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男子バレーはジャニーズ排除で加速、サッカー日本代表も若返り――「推し活の現場」となるプロスポーツ

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男子バレーボール日本代表(写真/Getty Imagesより)

 16年ぶりに自力での五輪前年での出場権を獲得した男子バレーボール日本代表。FIVB(国際バレーボール連盟)の世界ランクも4位(11月20日現在)まで上昇し、2024年のパリ五輪でのメダル獲得も期待されている。

 まさに史上最強との呼び声も高いバレーボール日本代表だが、試合会場では女性ファンの黄色い歓声が飛び交い、選手のうちわを持って応援するファンなども出現。まさにアイドルグループのコンサート会場のような様相を呈している。

 バレーボールの国際大会における黄色い声援といえば、旧ジャニーズ事務所のグループへ向けられたものが多かった。フジテレビが中継する『ワールドカップバレー』では、1995年以来毎回ジャニーズグループがスペシャルサポーターを担当。試合前に楽曲を披露するなどして盛り上げるわけだが、そのジャニーズグループ目当てに会場を運ぶファンが多かったのだ。

 しかし、今年開催されたワールドカップバレーでは、故ジャニー喜多川氏の性加害問題を受けて、ジャニーズアイドルの起用を取りやめた。大会の盛り上がりを不安視する向きもあったが、結果としてはジャニーズ抜きでも大盛況となったのだ。

「今の日本代表には、石川祐希、高橋藍、西田有志といった人気と実力を兼ね備えた選手がいるということもあるんですが、ジャニーズが関わらなかったことで、ジャニーズに興味がないバレーボールファンが現場を訪れやすくなったという側面はあります。これまでジャニーズが登場していた現場では、ジャニーズファンがチケットの取り合いに参戦してきますし、スポーツの現場なのに会場がジャニーズ色に染まるということで、ジャニーズファン以外が萎縮、敬遠してしまう部分がありました。しかし今回はジャニーズがいないことで、バレーボールファンが思う存分選手を推せたという状況でしょう」(メディア関係者)

 そもそもバレーボールには、潜在的なファンが多数いたとも言われている。

「バレーボール漫画の『ハイキュー!!』(集英社)は長きにわたってメディアミックス展開をしており、熱心なファンを抱えています。これをきっかけに実際のバレーボールに興味を持つようになったファンも多い。応援のスタイルがスポーツファンのそれではなく、“推し活”に近いものとなっているのは、そういった事情も影響してそうです」(同)

 バレーボールだけでなく、サッカー日本代表の選手たちもまた“推し活”の対象になりつつあるという。サッカーの現場を知るスポーツライターはこう話す。

「サッカーは男性や子どものファンが多いんですが、現在の森保ジャパンは、年齢層問わず女性のファンが増えているという印象です。練習を見学する女性も多いですし、試合会場の出待ち入り待ちをする女性も多い。男性アイドルのような感じで、日本代表選手を応援するファンが増えていることを実感します」

 日本サッカー協会の公式YouTubeチャンネルでは「Team Cam」と称して、代表チームの練習や宿泊施設での様子などに密着した動画を公開。日本バレーボール協会の公式YouTubeでも、同様に代表チームに密着したTeam Cam動画をアップしている。この動画のコメント欄からもまた、“推し活”の雰囲気がにじみ出ている。

「選手のプレーや試合の内容・結果に関するコメントだけでなく、選手同士の関係性やオフのときのワチャワチャ感などに対するポジティブなコメントがとても多い。多くのファンがそういった場面を求めていて、編集する側もそこをちゃんと理解している。Team Camのような試合以外の部分の楽しみを与えてくれるコンテンツがあるからこそ、“推し活”的な応援がしやすくなっているのです」(同)

 また『ハイキュー!!』のように、スポーツ漫画の影響も大きいようだ。

「バレーボールなら『ハイキュー!!』、サッカーなら『ブルーロック』(講談社)や『アオアシ』(小学館)など、男女問わず人気の高い漫画を入り口にして、その後実際の選手を推すようになるファンはたくさんいますね。漫画のキャラと実際の選手を重ね合わせて“推し”の選手を決めるというのも、ひとつのパターンになっています。

少年漫画の支持層もどんどん変わっていて、今は女性の読者がかなり多く、“プロスポーツといえば男性が見るもの”という常識はもはや過去のもの。スポーツの現場が“推し活の現場”となっているのも自然な流れです」(同)

 来年のパリ五輪でも、男子バレーボール日本代表が大いに盛り上がることは間違いなさそうだが、さらに五輪でのサッカー日本代表にも注目が集まっている。

 来春にパリ五輪予選を兼ねたU23アジアカップがカタールで行われ、上位3組に入るとパリ五輪出場確定。4位になると大陸間プレーオフに進むこととなる。

「アジアのパリ五輪出場枠が3.5と少ないので、予選もかなり厳しい戦いになるでしょうが、もし出場できれば、人気が爆発しそうです。23歳以下の若いチームになるので、それこそ若いアイドルグループのように“推し活”の対象としてはもってこい。日本サッカー協会もそのあたりはわかっているはずなので、より“推し活”がしやすくなるようなコンテンツの提供もあるかもしれません」(同)

 あらゆるものが“推し活”の対象となるこの時代。プロスポーツを盛り上げる、重要な手段となっていきそうだ。

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2023/11/28 08:00
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