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今週の『金曜ロードショー』を楽しむための基礎知識⑭

『トイ・ストーリー』にピクサーが込めた隠しメッセージ

『トイ・ストーリー』にピクサーが込めた隠しメッセージの画像1
金曜ロードショー『トイ・ストーリー』日本テレビ 公式サイトより

 ピクサー・アニメーション・スタジオの人気アニメ『トイ・ストーリー』シリーズのスピンオフ『バズ・ライトイヤー』が、7月に公開されるのを記念して今週の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)はシリーズ第三弾にして最高傑作とも言われる『トイ・ストーリー3』を放送します。

『トイ・ストーリー』は世界初のフルCGアニメ映画として1995年に公開。前年度にはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが『ライオン・キング』を世界中でヒットさせており、「世界に誇るディズニーアニメ」のイメージが強く植え付けられている時代に、元ディズニーのアニメーターだったジョン・ラセターが監督としてルーカスフィルムから独立したピクサーで『トイ・ストーリー』を発表。おもちゃの人形が実は命を持っていて、子供の見ていないところで自由に動き回り、言葉を話すというおとぎ話。

 アンディ少年のお気に入りはカウボーイ人形のウッディ。背中についた紐を引っ張ると言葉を話す仕掛けがある。アンディは人形遊びが大好きで、主役はいつもウッディだった。しかし誕生日のプレゼントに両親がおくったのは子供たちの間で大人気の最新型宇宙飛行士人形、バズ・ライトイヤー。電池を使用してライトが光ったり、宇宙飛行用の翼が飛び出したりするなどのギミックが随所にある。アンディはその日からバズに夢中になり、人形ごっこの主役はバズに取って代わられウッディは「バズに倒される悪役」の地位に落ちてしまう。

 それが気に入らないウッディは「アンディのお気に入り」の地位を取り戻そうとし、アンディの引っ越しに乗じて机の裏に突き落としてやろうとするのだが、それがきっかけで仲間のおもちゃ人形たちに白い目で見られるように。外で喧嘩沙汰になったウッディとバズは、道に放り出されたところを近所の悪ガキに捕まってしまう。二人は大冒険の果てに仲直りし、アンディの家に戻り仲間たちと再会する。

「新しいおもちゃが来たことで、古いおもちゃが立場を失ってしまう」

というお話は当時からディズニーとピクサーの事を表していると言われていた。

 ピクサーの『トイ・ストーリー』、そしてスタジオが作り出すフルCGアニメの登場によって、ディズニーアニメは一瞬にして光を失った。ピクサーが『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』『カーズ』といった長編を(しかもシリーズにして)ヒットさせていくのに比べ、ディズニーは小ヒットに留まったり、酷評されることが続き、凋落が目に見えて明らかになる。

 ピクサーとディズニーは共同制作という形を続けていたが、やがてピクサー関連の売り上げがディズニーの半分近くを占めるようになると両者の関係は拗れだし、決裂寸前までいった。バズを蹴落とそうとしたウッディのように、ディズニーはピクサーを放り出すのか? しかしドル箱スタジオとなったピクサーを手放すことは当時のディズニーにはありえない選択だった。結果、ディズニーはピクサーを完全子会社化することになり、ディズニーからの経済的自立を望んだピクサーの夢は叶わなかった。

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