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イエメン大富豪の無理難題にユアン・マクレガーが挑む!『砂漠でサーモン・フィッシング』

m0000000702.jpg(C)2011 Yemen Distributions Ltd., BBC and The British Film Institute.
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 今週も話題の最新映画の中から、奇想天外な展開とユーモラスなエピソードに引き込まれ、終盤はじわじわと感動がわき起こるユニークな実写作品と3Dアニメの2本を紹介したい。

 『砂漠でサーモン・フィッシング』(12月8日公開)は、英国で話題を呼んだベストセラー小説をユアン・マクレガー主演で映画化したハートウォーミングなドラマ。英国の水産学者ジョーンズ博士(マクレガー)のもとに、イエメンの大富豪の代理人を務める女性ハリエット(エミリー・ブラント)から奇妙な依頼が舞い込む。「砂漠の国イエメンに鮭を泳がせて、鮭釣りができるようにしてほしい!」。ジョーンズは実現不可能と断るが、中東との緊張緩和を演出したい外務省が支援を決め、荒唐無稽な国家プロジェクトに発展。しぶしぶ承諾したジョーンズだったが、大富豪やハリエットの人柄に触れ、共に難題に取り組むうち、心境に変化が訪れる。

 『スラムドッグ$ミリオネア』(08)のサイモン・ボーフォイによる脚本と、『ギルバート・グレイプ』(93)のラッセ・ハルストレム監督のメガホンで、英国人らしい風刺の効いたストーリーを巧みに映像化。意表を突くスリリングな場面やスペクタクルなシーンが出てくるかと思えば、政治家と広報官のショートメッセージを使ったお茶目なやりとりや、意味深な「魚視点の映像」など、クスリと笑わせるウィットも効果的。次々に問題が降りかかるプロジェクトの成否に加え、ジョーンズとハリエットのほのかな恋の行方も最後まで見逃せない。
 
 続いて12月15日公開の『フランケンウィニー』(2D/3D上映)は、『アリス・イン・ワンダーランド』(10)のティム・バートン監督が、ストップモーションアニメのモノクロ3D映像という珍しい表現形式にチャレンジした意欲作。科学と映画作りが大好きな少年ヴィクターは、唯一の「親友」だった愛犬スパーキーを交通事故で亡くしてしまう。悲嘆するヴィクターだったが、カエルの死体に電気を流すと脚が動く実験にヒントを得て、落雷の電力を利用しスパーキーを見事よみがえらせる。しかし、死んだ犬を蘇生させたことが同級生らに知られてしまい、小さな町にやがて大騒動が持ち上がる。

 バートン監督が長編デビュー前、1984年に製作した同名の実写短編映画が今作の原点(ただし当時から、ストップモーションアニメの構想はあったとか)。絵やパペットのキャラクターを動かして「命を吹き込む」というアニメーションの魔法に出会った若き日のバートンの喜びが、古典ホラー『フランケンシュタイン』を下敷きにした本作のストーリーにオーバーラップする。バートン監督のトレードマークであるキモカワ系のキャラたちが、ノスタルジックなモノクロの映像にしっくりとなじみ、さらに最新の3D映像技術で活写された本作。日本の怪獣映画も含む過去の特撮モノやホラー映画へのオマージュも満載で、往年の映画ファンから親子連れまで幅広い世代が楽しめる娯楽作に仕上がっている。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『砂漠でサーモン・フィッシング』作品情報
<http://eiga.com/movie/58008/>

『フランケンウィニー』作品情報
<http://eiga.com/movie/56857/>

最終更新:2012/12/07 21:00
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