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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.708

バイオレンスホラー新時代の幕開け! 閉塞感を吹き飛ばす『オカムロさん』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

バイオレンスホラー新時代の幕開け! 閉塞感を吹き飛ばす『オカムロさん』の画像1
Z世代の若手キャスト&スタッフが集結した新感覚のアクションホラー

 低予算ながら、振り切った演出が売りとなるホラー映画は、新しい才能が次々と誕生するゆりかごのような映画ジャンルだ。ハリウッドでは『ゲット・アウト』(17)でジョーダン・ピール監督が、『ヘレディタリー/継承』(18)でアリ・アスター監督が大ブレイクした。1999年生まれの松野友喜人監督の長編デビュー作『オカムロさん』も、Jホラー新世代の到来を思わせる快作となっている。

 2021年に日本大学芸術学部映画学科を卒業した松野監督は、卒業制作『全身犯罪者』(20)で注目を集めた逸材だ。コロナ禍で制作された短編映画『全身犯罪者』は、松野監督が脚本・撮影・編集・美術だけでなく、キャストもすべて演じ切っている。松野監督が自身の脳内イメージをそのまま映像化したような作品だった。

 『全身犯罪者』は「カナザワ映画祭2021」で「期待の新人監督」観客賞を、また日大芸術学部の学部長賞を受賞するも、卒業制作展では内容が過激すぎるために上映禁止となった。松野監督演じる刑事が、日本犯罪史に名を残す凶悪犯罪者たちを現代に召喚し、“犯罪者アベンジャーズ”を結成。現代の猟奇殺人鬼に立ち向かうという、奇想天外なクライムムービーだ。だが、犯罪者アベンジャーズの顔ぶれがあまりにもヤバすぎた。

 津山三十人殺し、三億円事件、パリ人肉事件……。さらには、まだ生々しい記憶の残る大量殺人まで。そんな凶悪犯罪者たちを、松野監督はひとりで演じてみせた。狂気とコミカルさが同居する、異様な短編映画だった。

 日大芸術学部卒業後は映像制作会社に就職し、一般社会人として過ごしていた松野監督だが、『全身犯罪者』の評判は映画業界に広まり、商業デビューのオファーが届くことに。そうして完成したのが、江戸時代から伝わるという不気味な都市伝説をモチーフにした『オカムロさん』だ。その名前をネット上で検索すると、正体不明の怪人「オカムロさん」が現れ、検索者は首を狩られてしまう。

 “生首ホラー”を謳う『オカムロさん』はR15作品とは思えないほど、次々と生首が飛び交う。松野監督は会社の有休を使って撮影を済ませたものの、生首などの合成シーンの編集作業は長期間に及び、『オカムロさん』の完成直後に会社を退職することになったそうだ。

 「生首ホラーを撮って、自分が会社をクビになりました」と松野監督は笑顔で語っている。商業映画第1作の裏事情をギャグとして語る松野監督のクールさが、なんとも魅力的ではないか。新世代監督の誕生を祝福したい。(1/3 P2はこちら

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