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『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』公開記念小明の突撃インタビュー

「ぬるま湯もウソではないけれど――」入江悠監督『SR3』が叫んだボンクラたちの夢の後先

入江 いや、すごい頑張って1年がかりで書いたんですけど、書き込みすぎて想定よりもかなり分厚くなっちゃって、手に取りにくくなったんですよ。そのせいか、全然売れてないし……。せっかく表紙も『デトロイト・メタル・シティ』の若杉公徳さんが描いてくださったのに。

――そうなんですか……。でも、映画では描かれなかったイックたちの陰鬱な高校時代の話は本当に素晴らしかったです。勉強ができなくてグレる気力もないけど性欲だけは余ってる、みたいなリアルさ。監督がどんな学生時代を送られたのか興味津々です。

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入江 僕は、中学はもう動物園みたいなところで、高校は男子校です。平和というか「週刊少年ジャンプ」みたいな生活ですよね。ステイタス持っているやつが偉い。基本、ぼんくらでした。

――男子校ですか。そういえば以前、『SR』のイベントのゲストに呼んでいただいた際、『SR2』の女の子たちが「こっちは仲良くやりたいと思ってるのに、監督やイックたちはいつも男子だけでキャッキャやってて入る余地がない」と言っていましたね。

入江 そうなんですよ。男子校出身なんで、女子と距離をつめるのが苦手なんです。大人になっても全然苦手です。小説ではイックの高校は共学なんですけど、それも全部妄想。同じ教室で女子と席が並んでいるとか、想像もできないですからね。中学の頃の記憶をかろうじて思い出しながら書きました。

――イックは女子に対する警戒心も半端ないですよね。ひょんなことから仲良くなったスクールカースト上位の小暮千夏(みひろ)に対する「お前の完璧な自己演出の手段になってたまるか」みたいな捻くれた受け取り方がすごい(笑)。

入江 「こんな子が俺のところに来るわけない」ってやつね。

――映画の長回しのシーンのふとした間とか、俳優の呼吸と呼吸の間にはこんなに色んな葛藤があったのか、と驚きました。

入江 故・川勝正幸さんに「イックってこんなIQ高かったんだ!」って言われて。それも、まぁ、小説で書いていたら、つい自分のこととリンクしてきちゃってね……。

――やっぱり、イックはご自分がモデルなんですか?

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