日刊サイゾー トップ > その他  > 東京国際ブックフェアに本がないワケ
出版社の出展が激減した本当の理由

本がない!? 東京国際ブックフェアで見えたどん底の出版業界

「11年は大震災のため、出展を予定していた出版社が見合わせる、いわゆる自粛ムードがあった。しかし、キャンセル料が発生するため、主催者と多少のトラブルがあったようだ。それに抗議する意味で、今年の出展を見合わせた社もあったのではないか」

 また、別の出展社社員は「出版社が共同のブースで出展することに、主催者側が様々な注文を付けてきた。ブース内での公開セミナーについても、色々と内容ややり方を制限するようなことを言われた。その交渉が嫌になって、今回は見送った共同ブースもあるようだ」と話す。

 しかし、この手のトラブルはたびたび発生するもので、その影響は短期的なものであろう。問題なのは、ここ数年の出版社による単独ブースでの出展だ。減少傾向にある原因を、中小出版社の営業担当者はこう語る。

「同フェアに出展するメリットが見えないのが本当の問題だろう。かつて、海外の出版社向けに出版物の版権販売を行う場という名目で東京国際ブックフェアは開かれてきた。しかし昨今では、すでにTIBFが開かれる頃には海外出版社との版権交渉は済んでおり、今更、TIBFで交渉する必要もなくなった。そのため、版権の売買を求める旨のプレートをブースに掲げる出展社もほとんどなくなった」

 たしかにTIBFのスタート時は、世界最大のブックフェアと言われるドイツの「フランクフルトブックフェア」をみならって、版権売買の場であった。しかし、先述のような状況になり、その機能は薄れていった。これではいけないと、主催者が次に掲げたのが書店と出版社との「商談会」の場という機能だ。

 しかし、ある中堅出版社の営業担当者は「商談会がスタートした頃は、弊社も取り組んでいたが、会場に来るのは現場の担当者ではなく、役員や社長クラスが多かった。発注権限がある店舗の担当者が少なく、出展費用と効果を考えると、営業マンが地方に出張して注文を取ってきた方がはるかに効果的だ。それに加えて最近、首都圏と大阪で書店主導による商談会というものも始まった。それが今年は九州地区にも広まった。多くの出版社は、商談会はここでと考えている。というのも、出展費用がケタ違いに安いからだ」

 一方で、こんな意見もある。

「番線印(本を発注するために必要な印鑑のようなもの)を持ってきた書店さんもいた。こうした書店さんの来場が増えれば、商談会の場として会を行う意味はある。だが、今回はそうした人は極少数だった。とくに最近は書店業界も疲弊していて、地方の書店さんは2年に1度など訪れる頻度が少なくなり、送りこむ書店員の数も減らしている」(出展出版社のブース担当者)

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