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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.181

“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』

 学園ホラーから一転して、後半は本格的法廷サスペンスに。カンは好奇の目にさらされることになる裁判に子どもたちを引っぱり出してしまったことを後悔するが、証言台に着く生徒たちの顔は知らない間に激変していた。それまでの怯えきった表情から、毅然とした顔つきに変わっていく。学校しか自分たちの生きる場所はないと思っていた子どもたちが、学校の外にも世界があることを知る。煮えたぎる血の池地獄のようだった学校を離れ、“生きた教育”に触れた子どもたちが輝き始める。例え裁判所はシビアな闘いの場であっても、自分たちがこれまで受けてきた虐待の全てを吐き出したい。明るい太陽の下で、自分の想いをちゃんと訴えたい。対等な立場で、自分をなぶりものにしてきたヤツらと最後まで闘い通してみせる。大人たちが驚くような記憶力と判断力で、子どもたちは暴力教師を糾弾していく。傍聴席では学園の卒業生たちが声にならない熱い声援を送っている。ちなみに、この場面でのエキストラには、実際の問題になった学校の卒業生たちが参加しているそうだ。

togani_3.jpg本格的法廷サスペンスとなる後半。聴覚障害
を持つ女子生徒ヨンドゥ(キム・ヒョンス)
は判決を左右する“切り札”を握っていた。

 当然ながら、したたかな校長たちは様々な妨害工作を仕掛け、カンたちは正義とは大きく掛け離れた不条理な現実を思い知らされる。それでも子どもたちは、法廷で過ごしたわずかな期間に瞬く間に成長を遂げていく。子どもたちは学校の外には広い世界があることを知っただけでなく、その広い世界は自分たちにとって単純なユートピアではなく、やはり不条理さに満ち、違った形の暴力があることも学んでいく。そして、激しい怒声、罵声が飛び交うクライマックス。実際の事件の被害者となった児童たちの痛み、怒り、哀しみを主人公カンは全身に浴びたかのようにズブ濡れになる。

 2009年に発刊されたノンフィクション小説『トガニ』をベースに映画化に取り組んだファン・ドンヒョク監督が来日。7月24日、都内で開かれたトークイベントで次のように語った。

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