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『最高の教師』浜岡を学校に呼んだのはD組問題児集団の「影の軍師」? 星崎の狙いは…

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ドラマ公式サイトより

 松岡茉優主演の日本テレビ系土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』。9月9日に放送された第8話は、最終話に向けた急展開を予感させるエンディングとなった。

 鳳来高校3年D組の担任教師・九条が卒業式にD組の何者かに突き落とされ、「死にたくない」と願った瞬間、1年前の始業式に時間が巻き戻り「2周目」の人生をスタートさせるというところから始まる本作。九条に呼応してD組内のいじめに対し自らの心のうちを明かし、立ち上がった鵜久森叶(芦田愛菜)もまた「2周目」の人生を生きていることが後に明かされたが、1周目の人生で自ら命を絶った10月4日当日、鵜久森は帰らぬ人となってしまう。

 その日、鵜久森に何が起こったのか。星崎透(奥平大兼)は10月4日に撮影していた映像から、D組のリーダー格である相楽琉偉(加藤清史郎)の指示に従って波乱を巻き起こしている浜岡修吾(青木柚)が、生徒でもないのに鳳来高校の制服を着て登校しているのを発見する。このことをきっかけに、D組生徒の大半から疑いの目をかけられる相楽。「あいつ(鵜久森)は……俺のせいで死んだ」と意味深な言葉を口にするが、それは“犯行”の告白ではなく、贖罪の言葉だった。

 相楽の悪友・迫田竜輝(橘優輝)の「救ってやってほしい」という頼みを断りながらも、九条は相楽のもとを訪ねる。相楽がいつも浮かべる不敵な笑みは、自分の弱さを隠すための笑顔だった。相楽は鵜久森いじめについて悪いことをしているという自覚はありつつ、周囲もそれを楽しんでいるからとその問題に目を瞑ってきた。そしてそのことに無自覚なフリをしながら、自分のプライドを守るためにいじめを続けていたのだった。

 九条に鵜久森の「強さ」を説かれ、「これが、あなたが変わる最後のチャンス」と言われた相楽は、翌日、教室ですべてを打ち明け、自分はひどい人間だったと認める。そして、許されるわけがないとしながらも、「本当にすまなかった」とD組の生徒に頭を下げるのだった。これまでの悪行から鵜久森の転落死の最重要人物であった相楽だが、実際はシロだった。ただ、相楽自身は鵜久森の人生を闇に堕としたという点でクロだと自覚した。鵜久森の生前に心からの謝罪”ができなかった相楽だったが、涙とともに本心をさらけだしながら天国に届けた謝罪を、きっと鵜久森も聞いていたはずだ。

 相楽とその悪友である迫田はこれまでの行いを悔い改め、「最低の人間」と名乗った。これはタイトルである『最高の教師』との対比ではないか。しかし、九条はもとから生徒のためならすべてを捧げる理想の教師だっただろうか。1周目の無気力な姿勢が、卒業式に何者かに突き落とされるという結末を導き、それを悔いることのできる2周目の人生があったからこそ、九条は「最高の教師」へと近づいている。おそらく最後は、九条自身の“罪”――1周目における教師としての態度と改めて向き合うことになるのではないだろうか。鵜久森の死の運命こそ変えられなかったものの、九条が覚悟を決めて向き合うことで、D組どころか教師陣までも変えてしまった。それはつまり、1周目で九条が放棄してきたものでもあるのだ。

 2周目の10月4日、鵜久森に何が起こったのか。これはいまだ不明だが、浜岡がこの日なぜ鳳来高校に忍び込んだかは今夜放送の第9話でようやく明らかになるようだ。第9話のあらすじによれば、浜岡に学校に侵入するよう依頼した人物がおり、それはD組の生徒なのだという。一体この生徒とは誰なのか。

 ストレートに考えれば、いまだ“九条派”になっていない人物、つまり女子カーストの頂点に立つ西野美月(茅島みずき)が最有力候補だろう。相楽がクラスメイトに涙ながらに謝罪する際も、その改心ぶりが気にいらないのか、一度も相楽のほうを向くことなく、憮然とした表情でずっと前を見据えていた。目立つ存在でありながら、これまでスポットが当てられていない点からも、西野のストーリーが第9話で語られる可能性は高い。もう一人、大穴として筆者が注目しているのが、野辺桐子(田牧そら)。西野の陰に隠れてはいるが、これまで相楽らと同様にかなりの悪態をついてきた人物で、公式サイトの人物紹介には「問題児集団、裏の軍師」とまで書かれている。演じる田牧は「野辺の、明るさに秘めた内側の思いもリアルに表現していきたい」としており、その“内側の思い”が鵜久森の一件に関係する可能性も。

 星崎の狙いも気になるところだ。星崎は浜岡が校内に侵入する映像を、なぜか九条よりも先に東風谷葵(當真あみ)に見せていた。東風谷は鵜久森の死の理由をもっとも追及したい人物のはずで、東風谷に見せることで教室内に“反・相楽”の空気をつくろうとしたのではないだろうか。九条も、星崎が先に東風谷に見せたという話を聞いて、引っかかった様子だった。星崎は九条が「2周目」を生きていると確信している。星崎は学校生活を退屈だと感じ、相楽や西野らが九条を担任から外そうと嘆願署名を集めた際、九条がどう打って出るか「楽しみ」という理由だけでサインしていたような男だ。星崎もまた2周目を生きており、それがゆえに学校生活がつまらなかったが、九条が1周目とは明らかに違う行動を取ったからこそ、九条にすり寄ったのではないか。そして“親・九条派”が増えて落ち着きを見せ始めたD組の教室に波乱をふたたび起こすために東風谷に先に映像を見せて、相楽犯人説が広まるよう“仕掛けた”可能性もないだろうか。

 浜岡を学校に呼んだ生徒が誰かも気になるが、九条の1周目の人生を終わらせた人物が誰なのかもまだ明らかになっていない。その人物は2周目の鵜久森の死にも関わっているのか、それとも別なのか。物語はいよいよ大詰め。魂の授業の果てを見届けたい。

■番組情報
土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された
日本テレビ系毎週土曜22時~
出演:松岡茉優、芦田愛菜、奥平大兼、加藤清史郎、當真あみ、茅島みずき、山時聡真、本田仁美(AKB48)、窪塚愛流、福崎那由他、田牧そら、山下幸輝、寺本莉緒、萩原護、詩羽、田中美久(HKT48)、浅野竣哉、丈太郎、柿原りんか、橘優輝、莉子、田鍋梨々花、夏生大湖、藤嶋花音、岩瀬洋志、阪本颯希、岡井みおん、藤﨑ゆみあ、のせりん、細田善彦、長井短、サーヤ(ラランド)、犬飼貴丈、荒川良々、松下洸平
脚本:ツバキマサタカ
音楽:松本晃彦
主題歌:菅田将暉「ユアーズ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
演出:鈴木勇馬、二宮崇
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:福井雄太、鈴木努、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
公式サイト:ntv.co.jp/saikyo

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/09/16 12:00
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