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YAMORIインタビュー

ビートボックス×歌で異彩を放つYAMORI  GBB優勝候補のバックグラウンドに迫る

ビートボックスと歌の境界をなくすことで誰も聞いたことないサウンドを

ビートボックス×歌で異彩を放つYAMORI  GBB優勝候補のバックグラウンドに迫るの画像2
写真/石田寛

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――2021年からどんどんソロの曲を出していくわけですけど、デビュー曲「タマムシイロ」の頃と『ヒューマン』とで、自分がやろうとしてることのイメージは変わりましたか?

YAMORI かなり変わりましたね。「タマムシイロ」とかをリリースした頃は完全に歌でやっていこうと思って。ビートボックスとは完全に別ジャンルとして、自分の歌を聞かせていこうと。曲作りとかトラックメイクに、自然とビートボックスをやってきた要素は出るだろう、ぐらいな感じで思ってて、ビートボックスと合わせるっていう意識は当時はほとんどなかったんですよね。でも、「ザンショ」(2021年)を作ったことがきっかけでもあるんですけど、ビートボックスと自分の歌の境界線をなくしていく作業っていうのがおもしろいって思ったんですよ。そのへんから、「ジャンルにないものを作る」って意識が芽生えた気がしました。それまではR&Bとかソウルとか、とりあえずジャンルの中でトップになろうって思ったんですけど、『ヒューマン』を作り始めるころには、多分誰も作ったことがないものができるなっていう、確信みたいなものがちょっとあって。ニュージャンルっていうほどじゃなくても、自分が好きなものにビートボックスを入れて、誰も聞いたことないサウンドが絶対できるなって思ったんです。

――確かに、曲にビートボックスをフィーチャーすること自体は普通にあるアイディアですけど、どう使うかとかそれをどう生かすかとかっていう発想はやっぱりビートボックスをやってる人ならではだなという感じで、そこが『ヒューマン』の面白さでもあると感じました。

YAMORI やっぱり、ビートボックスはあくまで曲のスパイスとして使われることが多くて、それをメインで聞かせるってなると、けっこう難しいんです、生々しい音なんで。それをうまく綺麗にというか、耳なじみよく、普通にラジオで流れてもさらっと聞けるみたいな……そんな曲はあんまりないなって思って、そういうものをやりたいと思いましたね。

――それでいうと「オキマリ」は、歌はボサノバっぽいリラックスした感じですが、でもそこからどんどん盛り上がっていく感じとか、サビがドロップになっているというのは大きく言うとEDM的っていうか。しかもそのサビをビートボックスで、KAJI(SARUKANI)さんとの2人の掛け合いでやるっていう、あの感じはこれまでありそうでなかった曲だなと思って衝撃でした。先ほど中高時代にEDMを聴いてたという話ともつながるところがあったり。

YAMORI 確かに。「オキマリ」を作ったころって、それまでの3曲(「フアユー」「フレア」「ノータイム」)で1回全部を出し切った後に制作がスタートしてて。その時点で、“ビートボクサーにビートだけ入れてもらう”ってやり方がなんかもったいないなって思い始めて。もちろん、前の曲(「ノータイム」)はベースだけやってもらったりとかもあるんですけど、作っていく中で少しずつ、ビートボックスを使う意味ってなんだろう?って。その人の良さを引き出せてないんじゃないかっていうのもあって。それで生まれたのが「オキマリ」でもありまして。

――EP『ヒューマン』をリリースして2カ月ちょっと(※取材時点)ですが、改めて振り返ってみて、いかがですか。

YAMORI 今回は6曲収録している中で新曲は2曲だけだったので、「まとめた」みたいなニュアンスが自分の中でも強くて。“自分の音楽”っていう流れの中にひとつポイントを打ったっていう意味でのEPなのかなと思ってます。新曲にはいい反響をもらっていて、その反響はありがたくいただきつつ、自分的には、これからのさらなるステップアップためのマークみたいな感じです。

――8月16日には新たなEP『ウミ』が出るわけですが、これも『ヒューマン』のようにビートボックスにこだわった作品になるのでしょうか?

YAMORI 少しギアをチェンジして、シンガーとしての面を聴かせられる曲を作ってます。ビートボックスファーストで考えた『ヒューマン』だと、(参加したビートボクサーが)ライブで来れないときにベストを尽くせないっていうふうに感じちゃって。でも、ビートボックスはやっぱりルーツでもあるので、合うって思ったら今後も当然入れていきたいし、それこそトラックメーカーさんとコラボするときとかは、『ヒューマン』の1曲目の「フアユー」がそうだったんですけど、ニューリーくんがおもしろいビートボックスの取り入れ方をしてくれて、それがすごい刺激的だったんで、自分のビートボックスをサンプルと思って使ってもらったりするぐらいの感じもいいかなっていう。

――ニューリーさんのビートボックスの取り入れ方についてもう少し詳しく聞かせてもらえますか?

YAMORI 最初にニューリーくんが普通のドラムの音源が入ったトラックを作ってきてくれて、その基盤になるビートはAFRAさんのビートに差し替えて。そこにプラスで、AFRAさんがスクラッチとか変な音をいれた素材を録って、それをニューリーくんに投げると、ニューリーくんがそれを料理して入れていく、みたいな作り方だったんです。編曲とか構成は基本的にほぼほぼ自分の頭の中でできてるんですけど、そこを「フアユー」ではニューリーくんにやってもらった感じです。(2/3 P3はこちら

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