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「SMILE-UP.」東山紀之社長が新会社社長を辞退…を報じるマスコミに告ぐ

過去を清算しつつ、未来に向けた改革を進めるジャニーズ。批判の矢面に立ちながらも、その重責を担い、新生ジャニーズを牽引する覚悟を見せていた東山紀之氏が、新会社の社長就任を辞退するという一報が入ってきた。表向きは、新会社の役割に応じた経営のプロにバトンタッチすべきというもののようだが、実際には、新経営陣にまで及んだバッシングが影響しているのは間違いないだろう。果たして、今回の辞退は正当な判断だったのか。この間一貫して、ジャニーズに対する過剰な責任追及と不条理な批判に異を唱えてきた作家の沖田臥竜氏は憤る。「これはマスメディが犯した罪だ」と――。

毅然としていた東山社長と井ノ原副社長の覚悟

―旧ジャニーズ事務所の性加害問題を巡り、同事務所から社名変更した「SMILE-UP.(スマイルアップ)」の東山紀之社長(57)が、近く設立されるタレントのマネジメントなどを担う新会社の社長就任を辞退したことが31日、関係者への取材で分かった。既にタレントらに通知しており、新社長は外部から招く方針―産経新聞より引用)

 どの口が言っているのだろうか。自分たちで、出直しを図ろうという新経営陣を吊しあげるだけ吊しあげ、ジャニーズにかかわるものはすべからく悪という空気を醸成させておきながら、マスメディアは、今回の辞退劇を招いたことに罪悪感を微塵も感じないのだろうか。

 少なくとも記者会見を通して、我々に反省と再生への想いを語った東山紀之社長や井ノ原快彦副社長の姿は立派だったし、今後に期待できる姿勢だった。あの場で、記者と称する“その他大勢”からなじられ続けても、決して気後れすることなく、凛とした姿で対応していたではないか。

 逆の立場になったらとは単なる夢想かもしれないが、同じ立場に立たされて、あの2人のように毅然とした態度で記者会見に応じることのできる記者はいただろうか。

 例えば、記者会見で騒ぎに騒いだ挙げ句、「もう一度、記者会見を開け」など声高に叫んでいる望月衣塑子記者は、森友文書改ざん事件で赤木俊夫さんの遺族側から批判された時、記者会見を開いて対応したのか。あの騒動のお陰で、私も少なからず被害を受けたことを本人だって知らないわけがない。それでもだ。理由はどうあれ、あのとき、週刊文春の報道に引っ張られる形で、ネット世論が望月記者をなじる構図は、もはや弱いものイジメにしか見えなかった。だから、私はあの時に味方したのだ。

 それが逆の立場になったら、あの言動である。テレビ局もテレビ局だ。あれを生放送でタレ流していたのだ。本来ならば、不適切な発言を公共の電波に載せたことに対して、反省すべき個所もあったのではないのか。そもそも、ジャニーズ叩きの論調という土台の上であれば、何をやっても許されるのだろうか。例えば、東山社長にまで性的虐待の疑惑があるという、裏取りもできてない、偏った情報源からのネタを持ち出し、不適切な表現を用いてお茶目の間にタレ流してしまったことが許されるとは思えない。質問という体裁であっても、誰かの名誉を毀損するような発言が許されるはずがないのだ。

 道義的問題だけでなく、真偽不明の怪文書のまがいの情報を流布したら、流布した人間も責任を問われることは法的にも認められていることである。だが、そんな愚行がまかりとってしまったのが、あの記者会見なのだ。そして、社会的なチェックが正常に機能していれば、望月記者の言動などは何らかの措置を取られてもおかしくないのに、その機能が麻痺してしまうほどの異常な空気にあの時の社会は包まれてしまっていたのだ。

 そもそも、当事者のジャニー喜多川氏はもう他界している。もちろん、喜多川氏を擁護するつもりはない。だが、法廷はもちろんのこと、公益性が帯びるジャーナリズムにおいては、加害者と被害者の両者の言い分を聞いた上で判断しなければならないのが鉄則である。そうでなければ、言ったもん勝ちになってしまう。それが如実に現れてしまっているのが、現在のジャニーズ問題ではないのか。

 当事者なき審判というバランスを欠いた炎上劇の火の粉は、会見に応じた東山社長や井ノ原副社長にまで飛び火した。会見後、2人を批判するような言説がどれほど飛び交ったことか。それを誰もおかしいと感じないところが、私はおかしいと言っているのだ。

 何を専門としているコメンテーターかはわからないが、何かあればしたり顔で「後手、後手に回りすぎている」と使い尽くされたセリフを口にする人がいたが、結果だけを見て「こうすればよかったのに」などと指摘してみせるのは、わざわざしたり顔をしなくとも誰だってやれること。大事なことは、ジャニーズ問題にかかわる人々の未来に対する、建設的な提言ではないだろうか。

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