会がワシントンDCで開かれ、バイデン大統領が出席した。毎年4月の最終土曜日に行われてきたこの晩餐会、始まりは1921年にまで遡り、1924年に当時のクーリッジ大統領が出席してからは現職の大統領が参加し、記者団の前でスピーチをするのが慣例となっている。この2年間はコロナ禍により中止となり、今回が3年ぶりの開催となった。

 また、現職の大統領の参加ということで言えば2016年のバラク・オバマ氏以来、実に6年ぶりのことだった。というのもトランプ前大統領は在任中「つまらないし、出席する意味が感じられない」と一度も出席してこなかった。その理由のひとつには自身がパーティーでイジられたくないから、というのが挙げられる。

 そもそもこのディナーには1983年からメインゲストとしてスタンダップコメディアンが招かれ、大統領の目の前で政権風刺のモノローグを行うことがお決まりとなっており、これまでにも名だたるコメディアンが大統領を容赦なくイジり倒し、会場を沸かせてきた。しかし2018年、トランプ不在の折、女性コメディアンのミシェル・ウルフが攻めすぎた過激なジョークで左右双方のメディアから顰蹙を買い、会の途中で複数の参加者が退席し、主催の記者クラブが謝罪コメントを出す事態にまで発展。翌年はコメディアンではなく歴史家がゲストとして呼ばれる異例の措置が取られた。

 そうした「コメディの危機」の中で、今年のゲストとして白羽の矢が立ったのがトレバー・ノアだった。南アフリカ出身の彼は、政治風刺コメディ番組『ザ・デイリー・ショー』の司会を2015年から務め、今まさに脂の乗り切った「アメリカの顔」ともいうべきスタンダップコメディアン。3年ぶりの開催に加え、4年ぶりのコメディアンの登場、そして6年ぶりの大統領スピーチとあって、メディアの注目も集まった。この日会場に詰めかけたのは2500人。

 トレバーが舞台に上がる前に、まずはバイデン大統領がマイクを握った。この日のバイデンは終始上機嫌。壇上に上がるや「今日この場所にいられて嬉しいよ! 今の私の支持率は42%だけど、それより国民から支持されていないだろう唯一の存在、つまりあなたたちメディアと一緒にこうしていられるんだから」。

 そう自身の支持率の低さを自虐したかと思うと「この晩餐会に初めて大統領が出席したのはクーリッジが最初らしいね。まぁ私はそのときもう上院議員だったけどね」と、高齢も自虐にし、会場には笑いが起こった。

 そして「テレビの前のワクチンに懐疑的なみんな。君たちが見ているFOXニュースのキャスターやスタッフたちは今日、この会場に入れてるってことは全員例外なく3回目のワクチンまで接種しているってことなんだ」と続けた。

 これには保守、リベラルどちらからも拍手と大きな笑いが送られた。最後にバイデンは、こういう。

「それじゃあ、今から素晴らしいコメディアン、トレバー・ノアにマイクを渡すよ!トレバー、君は今から私のことを好きなだけ罵倒していいんだ! いくらコケにしても、モスクワみたいに刑務所送りにはならないから」。

 久しぶりの大統領によるユーモラスなスピーチに、会場中がスタンディングオベーションで応えた。無論、このスピーチの裏にはプロのジョーク・ライターがいるが、それでもこうして6年ぶりに大統領が記者団の前でジョークを言う環境が戻った意味は大きい。

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