日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『インフォーマ』『ムショぼけ』が残してくれたもの

『インフォーマ』と『ムショぼけ』が残してくれたもの

ドラマ『インフォーマ』
ドラマ『インフォーマ』より ©カンテレ

Netflixで全世界配信中のドラマ『インフォーマ』。その原作者である沖田臥竜氏が、今日に至るまでの情熱と苦悩を述懐する。学歴も経験も周囲の支えも…なにもなかった人間が、小説家になるための道程で抱えてきた想いとは?

『ムショぼけ』12冊目、『インフォーマ』は14冊目…年月にして22年

 25歳で小説家になろうと思いペンを握り、2016年にデビューするまで13年間、世間からはうんともすんとも言われなかった。それでも、いつか小説家になってやると思い続け書き続けた。今、思うと我ながらよくやったよなと思う一方で、そうした不遇な時代があったからこそ、今があるのだろうとあらためて感じることがある。13年である。諦めるには十分な歳月であった。だけど、世に出る方法やツテもないまま、諦めずにとにかく書き続けてきた。

 デビューしてからも、小説家としてはなかなか上手くいかず、ようやく名刺代わりの1冊となったのが小学館から出版され、映像化もされた小説『ムショぼけ』(2021年)で、その後、私の現在の代表作となったのが、サイゾー文芸部から出版された小説『インフォーマ』といえるだろう。『ムショぼけ』は12冊目、『インフォーマ』は14冊目、そこにたどり着くまでに費やした年月は22年である。

 文芸を書くなんて、そもそも儲かる商売でない中で、我ながらよく書き続けたよなと思う反面、「小説家になれなかったことを考えなかったのか」と思うことがある。もちろんあるというか、たぶん毎日、考えていたことだ。売れる売れないという前に、1人で始めたことなので、どうしたら小説家になる道を拓くことができるのかまったくわからなかったので、こんなことをしていても無駄ではないのかと思いながら書き続け、その不安を紛らわすためにまた書いていた。どうしても書けないときは、とにかく小説を読み、小説を写し、上達しているかどうかもわからぬ中で、ひたすら模索していた。

 それはそうだろう。どれだけ書いても読んでくれる人さえいないのだ。応援してくれる人なんて滅相もない。誰ひとりいなかった。というよりも、ただの中卒の人間が小説家になる!と言ってみたところで、誰が真に受けてくれるのだ。私が逆の立場だったとしても、「へ~」くらいで相手にすらしないだろう。

 そろそろ、よいだろうか……。いくぞ、どうじゃ! 見たか。はっきりとそろそろ胸を張って言わせてもらうぞ。多分、私は小説家となっている。もちろんすまない。私は幅広くさまざまなことを書けるので、作家として活動しているが、次第に文芸界でも、小説家として認識されるようになってきた。

筆者の事務所に貼られたポスターたち

 来月くらいからは、その認識に応えられるような準備に取り掛かっているし、『インフォーマ』の漫画化以外に、別作品のマンガ原作のオファーもあったので、それも書きつつ、また別の出版社からも小説の話を頂いている状態だ。

 どちらも『ムショぼけ』と『インフォーマ』を読んで、そしてドラマを観てもらったという人から頂いた話である。他にも連載を毎月6本から10本は持っているし、映像の監修の仕事に、週刊誌の仕事も2誌やらせてもらっている。

 13年間、うんともすんとも言われなかった私がである。すごいだろう、くらいは言わせてくれよである。何度もいうように儲かる商売ではないのだ。口で言うくらいはよいではないか。

 小説を書くとき、毎回のことだが「もう書けないのではないか」という不安はいつもあって、それは私だけではないだろう。だが、自分ではっきりと自覚していることがあって、私は書き出すとそのスピードが異次元だということだ。なので、どれだけ仕事が増えても、原稿を飛ばしたことはもちろん、締め切りを破ったこともない。まあそれくらいはできないと、私に順番が回ってこないことくらいは理解している。書き手は世の中にゴマンといるのだ。何か一つくらい取り柄がなければ、生き残ることはできない。

 今月は、人生で初めて海外に行って来ようと思っている。海外にいったからと言って何か自分の中で、感性が変わるみたいなウルトラC的なことは考えていないが、日本人以外の営みを目で見て肌で感じることで、書いていく上での視野が広がってくるのではないかと思っている。

 『ムショぼけ』を世に出したとき、私の地元・尼崎からの評判は強烈であった。それを持って、世界へと飛び立った『インフォーマ』である。もう私には書き手として超えたい存在も尊敬する人物もいない。当たり前ではないか。ペンを握る以上、誰にも負けることができない。なぜならばプロだからだ。超えなければならないのは、いつも自分自身だけである。

 また、私にしか奏でられない世界観を世に出すことができればなと思っている。

(文=沖田臥竜/作家)

小説『インフォーマ』

沖田臥竜/サイゾー文芸/税込1320円
amazonでの購入はこちら

週刊誌記者、三島寛治の日常はひとりの男によって一変させられる。その男の名は木原慶次郎。クセのあるヤクザではあったが、木原が口にした事柄が次々と現実になる。木原の奔放な言動に反発を覚えながらも、その情報力に魅了された三島は木原と行動をともにするようになる。そして、殺人も厭わない冷酷な集団と対峙することに‥‥。社会の表から裏まで各種情報を網羅し、それを自在に操ることで実体社会を意のままに動かす謎の集団「インフォーマ」とはいったい何者なのか⁉パンデミック、暴力団抗争、永田町の権力闘争、未解決殺人事件…実在の事件や出来事を織り交ぜ生まれた「リアル・フィクション」の決定版!


ドラマ『インフォーマ』
現在は、Netflixで全世界配信中


4分で振り返る『インフォーマ』第1話~第5話 | Netflix Japan
 
桐谷健太演じる主人公で、裏社会・政治・芸能など、あらゆる情報に精通するカリスマ的情報屋“インフォーマ”木原慶次郎と、佐野玲於(GENERATIONS)演じる週刊誌「タイムズ」記者・三島寛治が、警察・ヤクザ・裏社会の住人たちを巻き込み謎の連続殺人事件を追うクライムサスペンス。事件の背後に存在する謎の集団のリーダーで、木原の因縁の相手となる男を、事務所移籍後初のドラマ出演となる森田剛が演じる。

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)、『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

最終更新:2023/04/10 13:27
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed