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『炎のデス・ポリス』警察署内でポリスが積極的にデスりまくり!に引き込まれる

『炎のデス・ポリス』警察署内でポリスが積極的にデスりまくりに引き込まれるの画像1
C) 2021 CS Movie II LLC. All Rights Reserved

 7月15日より『炎のデス・ポリス』が劇場公開されている。本作の魅力は「公式が全部言ってくれている」ので、そちらから紹介しよう。

映画のスピリットを存分に汲み上げた名邦題

 まず、邦題が素晴らしい。『Copshop』という原題を大胆に変えた、この良い意味でバカっぽくてエクストリームでもある印象が、ブラックコメディ的とも言える内容に最大限にマッチしていた。しかも、劇中に燃え盛る炎がちゃんと出てくるし、警察署内でポリスたちは積極的にデスりまくるので全く嘘偽りはない。映画のスピリットを存分に汲み上げた、近年稀に見る名タイトルだ。たぶん『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)も意識しているのも微笑ましい。

 その他、日本の公式の触れ込みが「どいつもこいつもゲス野郎」「プロの殺し屋vsワケあり詐欺師vsイカれたサイコパスvs正義感溢れる新米警官」「砂漠の小さな警察署が一夜にして戦場と化すバイオレンス・アクション!」など、映画の魅力を凝縮した見事な文言ばかり。予告編のナレーションを若本規夫が担当していること(特に最後の一言の言い方が最高)、BGMがワーグナーの「ワルキューレの騎行」というのも理解(わか)りすぎている。

 そんな「公式が最大手」な状況なので、「特にこちらから言うことはありません、これらにビビッと来る方は映画館で観てください、以上」という気持ちにもなりかけるが、それはさすがに申し訳ないので、さらなる魅力を記していこう。

序盤から監督・脚本・俳優の演技の三本柱が見える

『炎のデス・ポリス』警察署内でポリスが積極的にデスりまくりに引き込まれるの画像2
C) 2021 CS Movie II LLC. All Rights Reserved

 本作は『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(2010)や『コンティニュー』(2020)などのジョー・カーナハン監督最新作だ。

 わかりやすい娯楽アクション映画を多く手がけているようでいて、シリアスかつ重圧な演出にも定評があり、作品内でコメディ要素が打ち出されていたとしても、どこか生真面目さも感じさせる作家であるように思う。

 本作も「警察署内でクセ者たちがバトルロイヤル! 生き残るのは誰だ!?」という一行で説明できるくらいシンプルな内容ではあるが、そのアイデアだけで面白くなるというわけでもないだろう。やはり映画の真の面白さは、監督の手腕、(カーナハン監督が共同で手がけている)脚本の出来、そして俳優の演技にかかっている。

 その点については、まず「2人の男が向かい同士の牢獄に入る」という序盤のシチュエーションから、もう最上級のものが届けられていた。 何しろ、ジェラルド・バトラー扮する見るからに危険な男と、フランク・グリロ演じる掴みどころがなく信用がおけない男が対峙する。お互いが暴力をふるえるはずもない鉄格子の中にいるのだが、その言葉の端々から敵意または戸惑いが伝わってくるし、一触即発の「殺し合いになるかもしれない(実際になる)」緊張感に満ち満ちている。

 まさに監督・脚本・俳優の演技という三本柱があってこその面白さに満ち満ちているのだ。

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