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アメトーーク「中学イケてない芸人」はもう時代に合わない?令和テレビの“イジり”の許容度

なぜ令和の「中学イケてない芸人」は盛り上がらなかったのか?

 高校時代はラグビー部だった平子。それ以前、中学時代に彼はテニス部へ入部したようだ。

「2年生にも3年生にも、小学校時代は“いいお兄ちゃん”として友だちのように遊んでた人が先輩でいるんですよね。小学校時代は普通に『○○君』って対等に遊んでた人が、中学に上がると急に先輩になるわけじゃないですか。で、小学校のときのテンションで『○○君~』ってしゃべってたら、『敬語使えよ』って。急に、中学校になったらそのテンションになって。僕、家帰ってあまりのショックで泣いて、その日にテニス辞めて、まったく同じ理由でテニス、陸上、バスケ、バレーボールを辞めました」(平子)

 あと、他の番組で本人が明かしていたが、バスケ部ではもっと散々だったらしい。入部に際し、祖母に買ってもらった新品のバスケットシューズで練習に臨むも、一週間後にはいたずらで靴を壊されるという憂き目に遭っているのだ。

 芸人として売れたのに、どこか悲しみの雰囲気を背負い続けている平子。彼が語るエピソードは、どれも鮮明すぎる。忘れられないのだろう。人間、暗い気持ちはいつまでも引きずり、楽しい記憶はすぐ忘れるものだ。

 今回のシーズンⅡ、つまらなかったというわけではないが、企画としていまいち跳ねなかった。シーズンⅠに出た芸人のセレクトが充実していたというのもあるが、シーズンⅡは内容が暗くてどうも笑えなかったのだ。

 こういう企画はある程度、若い芸人のノリで突っ走らないと重たくなってしまうし、「どこまでが“イジり”の範疇で、どこからがアウトなのか」の許容度も14年前と今とでは大きく異なる。倫理的にひどいエピソードを笑い飛ばし、バラエティとして昇華するあの頃の風潮はもう通用しづらくなった。令和のテレビの現実として彼らを思い切りイジれないし、1軍側の笑い役として機能した宮迫博之の不在もなにげに大きかったと思う。

 そして繰り返すが、今回は「イケてない」より「いじめられていた」がテーマに据えられた感があったのだ。博多大吉やサバンナ高橋のような絶妙なエピソードを用意していた芸人が、シーズンⅡにはほぼいなかった。

 今回の『アメトーーク!』放送後、鬼越トマホークは自身のYouTubeチャンネルで本放送ではできなかった話を公開しているが、そのエピソードの数々は完全にアウトだ。中でも金ちゃんは、「ガソリンを飲まされてジャイアントスイングされた」など、かなり壮絶ないじめの話を堂々披露している。いじめを受けていた人がバラエティで話せる内容はどうしても限られるだろうし、そもそも我々はいじめ体験談を聞きたいわけではない。

 一様に、今回の芸人らのテンションが低かったのも要因のひとつ。口数は少ないし、顔も若干こわばっていた。中学時代を思い出したか。当時のイケてない髪型と制服を再現するとマインドも当時に戻ってしまうのは興味深いが、恐ろしくもある。だから、スタジオの空気はどんより重くなっていたのかもしれない。

 時代、そして芸人たちの年齢とメンタル。令和に甦った「中学イケてない芸人」を成功に導かなかった理由は、一言では言い表せられない。

 

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2023/02/06 15:32
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