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『ゴッドタン』の愛すべき“らしさ”を甦らせた、フジモンVSみなみかわ「転機はヘキサゴンです」

『ゴッドタン』の愛すべきらしさを甦らせた、フジモンVSみなみかわ「転機はヘキサゴンです」の画像1
『ゴッドタン』(テレビ東京系)公式サイトより

 2021年7月21日放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)にゲスト出演した放送作家のオークラは、テレビプロデューサーである佐久間宣行にこう伝えている。

「最近の“お笑い愛”を語る風潮を作り上げたのは、佐久間さんなんじゃないか」(オークラ)

 佐久間がプロデューサーを務める『ゴッドタン』(テレビ東京系)の恒例企画「お笑いを存分に語れるBAR」や「芸人ラジオサミット」を見れば、その意見には納得だ。さらに、SNSにおける視聴者からの好反応を見ると、バラエティの潮流がその方向にあるということもわかる。昨今のバラエティは、芸人のマル秘エピソードとお笑い評論(芸人が同業者をポジティブに分析して褒める)で多くが成り立つ。その風潮を発明したのは、やはり佐久間だと思うのだ。

 10年前の『ゴッドタン』と今の『ゴッドタン』を見比べると、実は雰囲気はかなり違う。個人的には、徹底的にくだならさを貫いていた昔の『ゴッドタン』のほうが好きなのだけど……。

序盤からみなみかわを刺しにいった阿佐ヶ谷姉妹・江里子

 10月29日放送『ゴッドタン』が行ったのは、「第3回みなみかわの相談相手オーディション」。自らについて「芸人として詰んでいる」と評するみなみかわが、取り返しがつかなくなる前に悩みを受け止めてくれる相談相手を見つけるという企画だ。

 自身が所属する事務所・松竹芸能の転覆を目論む……を、キャラ設定にしている彼。しかし、最近のみなみかわは露出がみるみる増え、紛れもなく売れっ子だ。番組レギュラーの劇団ひとりは指摘した。

ひとり 「みなみかわが売れちゃうと、松竹が調子良くなっちゃう。これ、複雑な心境じゃない?」

みなみかわ 「かなり複雑なんですけど、でもやっぱりそこはしっかりと『売れたい』という気持ちは抑えて、松竹を地獄に持っていきたいと思います」

 意気込みの意味がわからなすぎる。ただ、吉本に比べ悪名を轟かす人材が少なく、慢性的に芸人の“押しの弱さ”は否めなかった松竹だ。ネガティブな面白さを撒き散らすみなみかわの台頭は、やはり松竹躍進の原動力の1つになっている。

 そんな今回のオーディションにトップバッターとして登場したのは、阿佐ヶ谷姉妹・渡辺江里子。みなみかわが彼女に打ち明けた相談内容は、「阿佐ヶ谷姉妹のような地元から愛されるキャラクターになりたい」であった。

ひとり 「ちなみに、(みなみかわの)地元はどこなんですか?」

みなみかわ 「碑文谷です」

「“碑文谷といえばみなみかわ”と思われたい」と、メチャクチャなことを言い出すみなみかわ。たくさんの有名芸能人が住む高級住宅街なのに、である。

矢作 「(TKOの)木本(武宏)さん、(碑文谷に)住んでましたね」

みなみかわ 「(碑文谷で)よく見るのは、伊勢谷友介さんとか、沢尻エリカさんとか、あと宮迫(博之)さんとかですね。碑文谷警察の裏通ったとき、たまたま会うっていうか」

 訳あり芸能人にばかり遭遇しがちなエリア、碑文谷。そんな街の顔になりたいと、彼は望んでいるらしい。

「碑文谷の方から愛されたい……。事務所からも愛されてないのに?」(江里子)

 いきなり、えぐりにいく“キラー江里子”。かなり序盤から、彼女がみなみかわを刺しにきていたのがわかる。

江里子 「碑文谷のいいところは、すぐに出てきたりしますか?」

みなみかわ 「ランボルギーニ屋がありますよ。ランボルギーニ屋、阿佐ヶ谷ないでしょ(笑)?」

江里子 「阿佐ヶ谷、ナメんな! 街をナメてんのよ。ランボルギーニで街を測るな!!」

 初っ端から、街の価値の尺度がランボルギーニのみなみかわ。「ランボルギーニ屋」なんて言葉、普通はなかなかとっさに出ない。素晴らしいボキャブラリーだ。やはり、彼はもっと売れると思う。一方、江里子の怒りスイッチの入るポイントが「街」なのも良かった。さすが、「阿佐ヶ谷姉妹」を名乗るだけある。

FUJIWARA藤本をリスペクトしながら暴言を吐くみなみかわ

 今回のオーディションには、めずらしい芸人も登場した。FUJIWARA・藤本敏史だ。彼が現れると途端に『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)っぽさが漂うが、これは『ゴッドタン』の収録である。

 なぜ、この場に藤本が登場したのか? それは、「ぜひ、オーディションを受けてほしい」とみなみかわが藤本を指名したからだ。

 関西で育ったみなみかわ。今年40歳を迎えた彼と同世代の男子にとって、FUJIWARAは特別な存在だ。1997~2000年まで放送のバラエティ番組『吉本超合金』(テレビ大阪)でFUJIWARAはカリスマ的人気を誇り、その噂は関東にまで轟いたものである。つまり、みなみかわにとって藤本はリスペクトの対象なのだ。

ひとり 「そんな藤本さんに相談したいことは何かありますか?」

みなみかわ 「カリスマだったフジモンさんが、スタッフさんにいいように使われる便利な存在になっている。そうなるには、どうすればいいかなっていう」

 リスペクトを表明しておきながら、完全に先輩をディスっているみなみかわ。彼の吐く言葉は、そのすべてにトゲがある。

みなみかわ 「能力があるゆえにいろんな立ち位置ができて、いい感じで80点ぐらいをずっと叩き出してる便利な存在やから、使い勝手いいんじゃないかなと思って。僕もそういう人間になりたい。まだまだ若手に混じって」

藤本 「なんか、言い方がちょっと……。それは、悪いことかな!?」

みなみかわ 「だから、『尊敬してます』って言ってますやん!」

「相談相手オーディション」という名目で先輩を呼び出し、「尊敬している」のスタンスをとることで、どんな暴言を吐いても許されようと保険をかけるのだから便利なコンテンツだ。他人からヘイトを買うのがうまい、“怒らせる天才”みなみかわ。

 いや、藤本や大久保佳代子に代表されるバラエティ界の“傭兵”には傭兵の良さがあるし、結果を出し続けなければ次にお呼びはかからない、大変なポジションなのだけれど……。

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