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『THE SECOND』準決勝は異種格闘技戦が続出!激闘を制した8組

――お笑い大好きプロデューサー・高橋雄作(TP)が見た、芸人たちの“実像”をつづる。

『THE SECOND』準決勝は異種格闘技戦が続出!激闘を制した8組の画像1
『THE SECOND ~漫才トーナメント~』公式サイトより

 結成16年以上のコンビによるお笑い賞レース『THE SECOND~漫才トーナメント~』の「ノックアウトステージ16→8」が、4月29日と30日に行われた。133組から勝ち上がってきた16組のうち、決勝戦「グランプリファイナル」に進出する8組を決める戦いであり、つまり「準決勝」という位置づけになる。

 「開幕戦ノックアウトステージ」に引き続き有料生配信は実施されたもののアーカイブはなし、土日の夜開催ということもあり、僕は運良く全組の漫才を視聴することができた。

 「賞レースは準決勝が最も白熱する」という例に漏れず、『M-1グランプリ』や『キングオブコント』にも匹敵するような大熱戦が繰り広げられた。紛れもなく全対戦が面白かったので、ネタバレに気をつけながら振り返っていきたい。

【×】2丁拳銃 vs スピードワゴン【◯】

 MCのマヂカルラブリー野田さんが早速「これ以上の対決あるのかな」と驚くほど、1対戦目から超ハイレベルな戦いだった。この対戦はちょうど20年前『M-1グランプリ2003』決勝進出者同士というのが感慨深かった。その当時は2丁拳銃のほうが順位が上だったのだが、今回はスピードワゴンの勝利。井戸田さんの人生すべてをフリにした渾身のツッコミが見事に決まっていた。

 人生を反映させたネタがウケやすいのも、ベテランがしのぎを削るこの大会ならではだろう。前回の対戦に引き続き小沢さんは号泣、さらに井戸田さんも泣きながら「こんなに泣いたのは離婚以来」と発言して大ウケ。対戦後のコメントにも人生が詰まっていた。

【×】流れ星☆ vs 三四郎【◯】

 まず先攻の流れ星が美術セットを使ったボケをかましたり、マヂラブをイジったりのびのびと躍動。マヂラブ野田さんの「昔と何も変わってませんでした」は、最大級の賛辞だろう。

 対する三四郎はとにかく芸人の名前がたくさん出てくるハチャメチャな漫才を披露。ネタバレとか関係なくここに書くことも憚られる「やらかした芸人」の名前も惜しみなく使っていた。小宮さんはここまでの3組と比べて正直噛み噛みだったのだが、それをも凌駕するとんでもないパワーで押し切った感じ。

 そして勝ったのは三四郎。『M-1』じゃ絶対できないようなネタを持ってきたのは作戦だったのだろうか。流れ星☆は敗退後、たきうえさんがとんでもなく悔しそうにしている姿が印象的だった。

【×】COWCOW vs 超新塾【◯】

 タイプが違う芸人同士の異色の対決。超新塾と同じタイプの芸人なんて存在しないから、彼らが戦うと必然的に異色の対決となる。ただし2組ともネタ後半に小道具を使用するというまさかの「かぶり」が発生していて面白かった、これも『THE SECOND』ならでは。

 COWCOWは歌を交えた楽しくてパワーのある漫才。屋外の営業ステージとかでめちゃくちゃ叩いてきたネタなんだろうなというのが容易に想像できた。対する超新塾は相変わらず5人息の合った団体芸。ジャルジャルを倒してきた勢いそのままにここも勝利。引き続き決勝でも台風の目となるだろう。

【×】ラフ次元 vs ギャロップ【◯】

 大阪吉本所属で芸歴もそこまで離れていない仲の良い2組、さぞやりにくかったと思う。ラフ次元は『M-1』ラストイヤーの予選でも披露していたおそらく「超勝負ネタ」で挑んでいた。前回の対戦で「1点(=おもしろくない)」をつけたお客さんが0人という快挙を成し遂げたラフ次元だが、なんと今回も1点は0人、とてつもない安定感。

 対するギャロップは、つかみこそハゲいじりをしつつもその後はハゲ関係ないただただ強いネタで何度も拍手笑いをかっさらっていた。こちらも1点は0人。そしてなんとわずか1点差でギャロップに軍配が上がった。

拍手笑いが止まない、仕上がりきった囲碁将棋

【×】タイムマシーン3号 vs 金属バット【◯】

 これもまたタイプの違う2組の対決。タイムマシーン3号は冒頭でいきなり芸人いじりのつかみをかまし、その後は全世代が面白いと思えるような安定のネタ運び。「面白いかどうかの客投票」というだけあって『オンバト』で最強を誇った2人にはうってつけの環境だったのかも。

 対する金属バットもらしさ全開アドリブ満載の漫才を披露。とにかくアドリブが決まりまくり。友保さんの髪がしっかりサラサラだったので、おそらくヘアメイクさんもいるのかなと推測。それはいいとして、勝ったのは金属バット。2人は悲願の賞レース決勝進出となった。友保さんの「『M-1』クソでしたね」というコメントが痛快だった。

【×】かもめんたる vs 囲碁将棋【◯】

 う大さんがどアタマからワードを間違える波乱のスタートも、そこからはいつものかもめんたるワールドにお客さんを引き込んで爆笑の連続。ネタ時間6分だとよりセミナー感が増す。これがなんと新ネタというから驚きだった。しかしまさかのタイムオーバーにより20点減点、ここで新ルールが効いてくる展開に。

 囲碁将棋はとにかくバッチバチに仕上げたひとつのムダもない漫才。おそらく台本にしたときのセリフ量は16組中ナンバー1だったと思う。ほぼ全ボケ拍手笑いなのも恐ろしかった。この2組は他の大半の組と違ってアドリブを一切入れていなかったのも印象的だった。

【◯】マシンガンズ vs ランジャタイ【×】

 マシンガンズは終始リラックスした感じでアドリブも交えつつのネタ。西堀さんが「負けるとわかってるからこんなに楽なことはない」と言っていたけど、これは前回もそう言っておいて勝ったのでもしや作戦? いやそんなことないか。

 対するランジャタイは『M-1グランプリ2021』準決勝で「1ウケ」と評されたネタの6分verを披露、かと思いきや、後半にはまたしても「タモンズ」が登場。。失格と言われてもおかしくない暴れっぷりだった。マシンガンズが勝ったものの、決着がついてからも終始楽しそうにしている国崎さんが印象的だった。

【×】三日月マンハッタン vs テンダラー【◯】

 三日月マンハッタンはもしかしたら勝ち残った16組の中で最も知名度がないコンビかもしれないが、ネタの後半で畳み掛けまくる怒涛の展開でかなりのインパクトを残してのフィニッシュ。

 対するテンダラーはお笑いファンなら誰しもが知ってる「あのつかみ」を披露してめちゃくちゃウケていた、もはや伝統芸能のよう。そこからは安定感抜群の漫才でテンダラーの勝利。もちろんテンダラーは強かったけど三日月マンハッタンも大健闘、対決終わりに4人で飲みに行ったというエピソードにほっこり。

 以上16組。5月20日には勝った8組でいよいよ決勝「グランプリファイナル」が行われる。最大3ネタ披露とのことで、残っている芸人さんにとってはなかなかハードな戦いかもしれないが、健闘を祈りたい。(編集/斎藤岬)

 

 

高橋雄作(TP、プロデューサー・作家・社長)

プロデューサー、作家、社長。2022年夏、テレビ朝日を退職し独立。音声配信アプリ「stand.fm」コンテンツアドバイザー、お笑いラジオアプリ「GERA」チーフプロデューサー。YouTubeチャンネル「金属バット無問題」などを手掛ける。

Twitter:@takahashigohan

たかはしゆうさく

最終更新:2023/05/08 15:07
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