本多圭の『芸能界・古今・裏・レポート』

『スッキリ!』打ち切りの遠因は「加藤の乱」!? 吉本と日テレの微妙な関係

『スッキリ!』打ち切りの遠因は「加藤の乱」!? 吉本はいまだにスッキリしていないの画像1
日本テレビ『スッキリ!』公式サイトより

 来年3月いっぱいでの打ち切りが明らかになった、日本テレビ系朝の情報番組『スッキリ!』

 17年の歴史に幕を閉じるにあたって、MCを務めるお笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次は「感謝しかない」と繰り返したが、番組終了の背景には、“闇営業報道”以前まで加藤が所属していた吉本興業と日テレの微妙な関係があるという

「吉本と日テレは長らく蜜月関係だと思われてきましたが、やはり、2019年に騒動となった“闇営業問題”が転機になったのでしょう。吉本の幹部は、“今の社長、会長(大崎洋氏)の体制が続くんだったら、僕は吉本興業を辞める”と吉本上層部を批判した加藤をバックアップし、まるで吉本を追及するかのような報道を続けた『スッキリ!』の制作方針に疑問を抱くようになっていたようです」(日テレ関係者)

 “闇営業報道”をめぐっては、視聴者からの支持を受けたものの、その後、『スッキリ!』は視聴率低迷を受け、何度も打ち切り説が流れた。

「そんななか、今年6月、愛犬急死問題を扱った『スッキリ!』が放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会で審理にかけられることになったんです」(番組制作会社スタッフ)

 きっかけは昨年1月。『スッキリ!』は「独自 愛犬急死“押さえつけシャンプー”ペットサロン従業員ら証言」と題した特集のもと、ペットサロンに預けられた犬が急死した背景にサロンによる虐待疑惑があると報道。サロンの経営者が“事実に反する”と、BPOに申し立てを行う事態となっていた。

「BPOの審議入りが決まった6月は、同時間帯で視聴率トップの『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)に大きく差をつけられたうえ、3位の『めざまし8』(フジテレビ系)にも肉薄され、追い抜かれるのは時間の問題と、危機感を募らせていた時期でした。しかも、『スッキリ!』のBPO審議入りは2度目。番組の存続を危ぶ声が上がっていました」(前出の番組制作会社スタッフ)

 昨年3月、『スッキリ!』のコーナーに出演していた芸人がVTRの中で行った、アイヌ民族への差別表現を放送。関連団体から猛抗議を受けたうえ、同年7月、BPOから放送倫理違反を厳しく指摘された。指摘を受け、日テレは全面的に非を認めて謝罪し、再発防止を掲げていたが、そのアイヌ問題が完全に収束しない中での愛犬急死報道だった。

 度重なる『スッキリ!』の不祥事を受け、吉本関係者は、「“闇営業問題”を取り扱って以降、日テレでは、プロデューサー以下、スタッフが大幅に削減された。残された社員は下請けに丸投げ状態で、その結果、1度ならずとも2度もBPOに審議入りした。打ち切りも当然でしょう」と冷ややかだ。

「そもそも、年間2億円以上とも言われる加藤の高額ギャラは、吉本の大崎洋会長が直接、日テレの担当者に掛け合って決めたものです。それだけに、吉本を裏切った加藤は、闇営業問題の収束と共に降板すべきだった。続けたことで、番組は2度もBPO入りし、吉本の日テレへの不信感を増幅させたんです」(前同)

 その影響は日テレ内の他番組にも波及しているという。

「その最たるものが、大晦日の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 』でしょう」(前同)

 2006年から15年にわたり大晦日に放送されてきた日テレ大晦日大晦日恒例特番『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 笑ってはいけないシリーズ』。

 21年に休止が発表されて以降、視聴者から復活を求める声が絶えないが、今年の放送も見送られた。

「20年に休止した際は、“BPOの審議入りが取り沙汰されたからではないか”とも言われましたが、真相は渡部建の復帰情報や、台本がリークされたためでした。ダウンタウンの松本人志は、それまでも『ガキの使い』の情報がリークされたことがあるとして、日テレに不信感を持っていたうえ、以前から『スッキリ!』の報道姿勢に疑問を抱いていたそうで、吉本は松本の意向を尊重して、休止を決めたそうです」(お笑いライター)

 一方、吉本は今年3月末から、地方創生をコンセプトに地域の魅力を伝える『BSよしもと』をスタート。全国で活動する“住みます芸人“を中心に、地元愛溢れる情報やその土地ならではのニュースを伝えるワイドショーを放送している。 「BSよしもとのワイドショーは、『スッキリ!』へのアンチテーゼに思えます」(制作会社スタッフ)

 日テレの今後の情報番組の在り方が問われるかもしれない『スッキリ!』の打ち切り。

 と同時に、闇営業問題で“加藤の乱”とおだてられた加藤の求心力も低下するだろう。これを機に、加藤がテレビ界から煙たがられ出すのは時間の問題かもしれない。

(文=本多 圭)

本多圭(ジャーナリスト)

芸能取材歴40年以上、タブー知らずのベテランジャーナリスト。主な著書に『 スキャンダルにまみれた芸能界のトンデモない奴ら』など。

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最終更新:2022/11/26 11:30
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