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阪神vsオリックスの日本シリーズの裏にある、テレビ局、新聞社の知られざる“激闘”

阪神vsオリックスの日本シリーズの裏にある、テレビ局、新聞社の知られざる激闘の画像1
写真/Getty Imagesより

 10月28日から開催される阪神vsオリックスの日本シリーズ。全国のプロ野球ファンが注目する日本一を決定するカードだが、今年は熱狂的なファンが多い阪神と、パ・リーグ3連覇の強さを誇るオリックスの関西2球団が対決する。そういった経緯があってか、現場では主導権をめぐってテレビ、新聞各社もにらみ合いが続いている。

 テレビ局関係者は次のように語る。

「日本シリーズは各テレビ局が放映することになりますが、必ず“小競り合い”が起こるもの。そもそもテレビ局のプロ野球中継にとって最も重要なのは実況、解説、ゲストなどのキャスティングと中継車ディレクターです。キャスティングはそのテレビ局の色が最も出て、視聴者にもわかりやすく理解されるため、毎試合ごとに豪華なゲストを招きます。今回なら第1戦のNHK BS1にボストン・レッドソックスの吉田正尚、第2戦のテレビ東京系には去就が注目されるミネソタ・ツインズ前田健太と、現役メジャーリーガーの出演が決まっています。ただ、在京テレビキー局は全国区の解説者を無理やりキャスティングしようとして、地元放送局と衝突してしまう。実況、リポートを務めるアナウンサーもキー局がねじ込みがちですが、今回は関西対決のため概ね在阪テレビ局がアナウンサーの人選を決めることができたようです。

 一方、中継車ディレクターは試合中継でどの画を視聴者に見せていくのか、いわば放送の先導役になる。そのため視聴率などを考慮すると人気球団ゆえ、意図的に阪神びいきの演出もでてしまう。こういったつばぜり合いを避けるため、過去には『放送席のキャスティングは地元局』、『中継車ディレクターは在京テレビキー局のスタッフ』といった話もありました」(テレビ局関係者)

 そして新聞社も社内で“内ゲバ”が勃発することも。

「今回は在阪スポーツ紙に所属する記者が担当することになり、やはり中心になるのは阪神担当、いわゆるトラ番。言うまでもなく人気球団である阪神ありきの紙面構成を関西ではシーズン通して担当しており、監督やコーチ、もちろん選手とのパイプも太く、独自の取材が展開できることが理由です。関西対決の今回は、阪神勝利の翌日は1、2、3、4、5面まで阪神で展開する媒体もあるでしょう」(スポーツ新聞運動部記者)

 一方のオリックスでは少し勝手が違うようだ。

「オリックス担当記者は、一部を除いて基本的に若手が配置されます。運動担当記者の間では有名な話ですが、阪神は取材規制が厳しいことでも知られているが、オリックスは取材規制が比較的緩い。そのため、選手との人間関係構築や人事ニュースの“抜き方”を学び、そこで評価されると阪神担当に〝栄転〟となる。ただ時代の流れなのか、最近の若手記者は長時間拘束の上、原稿量も多くタイムパフォーマンスがすこぶる悪いトラ番になることをかたくなに嫌がります。パワハラとも捉えられるため、無理強いすることも難しい。そういった経緯もあり、近年人材不足も目立ち『辞められたら頭数(記者の数)がいなくなって困る』という意識が管理職の間では年々強くなってきています」

 セ・パのトップが激突する日本シリーズの裏では、こんな小さな戦争がおこなわれているのだ。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2023/10/28 12:00
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