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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.706

阿部サダヲ主演の痛快コメディと思いきや…孤独死を描く『アイ・アム まきもと』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

阿部サダヲ主演の痛快コメディと思いきや…孤独死を描く『アイ・アム まきもと』の画像1
「おみおくり係」の牧本役を阿部サダヲが演じる

 阿部サダヲ主演のコメディ映画といえば、水田伸生監督と組んだ『舞妓Haaaan!!!』(07)や『謝罪の王様』(13)が共に興収20億円を超えるヒットになったことが思い出される。その2人の最新タッグ作『アイ・アム まきもと』の公式サイトを覗くと、そうしたヒット作を連想させる賑々しい予告動画が並んでいる。だが、「大笑いさせてくれそうだな」と思って劇場に足を運んだ人は、戸惑いを覚えることになるだろう。

 宮藤官九郎の脚本作『舞妓Haaaan!!!』や『謝罪の王様』は超ハイテンションなコメディだったが、本作は英国映画『おみおくりの作法』(13)が原作であり、「孤独死」がテーマとなっている。劇作家であり、『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』(日本テレビ系)や『13歳のハローワーク』(テレビ朝日系)などのテレビドラマも手掛けた倉持裕がリメイク脚本を担当。無縁化が進む現代社会の問題点を見据えた、シニカルな笑いとペーソス感のある社会派ドラマが展開されていく。

 地方都市を舞台にした日本版の主人公は、小さな市役所の福祉課に勤める牧本壮(阿部サダヲ)。牧本はひとりで「おみおくり係」を任されており、市内で孤独死があったという報告を警察から受けると、現場へと赴く。白い作業着に着替え、鼻の下にメンソレータムを塗るのが彼のルーティンワークだ。死後数週間が経った遺体は身元不明な場合もあり、牧本は遺品の中から手掛かりを探し、遺族や知人たちへの連絡を試みる。

 孤独死を遂げた故人の中には家族や親戚との交流を絶ち、ご近所付き合いすらまったくなかった人が少なくない。遺骨の引き取りを拒み、葬儀への参列も嫌がる遺族もいる。死ぬときもひとり、死んでからもひとりぼっち。そんな故人のために、牧本は簡素な葬儀を行なってから、火葬場へと向かう。ちなみに火葬代は市役所持ちだが、葬儀代は牧本の自腹である。

 引き取り手のいない遺骨は「無縁仏」として納骨され、「無縁墓地」に合祀されるわけだが、牧本はギリギリまで遺骨の引き取り手が現れるのを待っている。そのため、市役所の牧本のデスク周りは、骨壺を収めた桐箱だらけだった。牧本の一途さが、周囲との軋轢を生むことになる。

 コメディはコメディだが、さすがに劇場で大笑いするのは難しいだろう。(1/3 P2はこちら

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