日刊サイゾー トップ > カルチャー >   > 規制国家ニッポンの根っこに迫る
風営法によるクラブの摘発、違法ダウンロード刑罰化、脱法レバ刺し……

“規制国家ニッポン”の根っこを見据える『踊ってはいけない国、日本』

odotteha.jpg『踊ってはいけない国、日本
風営法問題と過剰規制される社会』
(河出書房新社)

 世界中のどこにでもあるような、とある国の物語。ある日、その国で「茶色以外のペットは飼わないことを奨励する」という奇妙な法律が制定される。茶色の犬や猫のほうがより健康で都市生活にもなじむ、というのがその理由だ。毛の色が茶色じゃない犬と猫を飼っていた主人公とその友人は、違和感を覚えたり、自分のペットを安楽死させなきゃいけないことに胸を痛めたりしながらも、「まあ、しょうがないか」と、そのことを受け入れる。

 それからも、いろんな言葉に「茶色の」という形容詞が自主的につけられるようになったり、新聞が発行停止になったり、少しずつ日常は変わり続けていく。「なんだか嫌だな」とか「心配しすぎかな」とか「でもそれで守られた安心も悪くないかな」とか、いろんなことを思いながらも、主人公とその友人は変わらない平穏な毎日を過ごし続ける。しかし、ある日突然、主人公は「過去に茶色以外のペットを飼ったことのある人」も自警団による取り締まりの対象になったことを知らされる。そして次の日の朝、彼は自宅のドアを強くノックする音で目が覚める――。

 これは、心理学者フランク・パブロフの著による『茶色の朝』のあらすじ。ファシズムや全体主義を批判する寓話として1998年にフランスで刊行されたこの本は、排外主義を唱える極右政党が大きく躍進した2002年のヨーロッパの社会状況を背景に、03年、フランスでベストセラーを記録した。この『茶色の朝』と、ここで取り上げる『踊ってはいけない国、日本 風営法問題と過剰規制される社会』(河出書房新社)の内容とは、直接的な関連はまったくない。けれど、この一冊に寄せられたさまざまな論考を読んでいると、まるでデジャヴュのように『茶色の朝』の風景が頭をよぎる。「何かおかしなことが起こっている」ということには、実は多くの人が最初から気付いている。そういう人は、違和感や嫌悪感もちゃんと持っている。でも、日々の仕事もあるし、自分が直接的に関係することでもないし、決まったことを覆すのは覚悟がいるし、何よりきちんと問題にコミットするには労力がかかるし。そういうわけで、ほとんどの人が「まあ、しょうがないか」とそれを放っておく。そうしているうちに、「何かおかしなこと」=社会から異質なものを排除しようとする動きは徐々に拡大していく。それが、10年前のヨーロッパで、そして今の日本で起こっていることだ。

123

“規制国家ニッポン”の根っこを見据える『踊ってはいけない国、日本』のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

テレビウォッチャー・飲用てれびの『テレビ日記』

テレビの気になる発言から、世相を斬る!

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

腹筋王子カツオ『サイゾー筋トレ部』

“腹筋インストラクター”腹筋王子カツオさんが、自宅でも簡単にできるエクササイズを紹介!

イチオシ企画

[月刊サイゾー×LINE LIVE]誌面掲載争奪オーディション結果発表

人気ライブ配信アプリと「月刊サイゾー」がコラボするオーディション企画開催中!
写真
人気連載

Creepy NutsのR-指定が痛風に…

 こんにちは。ラジオ書き起こし職人のみやーん...…
写真
インタビュー

橋本梨菜、「ムチで思い切り叩いて」に衝撃…

世界中のどこにでもあるような、とある国の物語。ある日、その国で「茶色以外のペットは飼わな...
写真