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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.181

“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』

 カンは自分の目を疑った。障害を持つ児童への“躾”という名目での体罰が尋常ではないのだ。パク教師は男子生徒ミンス(ペク・スンファン)に向かって「何で言うことを聞けない? どうして心を開かない?」と流血するまで殴り続ける。女子生徒のヨンドゥ(キム・ヒョンス)は生活指導の女性教師から、作動中の洗濯機の中へ顔を押しつけられている。世間の目から隔離された学園内では、過剰な体罰が日常化していたのだ。驚いたカンは、ぐったりしているヨンドゥを病院へ連れていく。学園関係者のいない病室でヨンドゥが筆談で語った内容は、カンにとって驚愕の事実だった。ヨンドゥや知的障害を持つユリ(チョン・インソ)ら複数の生徒は、校長をはじめとする教職員たちから性的暴行を受けているという。人権センターのソ・ユジン(チョン・ユミ)と相談したカンは、事件の全貌をマスコミに公表することを決意。ようやく見つけた職場をクビになる覚悟での決断だった。さらに闘いの場は法廷に移り、虐待を受け続けた生徒vs.学園側の全面抗争へと発展する。

togani_2.jpg『コーヒープリンス1号店』の人気二枚目
俳優コン・ユ。2009年に出版された原作
小説を読み、映画化を働き掛けた。

 実在の事件を社会派エンターテイメントに仕立て、観客のエモーションを掻き立てさせる手練は、韓国映画は抜きん出たものがある。前半は“社会派ホラー”と称したくなるエログロシーンの連続だ。男子生徒ミンスはパク教師のホモハラの餌食となり、一緒に入浴することを迫られる。校長室ではいつもニコニコした温和な校長(チャン・ガン)が、放課後はニタニタした変態ロリコンオヤジと化す。校長室から逃げ出したヨンドゥを女子トイレへと追い詰めていく校長の笑顔が不気味すぎる。学校という密室的環境の中で、ターゲットにされた子どもたちはどこにも逃げ場がない。子役たちの熱演もさることながら、題材となった事件のおぞましさを伝えるために、ギリギリの描写に取り組んだスタッフの熱意もハンパない。

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