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『真空ジェシカ』が削られず「初志貫徹」できるテレビ

文=檜山 豊(ひやま・ゆたか)

『真空ジェシカ』が削られず「初志貫徹」できるテレビの画像1
真空ジェシカ プロダクション人力舎 公式サイトより

「初志貫徹」

 初めに決めた志を最後まで貫き通したり、持ち続けるといった意味で使われる四字熟語だ。

 この言葉は「どんな困難も初志貫徹で乗り越える」や「初志貫徹の精神で粘り強くやり通して成功した」など基本的に良い意味で使われることが多い。なので自分の座右の銘を「初志貫徹」にしている人も少なくないだろう。

 しかしこと芸能界において、この初志貫徹が出来ている人は多くないと僕は思う。その理由としては「初志貫徹」より、対義語の「臨機応変」の方が重要であり重宝されるからだ。

 とくにお笑いの世界は初志貫徹をするのが難しい。今は『M-1グランプリ』や『おもしろ荘』『ネタパレ』などで、ネタをきっかけに世に出てくる芸人が多い。“テレビのいろは”がわからない状態でテレビに出始め、自分たちの力量を見せようとがむしゃらに目立ちに行く。そこで誰かに怒られたり、先輩の偉大さや個人プレイより強力プレイが重要だと気づき、尖っていた爪や牙が削られる。最近『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でアルコ&ピースの平子さんが、プロデューサーに怒られて成長したと話しているように、これはほとんど芸人が経験していることで、自分たちの牙や爪を丸められたり、天狗の鼻を折られたりしてからが本当のスタートであり、そこからいろんな経験を積んで一人前の芸人へと成長していくのだ。

 そんな流れが当たり前のお笑い界で、その流れに逆らって「初志貫徹」している芸人がいる。それは「真空ジェシカ」だ。

 彼らを知ったのはたぶん多くの人と同じだと思うが昨年行われた『M-1グランプリ2021』の決勝戦。正確に言うと、ファイナリストが発表された記者会見だ。ツッコミのガクさんはやや緊張した面持ち、ボケの川北さんは「もっと猫らしくありたい」という電子文字が流れる黒いマスクをし、頭から『お前を消す方法』でお馴染みだったWindows懐かしのofficeイルカをぶら下げて登場した。

 麒麟の川島さんからコメントをふられた川北さんは、その格好とは真逆で「準決勝に来るのも僕らはじめてだったんで、決勝に行けるわけないと思っていたので嬉しいです」と真面目なコメント。これはスカシというボケの形なのだが、彼らを知らない視聴者やほかの芸人からすると違和感を感じてしまう。しかしそこはMCの川島さんがさすがのツッコミを入れ、笑いを起こした。

 すかさずここぞとばかりにガクさんが「出てるよ、いるか」と振り、川北さんが「すみません、さっき待ち時間にエクセルいじってたらイルカ出てきちゃって……」と。見事に自力で会場のウケをとったのだ。今まで準決勝にも出場したことのないコンビがこれだけ、ボケを重ねるのはとても勇気がいること。それを見事に成し遂げたのはかなり凄い。

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