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中国の地理的利点が失われる? 猪瀬氏の「標準時前倒し案」に現場から賛否の声

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 5月、猪瀬直樹都知事が提言した「日本標準時前倒し案」。日本の標準時を2時間前倒しすれば、米ニューヨーク市場が終わる時にアジア最大の東京市場が開くようになり、香港やシンガポールの外資系金融機関のアジア拠点が日本に移転することによる経済効果が期待できるというものだ。


 この提言に、元経済財政相で経済学者の竹中平蔵氏は賛成の姿勢を、麻生太郎副総理・財務・金融相や、「子午線の街」である兵庫県明石市長、日本証券業協会会長はそれぞれ反対の姿勢を示すなど、賛否両論の声が上がった。しかしその後、議論は立ち消えとなったのか、この件に関する続報はない。

 ところが、国際舞台で活躍するビジネスマンの間では、いまだ懸案事項となっているようだ。

 毎月3回の中国出張をこなしている都内貿易会社の男性は、猪瀬氏の提言を歓迎する。

「標準時前倒しが実現すれば、中国との時差は3時間に広がる。そうなれば、午前の直行
便で東京を出れば、午前中には中国の各都市に到着できるようになり、出張初日からフル稼働できる。北京や上海なら、とんぼ返り出張も容易になる。出張時の時間と宿泊費の節約になるのはもちろんのこと、日本企業が中国国内に構えている拠点も不要になるケースが出てくるのでは」

 一方、中国広東省で、プラスチック成形加工メーカーを営む男性は、標準時前倒し案に反対の立場だ。

「現在、日本と中国の時差は現在1時間。それだけでも日本のクライアントとやりとりできる時間は1時間少ない計算になる。それが3時間に広がれば、こちらの昼休みが明けて1時間ほどで日本の企業は終業時間を迎えることになり、日本とやりとりする時間はほとんどなくなる。中国国内とのやりとりもあるので、就業時間帯を日本に合わせて早めることも難しいし、従業員もそんなに早く出社させられない。日本と地理的に近いことが中国のアドバンテージのひとつだったのに、時差が開けばその価値も薄れてしまう」 

 文字通り、市民の生活の基盤である時間の変更に際しては、十分に成熟した議論が
求められる。
(文=牧野源)

最終更新:2013/06/21 15:00
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