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TPの芸人礼賛

蛙亭ブレイク前夜を目撃したプロデューサーが語る「売れた理由」

文=高橋雄作(TP、プロデューサー・作家・社長)

蛙亭ブレイク前夜を目撃したプロデューサーが語る「売れた理由」の画像1
蛙亭 吉本興業 公式サイトより

――お笑い大好きプロデューサー・高橋雄作(TP)が見た、芸人たちの“実像”をつづる。今回は男女コンビ・蛙亭の“主人公”感について。

 男女お笑いコンビ「蛙亭」の勢いが止まらない。2020年4月に大阪から上京した直後からメキメキと頭角を表し、『有吉の壁』(日本テレビ)などテレビ露出も徐々に増やしていき、ついにはイワクラさんピンでの冠番組『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日)が始まるなど順風満帆だ。ネタのほうでも、上京翌年の『キングオブコント2021』で決勝進出を果たし、さらに今年3月17日には「なんばグランド花月」で単独ライブを開催予定とノリに乗っている。

そんな蛙亭の“ブレイク前夜”2020年春、僕は、蛙亭の冠特番『蛙亭もういっちょ』(YouTube)のプロデューサーを担当した。今は非公開になってしまったので見ることはできないが、おそらく当時蛙亭を冠したコンテンツはテレビもラジオもなかったので初の「冠番組」だったと思う。この『蛙亭もういっちょ』が本当に面白かった。

「自分たちだけの収録」が初めてだった2人は、めちゃくちゃ気合いを入れたロケを展開してくれた。ダンスバトル、激辛ラーメン大食い、三点倒立をしながらローラのモノマネ、恋バナ、お寺ロケ、漫才、ドラマ風コント、河川敷でギャグバトル、AVインタビューパロディ……恐ろしいことにこれを丸1日で撮りきったのだ。もちろん2人は嫌な顔ひとつせず、というかそれが普通なんだと思い込んで全力で挑んでくれたのだが、2人が売れた今、あのロケスケジュールがいかに常識外れだったかはきっと本人たちにバレている。あのときは無理させてすみません。

『蛙亭もういっちょ』では、イワクラさんの研ぎ澄まされたセンスと圧倒的なパッション、中野さんの類い稀な演技力と猟奇的な性格が余すとこなく発揮されていて最高だった。収録が終わってから「やっぱり蛙亭は売れる」と確信したことを覚えている。今さら後出しで書いてすごい恥ずかしいけど本当にそう思った。『蛙亭もういっちょ』は新型コロナの影響をモロに受け、2回目の収録をすることは叶わなかったのだが、今でもあの番組に携われたことを誇りに思っている。そして2人が売れれば売れるほど「TPは早くから蛙亭に目をつけていた」と言ってもらえるので、僕のためにももっと売れて欲しい。

 僕が初めて蛙亭を知ったのは2018年の『ABCお笑いグランプリ』だった。決勝のグループステージで2人が披露していた「逆だワン!」というコントは衝撃的だった。茶色い全身タイツを着た中野さんが「犬」として、ご主人イワクラさんのオン・オフの使い分けに「逆だワン!」とツッコんでいくのだが、そもそも犬がツッコミをやっている時点でだいぶ逆だろと思った。百聞は一見にしかず、というか、言葉で説明するのが難しいので本人たちのYouTubeにアップされているこのネタをぜひ観てほしい。

コント「逆だワン!」

 このネタに出会って以降、僕は蛙亭のネタを見漁った。どれも本当に面白くて「いつか生で観たい!」という思いを募らせた結果、2019年6月に大阪の「よしもと漫才劇場」で行われた蛙亭の単独ライブ『タイヤと大仏』を東京から観に行ったのだ。(余談だが2019年はまだお笑いライブに「配信」という概念がほぼなかった時代。東京に来ない大阪の若手芸人に興味があったら新幹線に乗って現地に行くしかなかった)

 平日夜ということもあり、客席は半分くらいしか埋まっておらず「蛙亭ってそこまで人気ないんだ……」と思ったことを覚えている。ちなみに同日に行われたマユリカの単独ライブ『遅れやがって!マユリカ!!絶対に許さないっ!!!』も観たのだが、そちらは立ち見が出るほど満席も満席で、蛙亭とは逆に「マユリカってこんなに人気あるんだ……」と思ったことを覚えている。今やどっちも大人気。生で観た蛙亭は文句なしに面白くて「蛙亭の番組を絶対やりたい」とあらためて思い、企画書を通して『蛙亭もういっちょ』が実現することとなる。

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