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『しくじり先生』峯岸みなみの神回授業!「人生を港区に溶かしていた」

峯岸は六本木・西麻布でいい思いをしていなかった

「神7のメンバーがソロの仕事で大活躍していたとき、20歳になった私にはこんなオファーが増えていきました。六本木・西麻布界隈の怪しい夜のお誘い」(峯岸)

 どんなオファーなんだ、それは。話の展開が一気にキナ臭くなってきた。

若林 「1番最初の西麻布・六本木は、どういうふうに行ったの? 誰かに誘われたの?」

峯岸 「そうです。今はもう(タレントを)やめちゃってる、ちょっと芸能の女の子の友だちに。西麻布のバーに行ったとき、見た目はすごい若いけど意外と年齢いってるようなお兄さんがいらっしゃって。『港区のわかんないことをこの人に聞いたら、全部教えてもらえるから』的な、“みんなのお兄ちゃん”みたいな」

若林 「そんな、インフォメーションみたいな人がいるの!?」

峯岸 「いるんですよ。その人と連絡先を交換すれば、毎日『今日、飲んでるよ』みたいなお誘いがきて、行くと芸能人に会えたり」

 リアルな話である。つまりガーシー的な人がいたのだろう。というか、周辺人物から勝手に暴露されるのではなく、自ら言いにいく峯岸のスタイルが心配だ。ガーシー的な人と連絡先を交換していたとバラしているし、別に時効でもないような気がするのだが……。

 悲しみのステージは続く。飲みの場で峯岸はチヤホヤされるわけでもなく、“飲みの席を盛り上げるピエロ”的な役割を担わされていたそうなのだ。

「アイドルだし、芸能界じゃないところに行けばチヤホヤされるのではないかなと思って行ったんですけど、六本木・西麻布には一般の名の知れない綺麗な女子がいっぱいいるんです! これは、私も盲点だったんですよ。どんな職業をしているのかわからない、綺麗で可愛い子が飲みの席にはたくさんいました。結果、私はチヤホヤされませんでした」(峯岸)

 すごい現実だし、峯岸が自ら“ブスいじり”をしているようにも受け取れた。そりゃあ、金持ちの集まりなら相応の美人は周りにいるだろう。というか、その人たちは一般というよりギャラ飲みを生業にしている女子たちという気がする。まさに、闇の天下一武道会だ。

 では、峯岸はどんなふうにピエロを演じていたのか?

澤部 「ピエロっぷりはどういう感じなの?」

峯岸 「歌ってましたねえ。AKB48ヒットソングメドレー、歌ってましたね(笑)」

吉村 「営業じゃん!」

 プライベートでも、AKB48を背負って歌っていた峯岸。「港区からの夜の誘い=タダの闇営業」という、逆キャバ嬢みたいな現実があったわけだ。

「私は『飲み歩いていい思いをしている』と思われてるかもしれませんが、特にいい思いはしてないです」(峯岸)

「神7に食わせてもらってる」という認識もつらかったが、西麻布で遊ぶようになってからの話はもっとキツい。じゃあ、もう行かなければいいのに……。

「結局、(西麻布では)楽しいこともないし、別にチヤホヤもしてもらえないし、『違うな』と思うんですけど、不思議と夜は足が港区に向かってるんですよ」(峯岸)

 中毒患者のようになっていた峯岸。今回の『しくじり先生』が、ほとんど「芸能界の闇の入り口講座」になってしまっている。

坊主頭での号泣謝罪でアイドル界の流れは変わったか?

 生徒側のメンバーも、この話に無関係ではない。峯岸が飲み歩いていた頃、港区ではノブコブ吉村に、渋谷では澤部とよく遭遇していたそうだ。

澤部 「渋谷の居酒屋で(峯岸を)よく見て。ベロベロでそのまま寝ちゃって、居酒屋で泊まるみたいな」

峯岸 「そうですよ。モテてたら店で目が覚めることなんてないんですから」

澤部 「たしかにね! いわゆる、お持ち帰りみたいなのがないわけだもんね」

峯岸 「みんな帰っていくんですから、モテる子は。私はいっつも起きたら居酒屋で」

澤部 「本当、掘りごたつの下のところに入っちゃって寝てるみたいな」

 現役アイドルだったのに、起きたらいつも居酒屋だった峯岸。そりゃあ、自己肯定感が下がるってものだ。でも、お持ち帰りされていなかったら坊主にはならなかったはずだが……。

 そして、2013年1月。彼女が20歳のときに、峯岸のスキャンダルは報じられた。

「スキャンダルが出るとグループを辞めるメンバーがほとんどでしたが、私は心の底からこう思いました。『絶対にAKB48を辞めたくない!』」

「『AKB48のメンバーじゃない自分には価値がないのではないか』という思いから、AKB48を絶対に辞めたくないと思いました」(峯岸)

 そして、峯岸は坊主頭になって号泣謝罪する動画を公開した。「神7に食わせてもらってる」という思いで自己肯定感を下げ続け、そのメンタルが契機となり、夜遊びを繰り返していたら、ついにはこういうことになってしまった悪循環が、見ていて不憫だ。

 峯岸の坊主姿を見たときはドン引きしたし、なにより秋元系のアイドルグループに怖さをしみじみ感じたものだ。今の坂道系メンバーに関する報道と比べると、たいしたスキャンダルでもない。独身の若者同士が恋愛していただけなのに、当時のAKBにはそこまでしなきゃいけない空気感が確実にあった。「スキャンダルを起こしたらクビ」、それがあの頃の処遇のデフォルトだったからだ。つくづく、閉ざされた世界である。

峯岸 「私が気がおかしくなってああいう行動に出たと思われる方もいると思うんですけど、私はいたって冷静に自分で頭を剃りました」

横山 「相談とかしなかったんですか、誰にも?」

峯岸 「相談はしなかったですね」

 あくまで独断で勝手に取った行動、自分1人の範囲の責任……という彼女の口ぶりだが、件の謝罪動画はAKB48の公式YouTubeチャンネルで発信されている。メンバー1人の意思で勝手にYouTubeを更新できるわけがなく、そこには大人も絡んでいたはずだ。個人的には、かなりモヤっとくる説明だった。

矢吹 「私はグループ(HKT48)に入る前だったので、小学校で『あの動画、見た?』みたいに話題になってて。ずっとAKBのファンだったので、『そこまでしなきゃいけないの?』という気持ちで見ていました」

峯岸 「そういうふうに思わせたかったわけじゃなかった、っていうのが正直なところで。『そんな(坊主)にしなくていいのに』みたいな、すぐ明るい方向に持っていけるのかなと。そういう思いがあったので、あんなにたくさんの人を泣かせてしまったり、悲しませたり、ショッキングな出来事として報道されたりっていうのは、正直、想定外の出来事でした」

 あの動画に映る峯岸の雰囲気は、軽く受け止められるようなものではなかった。明らかに傷ついていたから、我々は引いてしまったのだ。

 さらに、ここから事態は大きくなる。なんと、世界中のメディアが大騒ぎしたのだ。「武士道の精神?」(アメリカ CNN)「おぞましい」(イギリス BBC)「セックススキャンダルに巻き込まれている」(中国 環球時報)などなど、件の動画について各国の媒体は騒ぎ立てた。

峯岸 「まさか、こんなことになるとは思っていなくて。自分だけの問題ではなくなってしまって」

若林 「でも、峯岸さん1人のせいじゃないよね。坊主もあり得る空気ではあったじゃん。やっぱり変なんだよ、海外から見たら。やっぱ、変なんだと思うよ」

 当時のAKBに異様な空気感があったのは間違いない。そして、この出来事を経てアイドル界は少し変わったと思う。今もまだ運営がうやむやにしている「恋愛禁止」問題へのカウンターの芽はわずかに生まれ、世間と業界の流れは演者を守る方向に少しずつ動いた気がするのだ。

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