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【第27回】小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談

山路徹さんの至言「バラエティーが怖いようでは戦場に行けないですよ」(後編)

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前編はこちらから

――あの、ちなみに、もう聞かれ飽きたとは思うんですが、麻木さんと大桃さんのあの騒動で世間を賑わせていた時は、「ジゴロ」とか「ヒモ」とか、本業の戦場ジャーナリストとはまったく関係ないひどい話題で週刊誌にバンバン出てましたけど、書いてあることがほとんどデマだったっていうのは本当ですか?

山路 そうですね、それはもう、僕の不徳の致すところでもあって……。というか、ああいうことが起こると、あらためて「これをしゃべったのはあいつで、こっちの記事はあいつだな」っていうのが分かるなぁと思いました。要は、モテる奴はそういうことをしゃべらない。「どうしようもないな」って奴に限って、ベラベラしゃべるわけ。自分が不幸を背負ってると、人の不幸で笑いたくなるんですよねー。

――耳が痛いです! 私も完全に他人を妬んでひがんで生きている側の人間ですけど、さすがにデマをリークしたりはしないですよ! ひがむだけで足は引っ張らないのがポリシーですので!!

山路 ただ、今までの人生を振り返って、僕はわりかし同性からは嫌われてるんですよ。例えば僕が『ニュースステーション』(テレビ朝日系)にいた時は久米宏さん、『ニュース23』(TBS系)の時は筑紫哲也さんや鳥越俊太郎さん、そういう目上の人たちが僕をかわいがってくれて、引き上げてくれたのね。それが同世代の人たちは気に入らないみたいですよ、何でかね? 僕なんかいつも自分のことで精いっぱいで、わざわざ他人に関心をもつ余裕も時間もないですよ。だって、つまらないでしょ? 他人のことなんて。

――まぁ、自分の人生がつまらなすぎると、人の不幸に乗っかるという嫌な遊びをするようになるんですよ、心の貧しい人は……。それにしたって、ミャンマーで身柄拘束までされてたのに、ぜんぜん関係ないところで話題になってびっくりされたんじゃないですか?

山路 そうですよ、本業の方がずっと公益性が高い内容なのに、そっちはほとんど報道してくれなくて、僕らの個人的な、まったくもって下世話な、犬も食わないようなものばかりを(笑)。

――テレビの前でせんべい食べながら「最低~」って言いやすいからでしょうね。まぁ、私も見てたんですが。

山路 ははは。でも、そういう「最低~」って言ってホッとしたり、ストレスを解消したりする人が少なからずいるってことですからね。メディアというのは、世の中を映す鏡ですし、それが今の日本なのかな……。

――特に「週刊文春」(文藝春秋)は「最低の戦場ジャーナリスト」なんて言ってずいぶんいろんなバッシングをしてましたけれど、コンビニの18禁棚にあるゴシップ誌ならまだしも、あんなしっかりとした名前のある雑誌に書かれたら、つい信じてしまいますよ!

山路 週刊誌はね、多かれ少なかれそういうところはありますよ。でも、これも経験だなって。テレビもそうですよ。報道番組でも「あ、そんないいかげんなこと言うんだ」ってこともありますし。痴漢の冤罪なんかもそうですよね。裁判官が下した有罪判決が間違いということは、被告にしか分からない。だから、僕が最近思うのは、すべてのストレスや悩みの根源は、「自分を分かってもらえない」という部分が大多数なんですよ。「分かってほしい」「なのに分かってくれない」という気持ち。恋人同士や家族にしても、個人と世間にしても、もう「分かってもらう」ってこと自体が無理。そういう気持ちを捨てたら、ものすごく楽になりますよ!

――うーん、でも、そんなに簡単に捨てられますか? それってすごく難しくて寂しいような……。

山路 だって、いくら説明したって分かんないことは分かんないし、分かり合えないのが当たり前なんだから、その中でどう共存していくかを考えないと。

――割り切った上で、どう居心地良く共存するかですね。やっぱり難しそう……。けど、そう考えると山路さんはあの騒動以降、バラエティーに出たりしていい具合にメディアと共存していますね! バラエティー番組でいじられることに対して、抵抗はなかったんでしょうか?

山路 前に『サンジャポ』(TBS系)に出た時、爆笑問題の太田光さんとエレベーターが一緒になって、太田さんに「山路さん、よく出ましたねぇ、『サンジャポ』」って言われてね。「バラエティーが怖いようでは戦場には行けないですよ」って答えましたよ(笑)。バラエティー出るなんて、戦場でぶっ殺されるかもしれない怖さに比べたらなんてことないですよ!

――そんな危険地帯と比べられたら、もう何も言えないですよ!

山路 僕も今まで、2回3回仕事の現場で死にかけたのね。銃口を突き付けられて、「もうダメだ」っていう瞬間に何をイメージしたかって言うと、自分が撃たれて倒れてる姿と、「え? 俺の人生ここで終わるの? カウントダウン? まだ何もしてないのに!!」っていうことなわけ。僕はその時点で、番組を作ったり本が売れたり、かなり他の人とは違う経験をしてきたはずだよ。なのにそう思うってことは、どんなに素晴らしい人生を送っても、最期はそう思うものなんだよ。だから、あんまり小さいことにこだわってウジウジしていると、前に進めないどころか、自分の人生を台無しにしてしまうよ。それなら、僕は自分の身に起きることをすべて人生のスパイスとして楽しんでしまおうと思うしかなくてね。あの騒動があって、このまましゅんとして、「不倫ジャーナリスト」「ヒモ」「ジゴロ」と言われたままにしていたら、そこで終わっちゃうわけでしょ?

――確かに、ワイドショーや週刊誌は、そういうおいしいところだけ騒いで、悪いイメージだけ残して撤収するけど、山路さんはテレビにも雑誌にもネットにも残ってるというか、むしろ出まくってますよね。

山路 バラエティーだって何だって、面白そうじゃない? 多少は遊ばれたりいじられたりするんだろうなって思うけど、僕は自分がテレビを作ってきた人間だから、自分がどう演じたらいいか分かるし、どうやったら視聴者が喜ぶかも、何となく見えるし。おかしな仕事がたくさんあるんだけれど、そういうものも含めて楽しんじゃう。

――なんだかすごい人生になってきましたね!

山路 そもそも、僕は計画的に人生を歩んでこなかったから、それが良かったのかもそれないね。もし一流大学を出て官僚になって、政治家になるのを夢見てきた人だったら、あの騒動の時に「俺、終わったな」って思うだろうね。でも、元から計画してない僕の場合は「悪いけど、俺はそんなもんじゃないよ!」って自分でチャンスに変えたり、踏み台にして大きくなることも出来るわけですよ。何かトラブルや大きな出来事があった時こそ、何かを学んで成長できるんだから、無計画なのも悪いことじゃないんだよ。そのぶん人生のアップダウンは激しいけど、楽しいよ!

――山路さんのはレアケースすぎますけどね! しかし、本当にエンジョイしていらっしゃって、お話しているだけで元気が出てきました! トラブルを利用して成長かぁ。実践したいけど、今のところ人生が平坦すぎて……ちょっとその辺のホテル街を一緒に腕くんで歩いてもらって良いですか? 多分すぐに誰かが「山路徹が女とホテル街に!!」って、Twitterにアップしてくれますから、売名させてください。

山路 ははは! 最近は写真まで貼られるからね! 面白そうだ、いつでも協力しますよ!

――女性的にも大桃さんに麻木さんっていういい女の次はかなりプレッシャーですが、次回の結婚のご予定はないんですか?

山路 結婚はいつだって視野に入れてるよ。たいてい「いやぁ、もうしばらくはちょっと……」って言うでしょ? そんなの、つまんないですよ! 今までがどうかは関係ないって! 魅力は人それぞれ違うもんね!

――じゃあ、そのうち私も、猫耳つけて傷だらけのメイクで自宅前に行き倒れに行くので、ちゃんと保護してくださいね!

山路 はいはい、喜んで(笑)。
(取材・文=小明)

●やまじ・とおる
1961年、東京都生まれ。ジャーナリスト。テレビ番組制作会社を経て、92年に独立系通信社「APF通信」を設立し、同代表取締役に就任。世界各国の紛争地域を中心に精力的に取材している。近年はワイドショー、バラエティー番組にも多数出演中。

●あかり
1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中

ゴン太ごめんね、もう大丈夫だよ!

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最終更新:2018/12/19 15:00
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