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「週刊朝日」休刊が他人事ではない週刊誌…次に“終わる”のはどの雑誌?

「週刊朝日」休刊に朝日社員は何思う?「社内に明るい話題はほとんどない」の画像1
「週刊朝日」2023年 2/3 号(朝日新聞出版)

「ついに力尽きたのか。朝日は伝統を守る気などなかったのか……」

 そう週刊誌デスクが嘆息するのは、朝日新聞出版が発表した「週刊朝日」の休刊。1922年創刊の老舗週刊誌だったが、5月末で休刊となることが明らかになった。

 「週刊朝日」は最古の総合週刊誌であり、新聞社系週刊誌の先駆けだ。1950年代には発行部数100万部を超え、その成功を見て他の出版社が次々と参入。「週刊文春」(文藝春秋、1959年創刊)、「週刊新潮」(新潮社、56年創刊)などが生まれた。

 ベテランライターが懐かしむ。

「司馬遼太郎の『街道をゆく』、山藤章二の『似顔絵塾』といった名企画がある一方、2000年にはKSD事件をスクープし、他の週刊誌に比べても信頼や安定があった。『週刊誌の取材は受けないけど、週刊朝日ならいい』という識者もいたほどです」

 ミソをつけたのが2012年、ノンフィクション作家・佐野眞一氏による橋下徹大阪市長を題材にした連載。「出自」を徹底的に掘り下げようとしたため、橋下氏が猛抗議、連載は即座に中止となり、朝日新聞出版社長の引責辞任にまで発展した。

 「それは週刊誌業界の凋落と、軌を一にしていた」と、別の週刊誌編集長経験者が振り返る。

「インターネットの発達によりニュースが無料で読めるようになったため、週刊誌は“角度”をつけた記事を書かざるをえなくなった。一方で橋下氏の抗議に象徴されるように、プライバシーや人権の意識も高まり、有名人のプライバシーを暴くことでメシを食う週刊誌の立場がなくなっていった。連載やスクープで1週間楽しめるのが週刊誌の役割でしたが、ネットニュース時代は情報のスピードも早くなり、週刊誌という業態自体を見直す必要がますます出てきた」

 この流れには、2019年の森下香枝氏の編集長就任をもってしても抗うことはできなかった。

「森下氏は元『文春』記者で、スクープを飛ばしに飛ばしまくった女傑。その森下氏ですらスクープ路線から降り、『毒にならないが薬になる』高齢者向け雑誌への転換を余儀なくされました」(週朝関係者)

 老舗雑誌というプライドをかなぐり捨てた末の休刊は「要は廃刊」(同)というが、他の雑誌も他人事ではない。では「次」はどこか。前出の編集長経験者が指摘する。

「筆頭は『サンデー毎日』(毎日新聞社)でしょう。実売は数万にとどまっており、『週朝』同様、伝統を守るために続けてきたという面がありますからね。また『FRIDAY』(講談社)『FLASH』(光文社)といった写真週刊誌は、張り込みなどの人件費がかかるわりに、スクープが部数に結びつかない。そのため両紙ともスクープ、 スキャンダル路線は徐々に捨て、グラビア路線に活路を見出している状況」

 実は”週刊誌の雄”である「週刊文春」も他人ごとではないという。

「記者の数が圧倒的に多く、経費もしっかり使い、ともかく人件費が莫大にかかっている。雑誌を買うのはもっぱら高齢者で、収益化は『電子版』や『文春オンライン』でできている状態。今の高齢者がいなくなってしまえば、雑誌の発行を取りやめる日が来るかもしれませんよ」(同前)

 週刊朝日は昨年が100周年。月刊誌「文藝春秋」は今年が100周年。紙の雑誌という媒体に一つの大きな節目がきていることは間違いない。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2023/01/26 06:00
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