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『クレイジージャーニー』炎上に見る「笑い」と「ウザい」の境界線

『クレイジージャーニー』炎上に見る「笑い」と「ウザい」の境界線の画像1
『クレイジージャーニー』(TBS系)公式サイトより

 2月6日放送の『クレイジージャーニー』(TBS系)内でのディレクター(以下「D」)の言動が、プチ炎上を招いている。同日の放送で密着したのは、水中考古学者の山舩晃太郎氏。Dは失礼な質問を連発し、視聴者を呆れさせたのだ。

「山舩氏は年間300日以上も海外を飛び回り、沈没船や水中遺跡を調査する専門家。今回は2000年前に沈んだ古代ローマの船を調査するクロアチアのプロジェクトに同行しましたが、Dは『今日見つかったものって、売っちゃったら高値になったりするんですか?』と質問して、『そういう考えはよろしくない』とたしなめられたり、滅多に見つからない沈没船を見つけたダイバーに『何回見つけたことがあるんですか?』と尋ねて笑われたりしたため、ネットに次々と批判の声が寄せられました」(テレビ情報誌記者)

 騒動を受けて山舩氏は、「研究者の邪魔をしないように常に気を使っていた」「片付けなどの手伝いを率先して行っていた」「番組に対して全く嫌な思いをしていない」「これまでの取材の中でも非常に仕事がしやすかったこと」と、TwitterでDをフォロー。しかしネットには、

「なんも知らない観光客みたいな質問しててどうなのかと思った」
「一度問題起こした番組なのにまたこんなディレクター使って」
「知性と品性に欠けたやる気なさそうなディレクターが高揚感ぶち壊してる感じで最悪だった」

 と、辛辣なコメントが殺到している。近年、スタッフが前に出る番組が目に付くが、それには大人の事情があるという。

「大きいのはコストの問題です。タレントを起用すればギャラがかかりますが、タレントがやる仕事をスタッフにやらせればその分が削れる。ましてどれだけ時間がかかるか読めない企画だと、タレントのスケジュールより撮れ高が優先されるので、タレントを使うのは難しい。だからスタッフが出ざるを得ないのです。

 うまくいっている代表例は『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系)でしょう。あの番組はとにかく手間をかけていて、密着に至る割合は1%程度。そうなるとタレントを使うのは不可能ですが、Dはプロレス技を掛けられてスタジオの笑いを取ったかと思えば、“YOU”との別れや感動の場面で号泣して視聴者の涙を誘ったりと、番組のいいアクセントになっています。

 最近では『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(日本テレビ系)もDがいい味を出していますね。完全にお店の家族の一員のように馴染んだり、本来の仕事そっちのけで店員として稼働したり、中には蕎麦が打てるようになってしまったDもいました。あそこまで行くとタレント顔負けです」(民放バラエティ番組制作関係者)

 ただ、Dが出て面白い番組がある一方で、今回の『クレイジージャーニー』のように炎上してしまう番組もある。その差はいったいどこから生じるのか?

「Dがテレビに出て面白くなるのは偶然の要素が強く、“おまけ”のようなもの。横柄だったり失礼だったりするのは論外ですが、露骨にウケ狙いしたり、いかにもしゃしゃり出ているような感じだと、まず間違いなく視聴者に嫌がられます。出るにしても、進行に差し支えない程度に露出を抑えないと目障りになってしまいます。

 今回の『クレイジージャーニー』の場合、編集でいくらでもカットすることができたのに、わざわざあのやりとりの部分を使ったのは狙いすぎ。松本人志らがツッコみやすいようにわざと使った可能性もありますが、密着した専門家がやっていることを紹介するだけでも十分に面白いので、余計だと感じました」(キー局関係者)

 同番組は一度、不祥事で打ち切りになっているだけに、視聴者はスタッフへの不信感もあったはず。クレイジーなのは取り上げる専門家だけで十分だ。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2023/02/11 20:00
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