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『たくらむ技術』発売記念インタビュー

『ロンハー』『アメトーーク!』の仕掛け人・加地倫三が明かす、“たくらみ”と“アクシデント”の両輪

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――視聴者的にも、新たな選択肢が与えられた瞬間でした。

加地 あのグレーが、また次のドッキリの伏線になるんです。「白、黒……グレーもあるかも」と。前回のグレーがあるから、「黒」と「白」が生きてくる。全部一回キリではなく、次に続いていくものです。

――それは、本書にも出てきた『アメトーーク!』の“捨て回”にもつながりますね。ヒット企画の合間に「え? これは何?」という回をあえて挟む。“食シリーズ”や、女性観客がポカンとする“男塾”や“ビーバップ”などなど。マニアックな回を作る上で、気を付けていることはなんですか?

加地 大きく2つあって、まず知らない人が面白いと思えるか。もう一つは、それをすごく好きな人が見ても満足できるか。そのジャンルの素人さんへの理解と、「置いてけ」の笑いのバランスですね。漫画でいえば、雨上がりの蛍原さんは漫画をまったく知らないので、蛍原さんに説明するという初期設定を設けます。だけど、そこにはその漫画への愛にあふれた芸人さんばかりがいるので、マニアックなワードがどうしても出てくる。蛍原さんの「そんなん分からんわ!」って言うところを、それが好きな視聴者には「こんなことテレビで言っちゃって……オレは分かるけど」って、“オレだけ感”を堪能してもらえるんです。

――“食シリーズ”のスーパースローとか、“超くだらない!”と思いつつグッとくるんですよ(笑)。

加地 これは僕の持論なんですけど、テレビを見る時はなんらかの設定というか、ラインを引きませんか? 「こうなるだろうな」と予測する見方もあるだろうし、「つまんなそうだな」「面白そうだな」もひとつのラインですよね。自分の設定から振り幅としてどっちに振れるかを、面白さの基準にしていると思うんです。“油揚げ”は、その設定がものすごく低い(笑)。それをちょっと超えれば「意外と面白かった!」って思ってもらえる。逆に期待値がものすごく高かったら、80点でも満足してもらえないし。そもそも「油揚げ芸人」というタイトルでも見てくれるということは、もう優しい気持ち以外の何物でもない(笑)。

――大仰なタイトルやCM明けの煽りは、その正反対に作用しますね。

加地 期待値を超えるものを時々でも出していれば、煽ってもいいとは思います。だけど今のテレビは、煽ってるのに超えないものがほとんどなんです。だから視聴者も「引っかかんねえぞ」って見なかったり、見たとしても「やっぱり大したことないじゃん」と、その番組に対して悪意さえ持ってしまう。サイゾーさんの場合の煽りはね、それとはまったく別次元だと思いますが(笑)。

――サイゾーという媒体の特性でしょうか。煽ってナンボの。

加地 それこそ歴史だと思います。ずっとそのスタンスを貫いてきた、というブランドですよ。僕は「ブレない」ことをずっと目指していて、それはさまぁ~ずから学んだんですけどね、ブレないカッコよさというものを。ブレないとブランドになるんですよ。

――『アメトーーク!』や『ロンドンハーツ』は、もう立派なブランドだと思うのですが。

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