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『関ジャム』令和世代のベストソング4位にフジファブリック、2位にキリンジが入った衝撃。昭和世代ライターがその理由を考察

文=寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

1~10位。令和世代は“ORANGE RANGE世代”か?

 いよいよ、ランキング1~10位までの結果を。

1位:宇多田ヒカル「Automatic」
2位:キリンジ「エイリアンズ」
3位:サザンオールスターズ「真夏の果実」
4位:フジファブリック「若者のすべて」
5位:SMAP「世界に一つだけの花」
6位:BUMP OF CHICKEN「天体観測」
7位:椎名林檎「丸の内サディスティック」
8位:宇多田ヒカル「First Love」
9位:ORANGE RANGE「ロコローション」
10位:Official髭男dism「Pretender」

 10位のOfficial髭男dism「Pretender」は、冒頭に記した「J-POP20年史 プロが選ぶ最強の名曲ベスト30」で1位だった。平成31年(2019年)4月17日に配信、令和元年にCDリリースとのことで、“平成ソング”か否かはかなり微妙だが、曲の完成度は間違いなく高い。ここ数年のJ-POPを代表するヒット曲といえば、米津玄師「Lemon」とKing Gnu「白日」、そして「Pretender」の3曲だと思う。あと、昨今のバンドの男性ボーカリストは一様にキーが高い印象を受けるが、その代表選手はヒゲダン・藤原聡だという気がする。

 9位のORANGE RANGE「ロコローション」はある意味、「マツケンサンバⅡ」のランク入りより驚いた。この手の企画にありがちな、定番曲にばかり偏る内容にならなかったのがいい。当たり前だが、思春期に触れた曲が強くなるということ。間違いなく令和世代には刺さったと思うし、「ロコローション」のキャッチーさは異常である。この曲が18年も前のリリースなんて、アラフォーからすると本当に驚きだ。

 8位には、宇多田ヒカル「First Love」がランクイン。番組内で紹介されたのは、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)の映像だった。宇多田ヒカルの生歌を初めて見られる機会として、このときのMステはかなり注目されていた。同曲を収録したアルバム『First Love』の売り上げは767万枚で、国内歴代アルバムセールス1位の記録を樹立している。もう、この記録が抜かれることはないだろう。そういえば、『うたばん』(TBS系)で“好みのタイプ”だった岡田准一に対し「お金ならあるわよ」と彼女が口にしたのも、確かこの頃だったと思う。

 6位にはBUMP OF CHICKEN「天体観測」がランクイン。正直、この曲は3位以内には入ると思っていた。直撃世代にとって、BUMPこそ“時代を代表するバンド”と認識されているはずだ。いまだファンとアンチが存在しているという事実も、このバンドの影響力を表している。2002年には、挿入歌がほとんどBUMPの楽曲だった『天体観測』(フジテレビ系)というドラマも放送された。

 5位にはSMAP「世界に一つだけの花」がランクイン。「どんなときも。」「チキンライス」に続き、槇原敬之としては3曲目のランクインだ。「世界に一つだけの花」は300万枚を売り上げ、嵐でさえSMAPの売り上げを抜くことは叶わなかった。ただ、SMAPのシングルとして楽曲の魅力がそこまで強いかというと疑問。音楽的には、「夜空ノムコウ」「オレンジ」「SHAKE」等のほうが間違いなく上である。これが世代感ということなのだろう。

キリンジとフジファブリックは、いつの間にJ-POPの名曲になったのか?

 さて、今回のランキングはここから流れがガラッと変わった。

 4位にランクインしたのは、フジファブリック「若者のすべて」である。テレビを見ながらぶわっと鳥肌が立った。こんな上位にフジファブリックが入るとは。

 リリース当時、「若者のすべて」がそこまで取り沙汰されていた記憶はない。なぜ、今さら「若者のすべて」が令和世代にウケているのか? まず、BANK BANDがカバーしたという事実が挙げられると思う。ドラマ『SUMMER NUDE』(フジテレビ系)で使用されたのも大きいはずだ。しかも「若者のすべて」は今、音楽の教科書にも載っているそうだ。

 そしてやはり、ボーカルの志村正彦が他界したという事実が大きいはずである。志村の不在により、曲そのものが神格化されている。「志村が生きていたとき、どれほどの人がこの曲を評価していたのか?」と少し複雑な気持ちにもなるが……なんだかんだ、この曲が上位に入ったという事実は嬉しい。楽曲単体で見ても悲しくなるくらいの名曲だ。志村が他界した後、ロックフェス「COUNTDOWN JAPAN」で椎名林檎が涙をこらえながら「ありあまる富」を歌っていたのは有名なエピソードである。

 そして、2位にはまさかのキリンジ「エイリアンズ」がランクイン。どんなランキングなのか、これは!? キリンジが2位に入る音楽番組なんて初めて見た。イキりすぎではないのか? 紛れもなく名曲だが、「エイリアンズ」が平成の2位とは……。

 理由を考察したい。まず、『関ジャム』で「エイリアンズ」は何度も紹介されている。この番組の中で異常に流行っている曲だ。2019年には、LINEモバイルCMで能年玲奈も「エイリアンズ」を歌った。そして、最も大きいのはYouTubeによる浸透だろう。YouTubeで「エイリアンズ」を視聴すると、コメント欄に外国人からのコメントが相次いでいるのがわかる。加えて、今の若い世代に「エイリアンズ」のマッシュアップが流行っているらしい。2000年にそこまで「エイリアンズ」を耳にした記憶は、筆者にはない。国の壁、時の壁を越え、ここ数年間で「エイリアンズ」は浸透したのだ。

『関ジャム』だから、「エイリアンズ」はランク入りすると予想はしていた。でも、10位以内はないと思っていた。フィッシュマンズやハナレグミを抑え、キリンジが2位である。今、キリンジは昭和世代にとってのムーンライダーズみたいな存在なのだろうか。

 今回のランキングを改めて見返してみると、宇多田、スピッツ、サザンの楽曲が2曲、槇原敬之の楽曲が3曲、椎名林檎(東京事変含む)の楽曲が4曲ランク入りしている。その一方、若手に神格化されていると思っていたナンバーガール、ゆらゆら帝国、Hi-STANDARDはランクインしていない。小室ファミリーとビーイング系、そして“平成の歌姫”と呼ばれた浜崎あゆみは跡形もない。ゆずやORANGE RANGEは入っているが、CD売り上げがぶっちぎりのB’zも入っていない。モー娘。は入っているけれど、AKBも入っていない。

 そして、サザンやスピッツは上位にランクインしたが、ミスチルは41位の「Sign」だけなのだ。今の10~20代にミスチルは刺さっていないというシビアな現実を、まざまざと見せつけられる結果でもあった。そして、「こんなに万人ウケするバンドはミスチル以来か?」と思わされるヒゲダンは、10位にランク入りした。

 今回は「最強平成ソングベスト30」という企画だったが、これが令和になるとおそらく藤井風が上位にくるのだろう。J-POP史の覇者の移り変わりを映し出す、かなり興味深い企画だった。

寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2022/05/15 23:01
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