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スタンダップコメディを通して見えてくるアメリカの社会 #23

Spotifyからニール・ヤング音源引き上げ!ポッドキャストの未来を占う言論の自由と規制

文=Saku Yanagawa(サク・ヤナガワ)

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ジョー・ローガン(写真/Getty Imagesより)

 今アメリカで、あるポッドキャストの番組をめぐり大きな議論が巻き起こっている。

 その中心にいるのが「ポッドキャストの帝王」ことジョー・ローガン。80年代にボストンでスタンダップコメディアンとしてのキャリアをスタートさせた彼は、その後ロサンゼルスに拠点を移すといくつかのテレビ番組に出演し、2009年当時まだ一般的ではなかった音声メディア、ポッドキャストで自身の冠番組『ジョー・ローガン・エクスペリエンス』をスタートさせた。毎回、ゲストを招いて繰り広げられるこのトークショーは次第に人気に火がつき、今ではポッドキャストの代名詞と言われるまでに成長した。

 現在、アメリカでは1億4400万人がポッドキャストを常用的に聴くとも言われており、まさに人々の「生活の一部」となった。またほとんどのスタンダップコメディアンが自身のポッドキャスト番組を持ち、自身の「名刺」として表現活動を展開している現状もローガンの功績によるところが大きい。

 放送開始から13年目を迎えるこの番組は、一週間で世界中の実に1100万人によって聴かれているとも言われている。大手ニュースメディアのCNNですら一日の視聴者が約80万人であるから、当番組がいかに「メディア」としても強大かわかるだろう。広告費も桁違いで、経済誌『フォーブス』の調べによると、2020年時点で1エピソードあたり3000万円の広告収入があり、年間通してみると約33億円の収入であったことになり、ローガンは右に出る者のいない「世界一稼ぐポッドキャスター」として君臨してきた。そして、20年5月には音声ストリーミングサービスの「Spotify」と独占契約を結び、その契約金はなんと110億円にも上ったと言われている。

 そんなローガンは、時に粗野な物言いで、忖度とは無縁な、言いたいことを真正面から届ける芸風で知られている。そしてUFC(総合格闘技)のコメンテーターも務め、男性ファンが非常に多いのも特徴だ。

 4,5時間を超えることもある『ジョー・ローガン・エクスペリエンス』は長距離運転者からも多く愛され、「トラック界のカリスマ」とも言われている。先日、ワクチン接種義務をめぐる抗議活動で、カナダに多くのトラック運転手が集結したが、その際もローガンのペナントを持参する人々がカメラに数多く映されていた。

 今回の物議の発端となったのは、21年の大晦日の放送。『ジョー・ローガン・エクスペリエンス』にゲストとして招かれた医師のロバート・マローン氏の発言だった。彼は、初期のmRNA技術の開発研究に携わったのだが、現在ではワクチン接種が新型コロナウィルスへの感染のリスクを高めるという主張を展開し、反ワクチンの立場を取っている。

 この一連の発言が元で、ツイッターからもアカウント凍結の処分を受けていた。そんなマローン博士をゲストに呼んだ番組内で3時間に渡り、ふたりはワクチンの効果や、その必要性について意見を交わしたのだが、博士は「コロナは各国のリーダーが仕掛けた集団催眠だ」と繰り返し、あろうことか各国政府のコロナ対応をナチスの台頭、そしてホロコーストになぞらえて解説した。

 ちなみにローガン自身は「反ワクチン」の立場は取っておらず、その安全性にも確信を持っていると度々発言してきた。しかし、若者の接種の必要性に関しては一貫して懐疑的な立場を崩さずにいる。そしてマスクなどの着用にも疑問を投げかけ、長年住んだロサンゼルスを離れ、比較的コロナへの規制が緩いテキサス州へ移住していた。

 この回が放送されると、「ワクチンに関する誤情報を拡散させている」とたちまち抗議運動が起こり、医療関係者270人が連名で抗議の書簡をSpotifyに送りつけるという事態に発展した。

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