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お笑い帝国・吉本興業の「お家騒動」創業者長男・林正樹氏の”放逐”で新局面へ

yoshimototokyo.jpg08年に移転した吉本興業東京本社

 お笑い帝国のお家騒動が大きな節目を迎えた。吉本興業の現経営陣と対立している創業家一族「林家」の長男で吉本子会社の「吉本倶楽部」に勤務している林正樹氏が、今月末で同社を退社することが分かった。吉本側は4月、林氏に対して香港への転勤を命じていたが、正樹氏がこの辞令を受け入れず、退職を願い出たという。吉本関係者は「事実上、吉本が追い出しに成功したということ」と解説する。吉本と林家の争いは、林家側が正樹氏を役員にするよう要求して勃発し、現在も場外戦と言える法廷闘争が続いている。しかし、今回の追放劇で、吉本にとっては内部の反乱分子が一掃されることになる。

「お家騒動の勃発当時、正樹氏は本社のプロデューサーだったが、現経営陣はその後、正樹氏を子会社に転属させた。その際、正樹氏は辞めるのではないかと見られていたが、結果的に辞めず、経営陣は『なんであいつは辞めないのか』と怒っていた」(吉本の内部事情に詳しい関係者)

 今回のお家騒動は、正樹氏の母親で昨年に亡くなった林マサ氏の意を受けた大阪の元暴力団関係者で実業家M氏が、当時は副社長だった大崎洋社長を呼び出し、正樹氏を「取締役にしろ」と”脅した”ことが表面化して始まった。

 当時は大株主でもあった林家側にすれば、故林裕章会長に「息子をよろしく頼む」などといわれていた経営陣に対して、「”約束”を履行しろ」という話だったと見られている。

 だが、経営陣は、正樹氏について「経営者の器ではない」と見ていたうえ、M氏が、当時の大株主の意向をまとめ、株主総会などで問題視することで「社長の首は簡単にとれる」などと強硬な態度で迫ったことに猛反発した。

 その結果、かつては林裕章元会長の腹心だった中田カウスが、林家と暴力団との繋がりを暴露し、それに対して、林マサ氏が反論するなど、ドロ沼の争いとなった。

 そして現経営陣はその後、正樹氏を子会社に飛ばしたほか、何度かの株主総会を経るなかで、林家寄りだった役員を退陣させるなどして、内部の反抗分子を徐々に減らしてきた。

 一方、昨年には林家の大株主としての影響力も完全に排除することを狙い、実質的なMBOとも言えるTOBを実施して、吉本の非上場化まで実行。その非上場化が成功するメドが立った後の4月、正樹氏に対して、吉本倶楽部が新しく香港に作る支部の香港室長を任ずるという”栄転”の辞令を出し、正樹氏に対して最後の圧力をかけていたのだ。

 正樹氏は、こうした争いが表面化した直後は、自分が「副社長になる」などと周囲に吹聴したこともあり、反林家の関係者は「あのボンボンは……」などと怒っていた。

 だが今回、「おそらく、このまま内部に留まっていても、今の経営陣の圧力に抗しきれないと考えたのだろう」(吉本関係者)と退職の意思を固めたと見られている。

 正樹氏は21日、複数の関係者にメールで「退職のご挨拶」を配信したが、そこでは退職の理由を「一身上の都合」としているほか、最後に「吉本興業グループの御発展と皆様方の御多幸をお祈り申し上げます」などと大人の対応も見せている。これにより、吉本のお家騒動は、一つの節目を越えたといえる。

 ただ、それによってお家騒動が完全収束に向かうのかと言えば、そうは言い切れないところもある。本サイトでもすでに報じているが、吉本の元株主2人が4月に、吉本の非上場化を決めた今年1月の臨時株主総会の議決は「無効である」という民事訴訟を大阪地裁に提訴している。

 この裁判で原告側は、非上場化の過程で少数株主を強制排除した吉本の手法は、会社法の主旨に反しているなどと訴えているが、この強制排除に関しては、法曹関係者の間などで現行法を見直す動きが出てもいる。

 そして、この原告のうちの1人は、お家騒動を勃発させたM氏に繋がる人物であるうえ、M氏は、昨年に林マサ氏が亡くなって、林家のごくごく限られた身内だけで執り行われた葬儀などにも出席しており、「正樹氏とは、いまだに交流がある」(吉本関係者)と見られているからだ。

 また今回、正樹氏は吉本と直接的な関係はなくなるが、林家は非上場化の過程でも吉本の大株主として残った資産管理会社「大成土地」の大株主であり、いまだに正樹氏は間接的には、吉本の有力な関係者でもある。

 このため、「いままで自分が内部にいたので、正樹氏は自分自身が表立って反吉本の動きをしていなかった。けれども外部に出たことで、何らかの行動を起こす可能性もあるのではないか」と見ている吉本関係者もいる。

 今では主戦場が、株主総会から場外の法廷闘争に移ったお家騒動だが、今後もさまざまな波乱が起こる可能性がありそうだ。
(文=原田翔)

吉本興業の正体

深入りしないほうがよさそうです。

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最終更新:2018/12/10 19:16
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