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あの社長もこの博士も失敗だらけ 偉人17人の失敗秘話『失敗の教科書。』

shippai.jpg『失敗の教科書。』(扶桑社)

 「ザ・プレミアム・モルツ」(サントリー)のCM契約料が1億円の大台に到達し、現在絶好調の矢沢永吉だが、バブル期、事業に失敗し、多額の負債を抱えていたのは有名な話である。ドン底から上がって、下がって、また上がってと、”失敗は成功の母”を地でゆく波乱万丈な人生だ。

 偉人の失敗は、実に成功のための重要なプロセスであった。『失敗の教科書。』(扶桑社)は、広告会社勤務のコピーライター・宮下裕介氏が、偉人・著名人の失敗談を集め、まとめた本だ。手塚治虫、ココ・シャネル、ケインズなど、各界の頂点に上り詰めた17人の”成功者”が、どういった失敗をし、その失敗をいかに乗り越えてきたかを紹介している。注釈やイラストが多数添えられた読みやすい本だ。

 アップルの創業者にして現CEO、スティーブ・ジョブズの失敗が面白い。1976年、アップルを設立したジョブズは、「Apple II」「Macintosh」の成功により、アップルを世界有数の大企業へと成長させる。経営のプロが必要だと考えたジョブズは、ペプシコーラの社長であったジョン・スカリーを招聘するが、次第に二人の経営ビジョンは対立していき、ついにジョブズは取締役会でクビを宣告される。アップルをクビになったジョブズは再起を懸け、ネクスト・コンピュータを設立。OS「NEXTSTEP」を開発し、成功を収める。そのころ業績不振に陥っていたアップルにネクスト社を売却することで、ジョブズは11年ぶりにアップルに復帰する。その後、ジョブズはドラスティックな改革を進めてアップルの業績を回復させ、「iPod」「iPhone」などを発表し、現在の大躍進に至る。

 のちにジョブズは当時のことを振り返ってこう言う。

「当時はよく分からなかったけれど、アップルをクビになったことは、私の人生に起こった最良のこと(the best thing)だったのだと思う。」(本文より)

 ジョブズの他にも、コンペで負け続けた安藤忠雄、羽生善治・痛恨の一手、「死の商人」の汚名を着せられたノーベルなど、興味深い話は尽きない。

 これら17人の偉人に共通して言えるのは、「失敗を失敗だと思わない」ことであり、失敗をさらなる飛躍へとつなげている点にある。他者から見れば失敗でも、当人の捉え方次第でそれはポジティブな出来事となる。この『失敗の教科書。』は、失敗について書かれた、これまでの成功マニュアル書とは一風変わった本だ。仕事で大きなミスをしてしまった人も、この本を読めば、そのミスを糧に前進する勇気が湧いてくることだろう。
(文=平野遼)

●みやした・ゆうすけ
1965年生まれ、東京都出身。コピーライター・CMプランナー・WEBプランナー。あらゆる領域の広告クリエイティブを手掛ける。広告会社の社員として働くかたわら、著述業にも取り組んでいる。著書『海外経験ゼロ。それでもTOEIC900点』(扶桑社)は、5万部のロングセラー。

失敗の教科書。

あきらめたら負け。

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最終更新:2013/09/12 17:53
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