日刊サイゾー トップ > エンタメ  > “空気が読めない”高杉真宙&関水渚の恋愛

『いつか、いつも……いつまでも。』“空気が読めない”人な高杉真宙 & 関水渚がもたらす効能

“空気が読めない”からこそのヒロイン

 亜子にはイラっとする部分もあり、清々しい部分もあったりもするが、彼女が俊英のプライバシーに踏み込んでくるとき、思わぬ変化が生じる。他人が自分の境界線に入り込んでくる瞬間、それは時に恋に発展するのだが、急な感情変化の戸惑いで調子が狂ってしまうことも。恋なのか、困惑なのか、そんな絶妙なバランスの心境を描くうえで、亜子というヒロインの存在は大きかっただろう。

『いつか、いつも……いつまでも。』空気が読めない人な高杉真宙 & 関水渚がもたらす効能の画像6
(左)石橋蓮司、(右)芹川藍。©2022『いつか、いつも……いつまでも。』製作委員会

 他にも、やたら首を突っ込んでくる家政婦のきよ(芹川藍)や、他人の意見など求めず、自分の思ったことをマシンガンのようにしゃべりたいだけしゃべって去っていく叔母の秋子(水島かおり)など、“空気の読めない”人々が登場し、コメディ色を強くしている。

 本作を正真正銘のコメディとして観ると、正直言ってそこそこ。ただ、それはそれで、邦画らしさというか、家庭のリアルな日常感を醸し出している要因ともいえる。

『いつか、いつも……いつまでも。』空気が読めない人な高杉真宙 & 関水渚がもたらす効能の画像7
左はCreepyNutsのDJ松永。©2022『いつか、いつも……いつまでも。』製作委員会

 “空気が読めない”からこそ、他人の境界線にズケズケと入り込んでくるヒロイン。相手は戸惑いを隠せず、怒りすら覚えるものの、時にはそれに救われ、癒されることだってある。そんな“空気の読めない”人の効能が、存分に詰まった作品ともいえるだろう。

 自分に正直に生きることで、他人を傷つけることがあるかもしれない。しかし、他人のためだけに、自分を偽り続けて生きるよりも、他人を傷つけてしまうかもしれないことは一瞬忘れて、時には自分の思うまま、正直に突き進むことも必要なのかもしれない。それがきっと、相手を救うことになる可能性だってあるのだ。

『いつか、いつも……いつまでも。』
2022年10月14日(金)より全国公開

監督:長崎俊一
脚本:矢沢由美
音楽:江藤直子
出演:高杉真宙、関水渚、水島かおり、小野ゆり子、DJ松永(CreepyNuts)佐藤貢三、中島歩、江頭勇哉、芹川藍、石橋蓮司ほか
制作プロダクション:オフィス・シロウズ
配給:バンダイナムコフィルムワークス
製作:バンダイナムコフィルムワークスギャンビット
©2022『いつか、いつも……いつまでも。』製作委員会
公式twitter:@itsuitsu_eiga
公式Instagram:@itsuitsu_eiga

バフィー吉川(映画ライター・インド映画研究家)

毎週10本以上の新作映画を鑑賞する映画評論家・映画ライター。映画サイト「Buffys Movie & Money!」を運営するほか、ウェブメディアで映画コラム執筆中。NHK『ABUソングフェスティバル』選曲・VTR監修。著書に『発掘!未公開映画研究所』(つむぎ書房/2021年)。

Twitter:@MovieBuffys

Buffys Movie & Money!

ばふぃーよしかわ

最終更新:2022/10/15 07:00
12
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

山崎製パンで特大スキャンダル

今週の注目記事・1「『売上1兆円超』『山崎製パ...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真