木下優樹菜反論で別の見え方も…田村淳「チャンネル出演辞退暴露」の向こう側

芸能界には隠蔽体質がある

　とても長い前振りになってしまったが、今回なぜこの動画のやり取りをコラムの題材に選んだのかというと、タレント自身が自分の身を守る時代になったのだと感じたからだ。

　正直、芸能界に“隠ぺい体質”が存在することは間違いない。若手タレントやアイドルがやっているブログや、TwitterなどのSNSは、事務所が管理し、投稿する画像や文言はマネージャーに精査されている。本人の意のままに投稿出来ていることは100％ない。芸人はそのあたりは比較的緩いが、全タレントに共通して言えるのは、自分の身を守る為の発言は自分の一存ではできないということだ。

　木下さんも動画内で、タピオカ騒動の時について「記者会見だってしたいって言ってたの。でもいろんなことがあって、できなくなってたりもしてたし」と発言していたり、あの宮迫博之さんも、今の現状になるきっかけになった反社騒動の時について「本当はもっと早く謝罪したかった」と述べている。タレントは、自身がやりたいタイミングで記者会見はできないのだ。やるのは後手後手に回って、身動きが取れなくなってから。それもこれも謝罪をしたら罪を認めてしまい、今までのように活動できなくなる。何とか隠ぺいできないか、と事務所が画策し、どうしようもなくなったタイミングで記者会見を行うから、そうなってしまうのだ。

　今回の淳さんと木下さんのやり取りはそこまで大ごとではないが、タレントが自分の意見や考えを発信できる時代になったというのが、垣間見えたのではないだろうか。

　一部のタレントを除き、芸能事務所のヒエラルキーは、事務所が上でタレントが下である。自由な発言もできなければ、間違いを訂正することもできない。若手芸人だった頃の僕ですら、不自由を感じていたほどだ。もしかしたら、タレントが若さゆえに暴走したことが過去にあったから、そうなったもかもしれない。だが、タレントが所属事務所を辞めフリーになったり、エージェント契約になったり、木下さんのように元タレントという肩書で活躍することができる時代になった今、芸能事務所がこれまでのような保守的なやり方でタレントを縛り付けておくのは難しくなる。

　タレントが変化する時代になったということは、芸能事務所も悪しき風習に縛られず、新たな改革が必要なのかもしれない。

檜山 豊（元お笑いコンビ・ホームチーム）

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』（フジテレビ系）や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか