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『VIVANT』竜星涼“新庄”も実は別班? 阿部寛“野崎”は「織り込み済み」か

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ドラマ公式サイトより

 堺雅人主演のTBS系日曜劇場『VIVANT(ヴィヴァン)』。折り返しとなるだろう8月20日放送の第6話では、主人公・乃木憂助(堺雅人)と黒須駿(松坂桃李)、司令の櫻井里美(キムラ緑子)以外の「別班」メンバーが姿を見せたが、それ以外にも別班と疑わしき人物が浮上した。

 丸菱商事に勤める「冴えない商社マン」乃木の誤送金事件から始まった本作。乃木は中央アジアの「バルカ共和国」に渡って誤送金“トラブル”の調査を始めるが、バルカのセドルで起きた自爆テロに巻き込まれてしまう。自爆テロの犯人と誤解された乃木は、警視庁公安部の捜査員・野崎守(阿部寛)に救出されて日本へ戻るが、実は乃木の真の姿は、自衛隊の陰の諜報部隊「別班」の一員で、誤送金事件の裏に潜む国際テロ組織「テント」こそが狙いだった。

 乃木の同期・山本巧(迫田孝也)がテントのモニター(協力者)として誤送金事件を起こしたことを突き止め、乃木は野崎ら公安より先回りをして山本を確保。テントのリーダーが日本を標的にしているとの情報を得て、山本を自殺に見せかけて排除した。さらにバルカに戻り、テントの「日本担当」で、誤送金事件に関わったGFL社の社長・アリ(山中崇)の居場所を突き止め、テントのリーダー・ノゴーン・ベキ(役所広司)が幼い頃に死に別れたはずの実の父親・乃木卓(林遣都)であるとの証言を得る。

 第5話では乃木が別班であることを野崎が確信し、第6話は公安のマークをかいくぐる乃木の姿が描かれた。アリから「礼」として渡された、数字が羅列された謎のメモ。別班をしても解析できないこの暗号を解くため、乃木たちは、誤送金事件に関わったスーパーハッカーの「ブルーウォーカー」こと太田梨歩(飯沼愛)を保釈させ、協力させる。太田はすぐにこのメモが、テントとの連絡用アプリを起動させるためのものだと見抜くが、メッセージが自動的に消去される仕様のため、過去のメッセージをたどるにはサーバーを特定する必要があり、これは太田をもってしても「神頼み」レベルの難度だった。

 一方、乃木が動き出したことを察知した野崎たちは乃木の後を追う。太田のマンションに向かったため、公安の新庄浩太郎(竜星涼)が不正アクセス行為の疑いという名目で太田の部屋に踏み込むが、部屋からは何も見当たらず、空振り。ハッキングを行っていたのは実は隣の部屋で、新庄が踏み込んだ部屋はフェイクだったのだ。別班にしてやられた野崎たちだった。

 太田にサーバーをハッキングさせた乃木たちは、過去のメッセージをのぞくことに成功。驚きの内容のメッセージを発見したようだ。そして乃木たちは資源エネルギー庁の入札を装って集合。そこには乃木、黒須だけでなく、他にも4人の男女が。別班・司令の櫻井は「国家の危機を未然に防ぐため」この6人に集まってもらったと宣言する。……というところで第6話は終わった。

 今回は、アリが恐れるテントの内情が少し明らかになった。興味深かったのは、テントが日本以外でも誤送金事件を起こして数億ドルを稼いでいたということ。そしてリーダーであるベキは、何かしらの大義をもって行動しているらしいということだ。誤送金による収益の一部をごまかして私物化していた幹部が粛清されるシーンは組織の規律の厳しさを表していたが、それと同時に「我々の資金が何のために世界から集められているのか、どうして理解できない? 私腹を肥やすなど言語道断だ!」と憤りを見せるベキからは、彼なりの正義感がうかがえた。

 また、「君たちを信頼していいんだな?」というベキのセリフからは、テントが一枚岩ではない可能性も浮上する。なんらかの信念のもとに集まってはいるが……というところだろうか。ベキ=乃木卓が元は警察官であったことは第5話で明らかになっていたが、第三機動隊に所属していたという経歴は実は偽りで、本当は公安部外事第1課であり、乃木卓が死亡したとされるバルカに渡ったのは何らかの潜入任務であったとみられることが第6話で判明した。乃木卓が何の目的でバルカへ行き、なぜそこで死を偽装してテロ組織を立ち上げたのか。この部分が本作の最大の謎となりそうだ。

 第6話では、乃木の中のもうひとつの人格「F」についても少し明らかになった。乃木が、3歳のときにバルカの内乱に巻き込まれて両親と“死別”し、人身売買によって虐待を受け、戦場ジャーナリストに救出されたときには記憶障害を起こしていたとともに、ひとりごとが多かったと第5話で明かされていたが、やはりそれはFとの対話だった。児童養護施設でいじめを受けていた乃木は「もう消えてしまおう」と思ったとき、Fがやってきたと振り返っていた。「俺がお前のそばにいてやるよ。だから変なことは考えんな。生きるんだよ」と呼びかけたFは、乃木の中の生存本能が生み出したものなのだろうか。しかし気になるのは、乃木自身が持っていない知識をFが保有していたかのような描写だ。幼い乃木に、強くなるためアメリカのミリタリースクールへ行けと助言したのはFだった。実の父親が公安警察であるということを考えると、Fの誕生には乃木卓の意志も関わっているのかもしれない。ひょっとするとFatherの「F」……というのは穿ちすぎだろうか。

 そして第6話でもっとも注目を集めたのは、公安の新庄ではないだろうか。第4話に続いて尾行に失敗したが、かえって怪しさが増した。特に第6話では、乃木が日本に帰国する場面で、テントによるテロがニュースで報じられた際、乃木は携帯電話を見つめる新庄を発見し、自身もすぐに携帯電話を取り出していた。また、新庄が太田の部屋に踏み込むも何も発見できなかったシーンでは、にらむというでもなく、不自然に乃木に視線を送る場面があった。新庄が乃木と通じている別班である可能性を示唆させる部分だ。

 思えば第2話で「VIVANT」が別班の意味ではと野崎が推理してみせた際、なぜか新庄は乃木のほうを向いて驚いていた。新庄は乃木たちをバルカ警察から逃がす際は有能な力を発揮していたのに、日本に戻って別班や別班の標的を追うとなると急にポンコツになっている。ちょっとあからさま過ぎるが、新庄が“乃木側”の人間である疑いは第6話で増したといえるだろう。そもそも、乃木に顔がバレている新庄に乃木の尾行をさせるというのも不自然だが、野崎が新庄を疑っていて、新庄を試したのだとしたら……。ちなみに『VIVANT』の関連商品には「別班饅頭」というものがあるが、白の饅頭を中心に赤の饅頭が8つあり、これは司令の櫻井を除く別班のメンバーが8人いることを示唆しているとの推測も出ている。となると、第6話ラストで明らかになった6人以外にもう2人、別班のメンバーがいることになる。

 第7話は、いよいよ別班がテントに潜入することになるようだ。乃木はFとの対話の中で、自分たちが「愛」を理解していないと語り、父親であるベキに会いたい、「本当の息子だと分かれば、愛情を注いでくれるかもしれない」という期待すら抱いていることを告げる。Fは、医師の柚木薫(二階堂ふみ)やモンゴルで出会った少女・ジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)に抱いている思いが愛なのではと指摘しながらも、「ベキに会うのはいい。だが、その時は親父を殺す時だ」と警告する。父親への愛情。薫への感情。これが今後のストーリーにどう影響するのか。わざわざ「私のこと好きなんですか?」と確認しに乃木の自宅までやってくる薫の行動に裏はないのか。「敵か味方か、味方か敵か――」のキャッチコピーどおりの展開はまだまだ控えているだろう。福澤克雄監督は第7話が「一番衝撃的な回になります」と言っているという。今夜も、目が離せないシーンが盛りだくさんとなりそうだ。

■番組情報
日曜劇場『VIVANT
TBS系毎週日曜21時~
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、迫田孝也、飯沼愛、山中崇、河内大和、馬場徹、二宮和也、井上順、林遣都、檀れい、濱田岳、坂東彌十郎、橋本さとし、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李、役所広司 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織
原作・演出:福澤克雄
演出:宮崎陽平、加藤亜季子
脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
音楽:千住明
製作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/VIVANT_tbs

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/08/27 12:00
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