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今年もM-1決勝前におさらい

ツートライブがめちゃくちゃ惜しい! 元芸人が準々決勝敗退の全ネタ一言レビュー

きしたかのが、老若男女を笑わせられるコンビになるためにすべきこととは

81組目『きしたかの』
面白い。掴みのボケからマニアックな笑いを起こし、見ていて清々しくなるほどのテンションが高めの漫才。このテンションの高さは、お客さんを巻き込むタイプなので思わず笑いが起きる。ただネタの軸となるボケが想像させて笑わせるものだったので、もっと本能で笑うボケにしたほうが良い。そうすれば老若男女を笑わせられるコンビになること間違いなし。

82組目『ツートライブ』
めちゃくちゃ惜しい!ボケとツッコミのバランスも良く、どちらとも愛されるキャラクターになっており、喋り方もボケもツッコミも各々キャラに合っていて、非の打ち所がないコンビだと思う。だが、漫才の内容が推測されやすいもので、さらにボケの4割くらいが捨てネタになっているのが勿体ない。オチのようなこだわりを全ボケに。

83組目『カミナリ』
前のコンビのボケを掴みで使い、漫才らしい笑いを起こしたのはさすがである。そしてネタのクオリティも高く、じゅうぶん面白かったのだが、なぜこの段階で敗退してしまったのだろうか。勝ち上がったコンビのネタを見ていないのであくまでも憶測だが、カミナリの芸風が今の風潮に合わないということなのだろうか。僕的にはとても面白かった。

84組目『ブレードランナー』
2018年には「ぐるナイおもしろ荘」(日本テレビ系)で準優勝をし、昨年「M-1グランプリ」の準々決勝へ進出したお笑いコンビ「アントワネット」が解散し、ツッコミの小澤さんが車太郎さんと新しくコンビを組み、今大会に出場。車椅子の車太郎さんの自虐的なボケで会場を笑いに包んでいたが中盤、お客さんを置いてけぼりにした感があった。即席コンビとは思えないコンビネーションだったので、また来年期待したい。

85組目『10億円』
ネタを拝見するのは2回目だが、漫才が上手になっている。自分たちのキャラを理解していて声が通らないツッコミの永見さんは活きているマイクを上手く使っていた。そしてボケの緩急も上手で後半あえて間を取って笑い待ちをするなど、いろいろなテクニックを使っていて素晴らしかった。ネタのテンポが一定なので、そこにも変化があればさらに良くなるはず。

86組目『ひつじねいり』
コンビの見た目のバランスはとてもよく、さらに関西弁と標準語の熱量の違いもキャラに合っていてとても良い。ツッコミの松村さんがパワフルで関西弁でまくしたてる感じはすごく良いのだが、ボケの細田さんも同じようにパワフルにしようとしているので、逆に関東のイメージっぽく至極冷静な感じボケても面白そう。

87組目『令和喜多みな実』
いかにもな関西漫才で、実年齢よりも少し上の雰囲気を醸し出している。イベントや営業などはこういう漫才が見やすくて良いのだが、「M-1」のように勝ち負けを決めるコンテストだと盛り上がりに欠けているように見えてしまう。いきなり漫才のスタイルを変更するのは難しいと思うが、部分部分にボケの、野村さんのテンションが上がってしまうようなパートを入れるのはありだと思う。

88組目『バッテリィズ』
第一印象で「売れそうなオーラが出ている」と思った。ネタの内容もボケのシステムも見た目に合っているので、違和感なく笑える。細かい部分だが、漫才の入りをボケのエースさんがとることで、しっかりした人に見えてしまうので、できればネタの主導権はツッコミの寺家さんが握り、エースさんが自由に暴れているほうがより似合った漫才になるはず。

89組目『TEAM BANANA』
「女芸人No1決定戦THE W 2022」のファイナリスト。東京の若手女性漫才師の中では、トップクラスの技術であることは間違いない。ボケの山田さんの流暢なトークにより、ネタへの集中力は切れることなく最後まで見ることが出来る。ツッコミの藤本さんもとても上手なのだが、得意なツッコミと苦手なツッコミが明確に別れていて、たぶん大きなリアクションを取りながらのツッコミが苦手な気がする。やりやすいツッコミだけにしてネタの引っ掛かりを無くした方が良い気がする。

 というわけで「M-1グランプリ2022」準々決勝敗退者と「GYAO!ワイルドカード」で準決勝進出を決めた、金属バットを合わせた全89組のネタレビューでした。

 一言レビューなので細かい部分まで書ききれなかったが、これだけは言える。全組レベルが高かったのは間違いない。これだけレベルの高いネタが準々決勝で敗退するのだから、決勝へ勝ち上がったネタには弥が上にも期待が高まってしまう。

「M-1グランプリ2022」決勝は12月18日(日)午後6時34分より、ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネットで生放送される。ぜひ生放送で視聴し、歴史的な瞬間を目撃しよう。時間があればその前の敗者復活戦から楽しむのも大いにありだ。

 果たして今年の漫才ドリームを掴むのはどのコンビなのか! 今からワクワクが止まらない。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/12/16 20:00
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