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クラプトンを“甘やかす”日本人… 人種差別に反ワク陰謀論でも100回目武道館

文=マキタカフミ(まき・たかふみ)
クラプトンを甘やかす日本人… 人種差別に反ワク陰謀論でも100回目武道館!の画像1
「エリック・クラプトン LIVE AT BUDOKAN 2023」UDO 公式サイトより

 今年4月に東京・日本武道館で4年ぶり23度目の来日公演を行う世界的ロックギタリストのエリック・クラプトンだが、海外アーティストとして初めて武道館100回公演を達成する。クラプトンは同15日から全6公演(18、19、21、22、24日)を予定しており、21日に記念すべき100回目の武道館公演を迎えることになる。

 この“100公演”がどれだけ凄い数字なのかというと、武道館でクラプトン以上に公演を行っているのは矢沢永吉(149回)、松田聖子(121回)、藤井フミヤ(110回、チェッカーズ時代を含む)の3名のみ。過去に武道館でライブを行ったことのある海外アーティストと比較しても、クラプトンに次ぐブライアン・アダムスの24回、スティングの22回を大きく引き離している。さらには公演前の3月30日に78歳の誕生日を迎えるクラプトンは、加山雄三が持つ武道館単独公演の最年長記録77歳4カ月をも更新することになる。海外アーティストながら、国内の大物にもひけを取らない熱烈な人気ぶりが窺える。

 クラプトンといえば、言わずと知れた“ギターの神様”。レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジ、先頃亡くなったジェフ・ベックとともに“世界3大ギタリスト”などと並び称されるロック界のレジェンドだ。

「1960年代にクラプトンがメンバーだったヤードバーズやクリームといったバンドは、ロックとブルースを融合したサウンドで当時の音楽シーンに変革をもたらしました。70年代に入るとデレク・アンド・ザ・ドミノスを結成し、『いとしのレイラ』を発表します。この曲は現在に至るまで、日本におけるクラプトンの人気を決定づけた不朽の名作。今の若い世代は洋楽とJ-POPを分け隔てなく聴くので、純粋な“洋楽ファン”というと50歳以上の世代が中心ですが、彼らにとって最も人気のある洋楽アーティストがこのクラプトンだったり、『ホテル・カリフォルニア』のイーグルスだったりするのです」(音楽ライター)

 そんなクラプトンが初めて武道館のステージに立ったのは、1974年10月31日のことだった。実はこの初ライブ、今日における評価は芳しいものではなかった。何しろライブ当日のクラプトンは酒に酔っており、ろくにギターも弾かずに日本のファンを舐め切っていた、とされている。「散々な出来であった」と古くからの洋楽ファンたちの間では、語り草になっているのだ。

「ただ、2022年に発掘された当時のライブ音源を聴く限りでは、ギターもそれなりに弾いていて、そこまで酷くもない印象です。もっとも酔っ払ってステージに立っていたのは事実だし、いく分精彩を欠いていたのは否めません。クラプトンの初ライブに大きすぎる期待を寄せたファンが、裏切られたと感じて殊更に酷評したというところもあるでしょうね」(同)

 当時のクラプトンはドラッグ中毒で一時は再起不能だったとも報じられ、日本での初ライブが行われた74年はようやく、カムバックを果たしたところだった。ところが今度はアルコール中毒に陥り、そのため80年代は作品もライブも低調に。この時期のクラプトンはスランプだったというのが定説だ。

「そんな体たらくだったクラプトンを変わらず支持し続けたのが日本のファンでした。過去に“彼らはクラプトンを甘やかしている”という、音楽評論家からの苦言もはあったものです。そんな日本のファンに気をよくしてか、クラプトンは数年に1度のペースで来日しており、2016年からは国内移動の負担を減らすために、武道館でのみ公演を行ってきました。100回公演はこうした積み重ねによるものです」(同)

 ロック史に残る名曲や名演を世に送り出してきた一方で、長きにわたって薬物やアルコールの依存症に悩まされるなど、波乱万丈のキャリアを過ごしてきたクラプトンだが、黒歴史と言えるのが過去に行ったとされる“人種差別発言”である。

 76年8月、英バーミンガムで行われたライブで、例によって酔っ払ったクラプトンは観客に向かって「イギリスが移民流入によって、10年以内に植民地化してしまう」などと発言。さらに「ウォグ(非白人系に対する蔑称)は大英帝国から出ていけ、田舎者は出ていけ」と続けたという。クラプトンはブルースやレゲエといった黒人音楽をいち早く採り入れるなど、彼の背景がブラックカルチャーと高い親和性を持つと思われていただけに、この件が報じられるとそのレイシズム発言が人々を大いに戸惑わせた。

「後年、クラプトンは当時の暴言を人種差別的だったと認めて謝罪するも、あくまでも大量飲酒のせいで差別の意図はなかったと釈明。しかし当時、差別主義者として悪名高かった超保守派の極右政治家への支持を表明していたことについては、現在も否定していません」(同)

 さらに、最近のクラプトンの“お騒がせ発言”といえば、何といっても新型コロナワクチン接種とロックダウンに対する批判だろう。2022年7月には、「(ワクチン接種証明を求めることで)差別されたオーディエンスがいるステージでは演奏しない」と表明。

「ワクチン接種は“集団形成催眠”などと、陰謀論を主張しています。昨年発表された新曲『ディス・ハズ・ガッタ・ストップ』は、反ワクチン思想について歌っているほどですから、ワクチン義務化がよほど腹に据えかねているのでしょう。クラプトンの発言は英米で物議を醸しており、クイーンのブライアン・メイは反ワクチン派はどうかしていると、彼を批判しています。クラプトンのこれまでの発言から鑑みると、彼が差別主義者で陰謀論者であるとしか思えないのですが……どうなんでしょうか。まあ、だからといってクラプトンの音楽的業績が色褪せるものではないのですが」(同)

 90年代の大ヒット曲「ティアーズ・イン・ヘブン」や「チェンジ・ザ・ワールド」などの影響もあって、近年におけるクラプトンのイメージはアコースティックギターを爪弾くダンディーなオジサンといったところだが、なかなかどうして実像は老いてますます盛んな“お騒がせジジイ”なのだ。100回目の武道館公演では変に老成することなく、血気盛んなところを見せて欲しい。

マキタカフミ(まき・たかふみ)

マキタカフミ(まき・たかふみ)

大分県出身。大学卒業後、金融専門紙記者や経済誌編集者を経てフリーライターに。「週刊SPA!」(扶桑社)、「実話ナックルズ」(大洋図書)、「一個人」(KKベストセラーズ)などに執筆。その分野は経済からエンタメ、グルメまで多岐にわたる。 著書に『神奈川あるある ご当地あるある』(TOブックス)など。

最終更新:2023/01/26 13:47

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