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今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識⑭

『トイ・ストーリー』にピクサーが込めた隠しメッセージ

『3』のテーマは“子供のおもちゃ離れ”

 ディズニーの完全子会社となってから数年後に発表されたのが『トイ・ストーリー3』だ。『3』はシリーズの完結編という位置づけで、大学生になったアンディが親元を離れて大学寮に入ることに。そこで起きることは「子供のおもちゃ離れ」だ。17歳になったアンディはダンボールにしまい込んでいたおもちゃたちをどうするかの決断を迫られる。この歳になっておもちゃの人形遊びでもないので、捨てるか、人にあげるか。アンディはどちらも選ぶことができず、多くを屋根裏部屋にしまうという選択をする。ただし、お気に入りのウッディだけは大学寮に持っていくことに。

 そんなところにしまっても結局、大人になっていくうちにしまったことも忘れて親に粗大ごみの日に捨てられるだけだよ! で、「なんで捨てたの! まだ必要なんだよ」「いらないから置いていったんでしょ!」と、醜い親子喧嘩をする羽目になるんだよな~って誰の話をしているんだ。

『トイ・ストーリー3』も手違いで、屋根裏部屋行きの人形たちがゴミに捨てられてしまう。からくも逃げ出したアンディのおもちゃたちは、近所の保育園へ寄付される箱に潜り込むのだが、保育園の年少組の子供たちはおもちゃを噛んだり舐めたり鼻の穴に突っ込んだりしたりと、乱暴の限りを尽くす。おもちゃを大事に扱う年長組のほうにいかせてほしいと願うおもちゃたちだが、保育園のおもちゃたちを恐怖で支配するピンクのクマぬいぐるみによって、おもちゃたちは監禁されてしまうのだった。

 子供のおもちゃからの卒業と自立を、これ以上ない完璧なラストで終わらせた本作は高く評価され、前年度のピクサー作品『カールじいさんの空飛ぶ家』に続きアカデミー賞の長編アニメーション部門を受賞しただけでなく、なんと作品賞にノミネートした。

 そしてピクサーは映画に隠しメッセージを込めた。

 保育園のおもちゃたちを恐怖支配しているクマのぬいぐるみ、ロッツォはある少女の元で可愛がられていたが、ピクニックに行った帰り、ぬいぐるみたちを置き忘れてしまった。ロッツォらは自力で家に戻ったのだが、彼が見たのは新しいロッツォを買ってもらって喜んでいる少女の姿だった。「子供はおもちゃを大事にしない」「いつか無残に捨てられる」と性格を歪めることになってしまうのだが、その少女の名前がデイジーといって、なんだかディズニーに似てるなと思うのは気のせい?

 ピクサーがディズニーの思惑に振り回された挙句、結局子会社化されたように「スタジオを自分のおもちゃだと思って好き放題しやがって~」という少なからず怒りのメッセージが込められてる……ってところまで感じたのは、考えすぎかな!

しばりやトーマス(映画ライター)

関西を中心に活動するフリーの映画面白コメンテイター。どうでもいい時事ネタを収集する企画「地下ニュースグランプリ」主催。

Twitter:@sivariyathomas

しばりやとーます

最終更新:2022/06/17 12:30
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