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深夜の”放送禁止”番組 人気の秘密は新感覚ホラーにあり!?(前編)

kitano_kame01.jpg(c)『放送禁止 劇場版~密着68日 復讐執行人』製作委員会

 知る人ぞ知る”ドキュメンタリー番組”『放送禁止』をご存じだろうか? フジテレビで、2003年4月より深夜に不定期放送され、回を重ねること現在6回。第1回(03年4月1日放送)なら「心霊」、第3回(04年3月26日放送)なら「ストーカー」、第6回(08年6月23日放送)なら「家庭内暴力」などと毎回テーマが設定されている。第2回「ある呪われた大家族」(03年6月7日放送)では、最初は仲睦まじかった家族が被写体となっており、怒声とともに長女に対して徐々に暴力を振るうようになる父親、捨てても捨てても家に戻ってくる心霊写真ーーとショッキングなシーンが続き、ラストでは、その家族の裏側に潜んでいたある恐ろしい陰謀が暗示される。その直後、「あなたには真実が見えましたか?」とテロップが表示され──。

 その圧倒的なリアリティとホラー性、そして謎解きの要素が受けてカルトな人気を呼び、不定期放送でありながら、ネット上では異常な盛り上がりを見せているのだが、実はこの番組、綿密に作り込まれたドラマ、つまり”フェイクドキュメンタリー”である。番組ラストに、「この番組はフィクションです」とのテロップが流れるものの、なんの予備知識もなく観た視聴者からは、抗議、怒りの電話も多いという。

 しかしながら、深夜番組ファンの間では「規制の厳しい今のテレビ業界で限界の表現に挑戦している」「新しいストーリーテリングの形」と評価は高く、ネット上にはいくつもの謎解きサイトが乱立しているほど。

 現在、『放送禁止 劇場版 密着68日 復讐執行人』なる映画版も公開中のこの「放送禁止」。今回は、そのすべての”首謀者”であり、企画、脚本、演出を手掛ける長江俊和監督を直撃。番組が生まれたきっかけ、制作意図、そして映画化にまでの道のりを語ってもらった。

──視聴者からの抗議や質問の電話が多いみたいですね?

kantokusan.jpg【長江俊和(以下、長)】 そうですね。応援の声もあるんですが、「人を騙して楽しいのか」「なんでこんなの放送するんだ」なんて言われますね。第2回放送後には、深夜3時台の放送に関わらず、フジテレビのその週の視聴者からの問い合わせランキングベスト10にも入りました(笑)。ただ、騙すのが目的ではないんです。既存のドラマ、ドキュメンタリーという枠では表現しきれない社会問題、時代の空気みたいなものを映像化する、というのが制作意図。そこから、新しい恐怖の形を見せたいと考えています。

──2ちゃんねるやmixi、ブログなど、ネットでの盛り上がりも凄いです。

【長】 僕が演出するゴールデンのドラマ以上に反響がありますね(笑)。書き込みはたまに読んでいますよ。深夜の放送であるにも関わらず、ネットはダイレクトに反応が返ってくるから面白いですね。

──そもそも「放送禁止」は、どういった経緯で生まれたんでしょう?

【長】 ゴールデンの時間帯での2時間の特番企画を考えていた時に、フェイクのバラエティをやれないかと考えました。1938年にアメリカの映画監督、オーソン・ウェルズがラジオドラマで「火星人襲来」をリアルな臨時ニュースのような演出で放送して、騒動になったことがあったんですね。そのテレビ版をやろうと企画を出したんですが、通るわけもなく(笑)。ただ、ゴールデンは厳しいけど深夜ならいいんじゃないかと。99年に『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が話題になっていたし、世間にフェイクドキュメンタリーというジャンルも浸透しているだろうということで。

──なぜ、”フェイクドキュメンタリー”という形なんでしょうか?

【長】 僕は元々映画やドラマなど、ノンフィクションではなくフィクションの映像制作が本職です。ドキュメンタリーの良さは、フィクションにはない映像の迫力やリアリティにあります。そのリアルな質感をドラマに応用できないかなと、前々から思っていました。ただ、そこを追求し過ぎると本物のドキュメンタリー番組にしか見えなくなってしまうので、どこかにドラマ的な要素を入れるようにしなければいけない。パッとテレビをつけた人に対し、「ドキュメンタリーやってるけど、なんか変だぞ」といった違和感を与えられるようなものを作ろうと。
(取材・文=岡島紳士/後編につづく)

●『放送禁止 劇場版 密着68日 復讐執行人』
料金を払って復讐を代行する闇サイト「復讐専門サイト”シエロ”」の管理者である仮面の女「七川ノラム」を、取材スタッフが追う。「テレビ版5本分くらいのアイディアを詰め込んでいるので、内容はかなり濃密です」(長江氏)とのこと。
池袋シネマ・ロサほかにて、全国公開中
監督/長江俊和 配給/ジョリー・ロジャー、ポニーキャニオン
公式サイト<http://www.housoukinshi-movie.com

●長江俊和
ながえ・としかず 1966年、大阪府生まれ。演出家、映像監督。『富豪刑事』(テレビ朝日)、『MMR』『木曜の怪談 妖怪新聞』(ともにフジテレビ)などのドラマや、バラエティ『奇跡体験!アンビリバボー』(同)など、多数の番組を手がけている。

放送禁止 DVD封印BOX

いや、本当に怖い。これは。

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最終更新:2008/09/24 19:11

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