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『たくらむ技術』発売記念インタビュー

『ロンハー』『アメトーーク!』の仕掛け人・加地倫三が明かす、“たくらみ”と“アクシデント”の両輪

kaji01.jpg好調・テレ朝を支える頭脳・加地倫三氏。

 昨年、1959年の開局以降初めての「年間プライム視聴率1位」を達成したテレビ朝日。フジテレビ、日本テレビなどかつての王者たちが苦戦する中、好調テレ朝を支えるのは、もはやこの局の代名詞となりつつあるバラエティ枠である。今回、『たくらむ技術』(新潮新書)を上梓した同局プロデューサー加地倫三氏は『ロンドンハーツ』『アメトーーク!』などのヒット番組で同局プライムトップに貢献するとともに、現代のテレビバラエティの潮流を生み出すキーパーソンの一人。多くの芸人からラブコールを受ける加地氏は、どんな「たくらみ」を持ってテレビ制作に臨むのか。そこには万年“二番手”だからこそ成し得た、逆転の発想があった。

――『たくらむ技術』の中で、「『ロンドンハーツ』や『アメトーーク!』が芸人さんをブレイクさせたのではなく、もともとその人に才能があったからだ」と書かれていましたが、ではなぜ、芸人さんはほかの番組では見せない顔を、この2つの番組で見せるのか。その理由に、今回の「たくらむ」という意味の本質があるように思います。

加地 『アメトーーク!』は、「この番組に出るときの芸人さんが一番面白い」と言われることを目標にしています。その人の面白いところを最大限に出す番組にしたいと。『ロンドンハーツ』ももちろんそうですが、あの番組はまた違うイジリ方をするので……ドッキリや暴露などでハメたりしながら面白いという形に。

――『アメトーーク!』はトーク、『ロンドンハーツ』はドキュメンタリーという具合に、それぞれ「たくらみ方」が違うと。

加地 以前親しい人に『ロンドンハーツ』をやっている時の僕と、『アメトーーク!』をやっている時の僕とでは、顔が違うと言われたことがありまして(笑)。『アメトーーク!』の時は柔らかい表情なのに、『ロンドンハーツ』では急に鋭くなると。確かに『ロンドンハーツ』の時は何かイジってやろうとか、痛いトコ突いてやろうみたいな、それこそ常に企んでいますね。『アメトーーク!』の場合は、まず個人戦でトークを完結させる。それをみんなで一緒に盛り上げる。個人戦を積み重ねての団体芸。一方『ロンドンハーツ』は誰かをイジって拾って……という笑いが多いので、MCを含めて最初から団体芸になるんです。そういう意味で、各番組のタイプによって合う合わないが、芸人さんにもあるかもしれません。

――芸人さんひとりひとりを、よく観察すると。

加地 すべての企画に、シミュレーションは欠かせません。この人だったらこうなるだろうな、こういう展開になるだろうな、と。シミュレーションの段階で見えないものは、基本的に排除しています。もちろん思い通りにならないことも多いですけど、それなりに大枠として流れを持っている。自分なりの勝算があって、初めて現場に行きます。

――その上でのアクシデントなんですね。

加地 若い頃は、思った通りに進まないと、焦ったりイライラしたり。うまくいかないことも逆に見せたほうが面白いと考えられるようになってから、楽になりました。『アメトーーク』で誰かが思いっきりスベった時や『ロンドンハーツ』のドッキリでのハプニングなど。以前、パンブーの黒瀬に恋愛ドッキリ仕掛けたんですが、答えがなかなか出なくて、白でも黒でもないところをグルグルしている。で、最終的に「グレー」ということに。これがリアル! って(笑)。落ちないものは落ちないし、かといって真っ白でもないし。グレーという答えが出せるようになってから、より強くなった気がします。

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