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「どうやってセックスすればいいの?」当事者たちの生の声が満載『身体障害者の性活動』

「そもそも、まず障害者に“性の問題”があることに気づいている人は、まだまだ少ないんです。障害者が、そうした問題を相談して解決することができるのは、家族でも友人でもなく、専門職のセラピストのはずです。ところが、セクシュアリティの専門教育を受けたセラピストなんていないんです」

 つまり、ありのままの現状を記した時にまずあるのは、「セックスしたい」「マスターベーションしたい」と思っているにもかかわらず、できないし相談相手もいない障害者がいるということだ。

「障害者が一人で日常生活を送れるよう、リハビリではお尻を拭くといった訓練は行われます。ところが、どうやってマスターベーションをするかは訓練の範疇にないんです。私も手に障害がありますが、マスターベーションのやり方を教えてもらったことはありません」

 ゆえに、書籍化する時にまず必要だったのが障害者のニーズ、どのようなことに困っているかをリサーチすることだった。

「当初、“障害者の方にも実名で執筆してもらいたい”というアイデアもありましたが、それは無理でした。なぜなら、本名で性の問題を語ることができるほどの土壌が日本にはないからです。そこで、ペンネームでもよいので執筆してもらうことになったんですが、それでも問題は残りました。というのも、症例の少ない障害だと、誰が執筆したか匿名にしてもわかってしまうからなんです。本人が執筆したがっていても、家族に反対されて断念した例もありましたね」

 2年余りの時間をかけて、断られたら次の依頼へと順繰りに繰り返し……結局、執筆に応じてもらえたのはコンタクトをしたうちの半分くらいだったという。こうして出来上がった本書の価値を、熊篠さんは語る。

「現状、“障害者の性”は極めてプライベートなものとして扱われていて、セラピストですら介入したがらないんです。つまり、タブーにすらなっていないといえます。それを、ちょっとでも変えることのできる契機になればよいのかと思います。私の使っているような車椅子は、遊びの道具じゃないという先入観があると思いますが、考えようによってはアトラクションじゃないですか? 車椅子の上でのセックスなんて、お金を払ってもなかなかできないでしょう。ディズニーランドよりも希少価値はありますよ」

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