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中村倫也『石子と羽男』で新たなハマり役! 視聴者を“沼”に落とす羽男のギャップの魅力

中村倫也『石子と羽男』で新たなハマり役! 視聴者を“沼”に落とす羽男のギャップの魅力の画像
Paravi配信ページより

 さまざまな役柄でファンを魅了してきた中村倫也が、また新たなハマり役を得たようである。

 今期最注目となっているTBS系金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』。リーガル・エンターテインメントを謳うこのドラマは、扱うテーマは時事ネタも取り入れた社会派でありながら、テンポの良いコメディ感はライトな視聴者にもウケがよく、見逃し配信サービス「TVer」の再生回数はあいかわらず好調で、視聴率も上昇傾向にある。そんな人気ドラマの看板を、有村架純とともに担っているのが中村倫也だ。

 中村が演じる羽根岡佳男(通称「羽男」)は、「石子」こと石田硝子(有村架純)の実家である、町の法律事務所で働くことになる高卒の弁護士だ。見たものを写真のように記憶できる「フォトグラフィックメモリー」という能力の持ち主で、司法試験に一発合格したものの、想定外の事態に弱いことがコンプレックス。その弱点を隠そうと、ブランディングと称して自身を“天才弁護士”に見せようと余念がなく、そのさまは一見ふざけていて滑稽にも見えるが、次第に地道な努力家であることの現れであることが分かってくる。話数を重ね、羽男が“鎧”を脱ぎ捨て石子に弱さを見せたときの人間味や、なんとも肩の力の抜けたラフなリアクションが格別なのだ。

 SNSでは「中村倫也が毎週、良さみを更新しててつらい」「羽男が沼すぎる」「石子と羽男の中村倫也、あまりにも良すぎる……これがリアコってやつかよ……」「今までのベストオブ中村倫也は『アヲイホノオ』の赤井くんだったけど『石子と羽男』の羽根岡先生に更新されそう」「羽男で沼る人増えそう」など、話数を重ねるたびに中村への賞賛が集まっている。

 中村がこれまで演じてきた役柄は、TBSが制作するドラマだけでも、イケメン社長から優男までさまざまだ。恋愛ドラマを扱う火曜ドラマ枠では、2020年の森七菜主演『この恋あたためますか』にコンビニチェーンの若手社長・浅羽役で出演。相合傘や壁ドンなど、少女漫画的な王道シチュエーションをすべて叶える勢いでファンを沸かせていた。また『石子と羽男』と同じ金曜ドラマ枠で2019年に放送されていた『凪のお暇』では、中村は凪(黒木華)の隣人・安良城ゴン役に抜擢。ゴンは優しくそばにいると居心地がいいが、離れた人間に対しては誠実さに欠ける人物。付き合う人を軒並みダメにしてしまい、作中では「メンヘラ製造機」とも称される中毒性のあるキャラクターを魅力的に演じていた。

 それらを上回るとも言われているのが、羽男である。8月12日に放送された第5話でも、羽男の魅力は冒頭10分だけでも存分に散りばめられていた。塩崎(おいでやす小田)の紹介で「隣家の梅の木が自宅にまで伸びていて、毛虫が大量発生して困っている」という重野(中村梅雀)の自宅を訪問した石子と羽男。まずはご近所トラブルの元を確認しようと石子は淡々と写真を撮るが、羽男は虫が苦手な様子。写真を見せようとすると「虫ハラ!」と言って嫌がり、石子が「あっ、虫」と肩を指すと、「ふぁっ」と一段トーンの高い声を上げてビビる。事務所に戻ってからの、綿郎(さだまさし)と大庭(赤楚衛二)が話すうしろにさりげなく映る羽男の姿も必見だ。棒アイスを片手に事務所に置かれたトランポリンで弾み、アイスを頬張ると冷たすぎたのか、眉間にシワを寄せて頭を押さえていたりと、自然なかわいらしさが随所に滲んでいる。

 かと思えば、石子が体調を悪くしていることに誰よりも早く気づき、“外回り”の調査業務から外そうと気を遣う。その伝え方こそ、「君、もういいよ」「出しゃばりすぎじゃない? 君、パラリーガル」「事務所で経理でもやってて」とぶっきらぼうで誤解を招くものだったが、休めと言ってもすんなり受け入れなさそうな石子の性格を考えてああいう言い方をしたのだという真意に、石子とともに視聴者も思わずグっときたはずだ。石子が「ちょっと変わりましたね、先生」と言うと、照れ隠しなのか、「は? あ、服とか髪とか?」とトボけるのも“羽男らしい”。

 石子に片思いする大庭から「前に、石子先輩のことをどう思ってるか聞かれましたけど。俺、石子先輩のことが好きです!」とストレートに明かされた際も、羽男の魅力が溢れていた。「そう」「で、なんでそれ俺に教えてくれたの?」と優しげに微笑み大人の包容力を見せた羽男。ふたりを穏やかに見守るスタンスかと思いきや、「いつ言うの? いつ言うの?」「言ったら教えて?」と大庭の告白宣言に食いつく。告白したら鼻を触ってサインを出すと伝えた大庭がその後、何気なく鼻を掻いた際には、目を丸くして「そうなの?」「今のこれ、そういうこと?」と勝手に浮き足立ち、大庭が「ホントに違くて!……でも違うとも言い切れないか」と曖昧な否定をすると、まるで女子高生が乗り移ったかのように高い声で「意味深~何それ? どっち?どっち?どっち? ね? ちょうだい!」とハイテンションで質問攻めするのだ。

 このように、しっかりした大人でありながら、不意にキュートな素を出してくる羽男のギャップには引き込まれるものがある。視聴者たちが「リアコ(「リアルに恋する」の略語)」と形容してしまうのも大いに頷ける。

 今夜放送の第6話で、ドラマは折り返し地点となる。今後も視聴者をますます虜にしていきそうな羽男に注目だ。

■番組情報
金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー
TBS系毎週金曜22時~
出演:有村架純、中村倫也、赤楚衛二、おいでやす小田、さだまさし ほか
脚本:西田征史
音楽:得田真裕
主題歌:RADWIMPS「人間ごっこ」(Muzinto Records / EMI)
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山本剛義
編成:中西真央、松岡洋太
製作著作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ishikotohaneo_tbs/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/08/19 12:00
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