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芸人が売れた後にブチ切れ暴露する「ネタ見せ」トラウマ級の指摘が行われる内情とは

文=檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

お笑い芸人の心をボッキリと折る「ネタ見せ」芸人を辞める前に知ってほしい処方箋の画像1
檜山豊 公式ツイッターより

 僕のツイッターは元芸人ということもあり、芸人や芸人関係、あとお笑いが好きな人にフォローされている。その為に僕に流れてくるツイートの大半はお笑い関係のツイートだ。とある芸人が単独ライブをやる情報や、どこかのテレビへ出演するという情報。はたまた芸人を応援しているファンの方のライブレポートなど。

 そんな中、最近ものすごく多く流れてくる情報がある。それは芸人の「解散」だ。しかも若手芸人がコンビ別れするような解散ではなくある程度、長年やってきたコンビが人生の岐路に立ち、お笑いをやることを諦めて、引退するといったもの。あまり知らない芸人の解散でも、若干切なくなってしまうのだが、僕が携わったことがある芸人の解散や引退は、とてつもなく悲しい気持ちになる。

 あの時もっとこうしてあげれば良かったのではないか。何か相談に乗れることは無かったのか。いろいろな思いが頭の中をよぎるが、結局僕に出来ることなどないのだ。

 僕が芸人と携わる機会のほとんどが「ネタ見せ」だ。このネタ見せというのは新ネタやオーディションで披露しようと思っているネタをマネージャーや作家などの第三者が見て、もっとこうしたら良いんじゃないか、ここがわからないんじゃないかなどダメ出しをする場を指す。

 僕も芸人の頃は所属事務所のライブに出る為に、月に1回程度ネタ見せをして新ネタをブラッシュアップしたものだ。

 基本的には芸人のほどんどがこの「ネタ見せ」をしたくないと思っているはずだ。というのも眠る時間を削りながら新ネタを作り、相方とトライアンドエラーを繰り返してようやく人前に出せる形にし、それを体に覚えこませやっとの思いで披露する。

 するとマネージャーさんや作家さんは「ん~わからない」とか「それってもっとこう出来ないの?」とか、たった一言「なし」などと言われることがある。もちろん本人たちもネタが完璧に仕上がっているとは思わないが、あまりにも簡単に、あまりにも非情に否定されるパターンが多いので、芸人たちはネタ見せを嫌ってしまうのだ。

 かといって、マネージャーさんや作家さんが悪いと言っているわけではない。

 披露したネタがつまらないのに苦労を思いやって、「面白い」というわけにはいかない。そのネタは芸人たちの看板であり、事務所の看板にもなるものだ。絶対に妥協してはいけないものだ。そのマネージャーさんや作家さんの思いと、芸人たちのプライドが渦巻いているのがネタ見せなのだ。

 僕がネタ見せする立場になったときに心掛けていたことがある。それはその芸人にとって「もうひとつの脳みそとなる」ことだった。

 芸人をしていた頃、ネタ見せでされて1番嫌なことは「ネタを否定し、そのまま放置されること」だった。すごく嫌なことだが、これをする人はすごく多い。ネタ見せのほとんどはこれと言っても過言ではない。

 ネタを否定するのはとても簡単だ。「つまらない」「わからない」「何がしたいの?」と言えばいい。ただ芸人サイドも「つまらない」「わからない」「何がしたい?」と思っていながら、どうすることも出来ない場合があるのだ。

 そんなとき僕は「もうひとつ脳みそがあれば」と常々思っていた。だから僕がネタ見せをするときは、その芸人にとって「もうひとつの脳みそ」になり、新しいアイデアや、何かのヒントを見出せるまで一緒に悩もうと思っていた。

 なので普通なら一組10分もかからないネタ見せが、稀に30分とか1時間とかかかってしまうことがあった。僕としては芸人時代にしてほしかったことをしているつもりなのだが、同時にこれはかなり芸人に偏ったネタ見せになってしまう。僕を雇った事務所サイドとしてはいい迷惑だったかもしれない。通常の何倍も時間はかかるし、すぐに結果に結びつくわけでも無いし、最悪の場合、芸人自体が僕の脳みそに全任せして自分で考えることをやめてしまう。

 事務所からしたらたまったもんじゃない。

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