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『VIVANT』堺雅人”乃木”は二重人格? 「冴えない商社マン」は裏の顔を隠す演技の可能性も…

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ドラマ公式サイトより

 堺雅人が主演を務めるTBS系日曜劇場『VIVANT』が7月16日、106分の拡大放送でスタートした。本作は、『半沢直樹』シリーズや『ドラゴン桜』(2021年版)などを手掛けた福澤克雄氏が原作・演出を手掛ける完全オリジナルストーリー。放送前に明らかにされたのは「VIVANTとは一体…? 敵か味方か、味方か敵か―― 遂に、冒険が始まる」という文言と、42人のキャストのみで、役柄やストーリーは放送まで伏せられるという異例の手法で話題を集めた。

 第1話は終始、緊迫した状況が続き、アクションシーンも多い展開のなかで謎や伏線が多く散りばめられ、視聴者の間でも考察が盛り上がっていた。堺をはじめ、阿部寛、二階堂ふみらの出演が発表されていたが、シークレットにされていた主要キャスト”最後のひとり”二宮和也がラスト直前でサプライス出演し、大きな反響を呼んだ。

 堺が演じるのは、大手商社「丸菱商事」のエネルギー事業部2課課長・乃木憂助。中央アジア・バルカ共和国での太陽エネルギープラント事業計画のため、取引先のGFL社に契約金1000万ドルを送金したが、翌日なぜか送金が1億ドルになっていることが発覚。130億円の損失となりかねないこの問題を解決すべく、乃木は1人でバルカ共和国のGFL社に向かう。

 しかしGFL社が返金に応じないのに困った乃木は、CIAに勤務する友人・サム(Martin Starr)に調査を頼み、金がダイヤに替えられてすでにアマン建設会社のアル=ザイール(Erkhembayar Ganbold)なる人物の手に渡っていることを知る。サムのおかげでザイールの潜伏先までたどり着いた乃木は、現地警察を買収して協力させ、ザイールに証拠を突きつける。しかし、ザイールは「お前がヴィヴァンか? ヴィヴァンなんだろ?」と謎めいたことを言い出し、「俺の運命と共に、お前も終わる」と、身にまとった爆弾を見せつける。「家族を守るためにはこうするしかない」「すべてはお前(乃木)のせいだ」と言って、神に祈りながら起爆装置のスイッチを押そうとする。

 その瞬間、謎の男(阿部寛)が駆けつけ、乃木は爆破前に外へ脱出。辺りは爆発に巻き込まれ、周辺住民に多くの死傷者が出てしまう。乃木も怪我をして病院に運ばれるが、爆発事件の犯人として警察に追われる身に。謎の男・野崎守は警視庁公安部・外事第4課の捜査員だと明かし、乃木を保護すると言う。

 バルカ警察の警察官・チンギス(Barslkhagva Batbold)は、現地の病院に勤務する日本人医師・柚木薫(二階堂ふみ)も乃木たちの仲間だと疑い、無関係の薫も共に追われる羽目に。3人は野崎の仲間・ドラム(富栄ドラム/翻訳アプリの声:林原めぐみ)の協力の元、チンギスの執拗な追跡をなんとか振り払って日本大使館に逃げ込むことに成功するのだった。

 中盤から登場した阿部寛演じる公安の野崎。乃木に「お前は世界中を巻き込む大きな渦に入り込んだ。日本警察はお前を責任を持って保護してやる。お前のためじゃない。日本国のためだ」と伝える。今のところ野崎は味方だと考えたほうが自然だが、野崎がなぜ中央アジアに渡ってまでテロ組織の幹部をマークしていたかはまだ不明で、野崎の狙いは乃木の保護だけではないだろう。また、ドラムは野崎に対し忠実に見えるが、有能すぎて存在感が不気味だ。「敵か味方か、味方か敵か」がキャッチコピーの本作、二重スパイや2つの顔を持つ人物が複数登場し、お互いに騙し合う展開も考えられる。野崎も公安の職員以外の身分がありそうだ。

 そもそも主人公の乃木でさえ、つかみどころのない部分が多い。冴えない商社マンに見えるが、マルチリンガルで、バルカのことに詳しいだけでなく、バルカでは少数派のイスラム教の礼儀作法まで知っている。なのに「同期の昇進レースではビリッけつ」だという。また、乃木に困難が降りかかるたびに“もう1人の乃木”が登場し、有用なアドバイスをもらってなんとか乗り越える。恐らく、二重人格か、想像上の友人――イマジナリーフレンドの類だと考えられる。劇中、たびたび幼い頃の回想らしきシーンも流れ、波瀾万丈の過去を負っているらしいこともうかがえる。CIAの友人・サムが「高校の時からの親友」というところからして乃木の生い立ちは謎だ。

 他にも気になる場面は多い。ホテルの部屋でもう1人の乃木と対峙する場面では、2人の乃木が同じタイミングで壁のほうを見るという不自然なシーンがあった。また、GFL社の社長・アリ(山中崇)に誤送金の件を話しに行った際、乃木が資料を落としてアリのデスクの下をゴソゴソするという場面があったが、一瞬アリの私用携帯の充電が途切れる瞬間があった。しかもその直後、GFL社の外で、乃木がアリの私用携帯によく似たスマートフォンを何かの端末につないでいるような場面があり、さらに乃木はアリが私用携帯を持つ右手を強引に引っ張って、アリが落とした私用携帯を乃木が拾う場面もあった。もし乃木の「冴えない」部分が表向きの演技に過ぎないとしたら、ホテルの場面では野崎が盗聴していたことに実は気づいていた、GFL社の場面ではアリのスマートフォンに何かを仕掛けた……といった可能性もありそうだ。もし乃木がそこまで有能ならば、野崎も疑っていた「CIAの友人」の実在すら怪しく思えてくる。

 第1話からタイトルの「VIVANT」という言葉が大きくストーリーに関わり、テロ組織の一員だったザイールを自爆に追い込むぐらいの存在であることが明らかに。薫が「VIVANT」にはフランス語で「生き生きとした」といった意味があることを教えるが、その通りの意味とは思えない。今のところ可能性が高そうなのは、実在しないもうひとりの乃木――存在しないもののことを「VIVANT」と呼ぶのでは、といったところか。

 7月23日放送の第2話では「VIVANT」とは何かが判明するとのことだが、野崎の言っていた「世界中を巻き込む大きな渦」についても早めに知りたいところだ。冒険はまだはじまったばかり。振り落とされないようにしっかりとついていきたい。

■番組情報
日曜劇場『VIVANT
TBS系毎週日曜21時~
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、迫田孝也、飯沼愛、山中崇、河内大和、馬場徹、二宮和也、井上順、林遣都、檀れい、濱田岳、坂東彌十郎、橋本さとし、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李、役所広司 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織
原作・演出:福澤克雄
演出:宮崎陽平、加藤亜季子
脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
音楽:千住明
製作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/VIVANT_tbs

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/07/23 12:00
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