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白血病の娘のために集まった募金を横取り!? 実父が医師に安楽死を要求

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 「女児ひき逃げ放置事件」が発生し、中国社会の道徳崩壊が声高に叫ばれるきっかけとなった広東省仏山市で、さらに驚愕せざるを得ない事件が発生した。

 なんと実の父親が、娘の治療のために全国から集まった募金を横取りしようとしていたことが発覚したのだ。

 仏山市の病院に入院しながらも、経済的な理由で治療中断の危機に瀕している5歳の白血病の少女を救うため、少女の担当看護師らが呼びかけ人となり、中国版Twitter「微博」で広がった募金活動。数日の間に募金者は1,000人以上に上り、治療費を賄える100万円を突破した。道徳崩壊への批判も高まる中国だが、今回ばかりは善意も存在することが証明される結果となり、「めでたしめでたし」の美談となるはずだった。

 ところが7月2日になって、少女の父親が「借金返済に流用しようとしている」として、母親が管理する募金を自分に渡す要求。「さもないと、少女を力ずくで病院から連れ去る」と脅したのだ。しかし父親は、医師に対して密かに娘の安楽死を要求しており、少女を見殺しにした上で、集まった募金を横取りしようとしていたことが明らかになったのだ。さらに父親は、過去にも少女の治療費として親戚縁者が用意した約13万円を横領した前科があるという。

 その後、騒ぎを聞きつけた地元の婦人団体が駆け付け、丸一日かけて父親を説得。募金のすべてを病院側が管理し、医療費に使われなかった部分は慈善団体に寄付することに同意した。

 ところが、こうした騒動を目の当たりにした少女は今回の一件で深く傷ついており、「天国に行ってお姉ちゃんを護ってあげる」と、まるで死を希望するようなことを担当看護師に話しているという。 

 善意とは与える側と受け取る側の両方の道徳がそろってこそ、初めて意味のあるものになるということか。この国の道徳回復は、まだまだ先になりそうだ。
(文=牧野源)

最終更新:2012/10/11 20:00
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