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日本アカデミー賞、選考基準が後戻り? 「ジャニーズの多さ」は“集客重視”の結果か

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「日本アカデミー賞」公式サイトより

 『第46回日本アカデミー賞』の正賞15部門の優秀賞と新人俳優賞が23日、発表された。授賞式は3月10日に東京・グランドプリンスホテル新高輪にて開催され、日本テレビ系で放送される予定。

 今回、優秀賞の最多受賞となったのは妻夫木聡主演の『ある男』で、作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞・助演男優賞・助演女優賞など、12部門で13の優秀賞を受賞。これに続くのが、大泉洋主演の『月の満ち欠け』と、吉岡里帆主演の『ハケンアニメ!』で、それぞれ優秀作品賞を正賞9部門で優秀賞を受賞した(新人俳優賞を合わせると10部門)。ほか、斎藤工主演の『シン・ウルトラマン』が7部門(新人俳優賞を合わせると8部門)、広瀬すずと松坂桃李の『流浪の月』や役所広司主演の『峠 最後のサムライ』が6部門など。

「配給で見ると、『ある男』『月の満ち欠け』『峠 最後のサムライ』は松竹、『ハケンアニメ!』は東映、『シン・ウルトラマン』は東宝の配給。アカデミー賞に投票できる会員は2022年時点で3935名だが、実質的に運営している松竹、東映、東宝、KADOKAWAの社員で1123名と3分の1ほどを占めるため、この4社の作品や作品に出演した役者が受賞する傾向が根強い。ここ数年はその傾向に反して“ガチンコ”で作品が評価されていたが、今回の結果からすると、また後戻りしてしまった印象」(映画業界関係者)

 2020年の最優秀作品賞は『新聞記者』で、同作の松坂桃李とシム・ウンギョンが最優秀主演男優・女優賞を受賞。翌21年は『ミッドナイトスワン』が最優秀作品賞、同作の草彅剛が最優秀主演男優賞を受賞。昨年も、米国の『第94回アカデミー賞』において国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』が最優秀作品賞、同作の西島秀俊が最優秀主演男優賞、濱口竜介監督が最優秀監督賞と最優秀脚本賞を受賞と、独立系の作品が評価される流れが続いていたのだ。

「以前、北野武監督が選考方法が不透明であることから、『日本アカデミー賞最優秀賞は松竹、東宝、東映、たまに日活の持ち回り。それ以外がとったことはほとんどない』と批判し物議を醸したが、2019年まではその発言にも納得できる結果だった。この3年で、ようやくそうではなくなったと思っていたのだが……」(映画担当記者)

 新人俳優賞の顔ぶれにも変化があった。正賞15部門とは異なり、最優秀を選出しないこの部門では、今年は男性4名・女性4名が受賞したが、男性4名のうち、『サバカン SABAKAN』の番家一路をのぞく3名がジャニーズ事務所所属だったのだ。

「例年に比べてジャニーズ勢の受賞が多く、正賞では嵐の二宮和也が優秀主演男優賞、Snow Manの目黒蓮が優秀助演男優賞となっているが、新人俳優賞は、目黒蓮に加え、Hey! Say! JUMPの有岡大貴、SixTONESの松村北斗が受賞。日本アカデミー賞はコロナ禍でも毎年授賞式を開催していたが、今年はコロナ禍となって初めて約1000人の観客をフルキャパシティーで動員して開催。授賞式の観覧チケットは4万1000円と高額だが、ジャニーズの受賞が多ければ、ファンの大量購入が見込めると踏んだのでは」(同)

 映画ファンにとってはかなり残念な授賞式になりそうだ。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2023/01/27 06:00
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