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MKタクシー、低運賃の秘訣はブラック体質?経費全額ドライバー持ち、過酷研修?

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。

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MKタクシー、低運賃の秘訣はブラック体質?経費全額ドライバー持ち、過酷研修? – Business Journal(2月1日)

「Thinkstock」より

 世の中には「ブラック企業ランキング」「不人気企業ランキング」といったものが存在する。しかし、ブラック企業アナリストの新田龍氏によれば、「ブラック企業」に該当しない企業が含まれていることがあるという。内情は優良企業でさえあるのだが、その企業が属する業界や、一部の個別企業によるダーティなイメージが投影されている可能性があるためだ。新田氏がそのような企業を取り上げ、「何がブラック企業イメージの原因か」「実際はどうなのか」について、多角的に分析していく。  

 今回は「MKタクシー」(以下、MK)を取り上げる。先日京都出張の機会があり、MKタクシーにはさんざんお世話になった。流しのタクシーは数あれど、私は必ず♥マークのMKが来るまで待って車を止める。同じ金額を支払うなら、絶対MKが良い。それくらい、他のタクシーとのサービス差は歴然なのである。

 しかし同社は、最新の「2012年度版 ブラック企業ランキング」において、「ヤマダ電機」「サカイ引越センター」「ALSOK」などと並んで、堂々の偏差値70を記録している。この偏差値はトップが75のため、ワースト5位集団ということだ。タクシー会社はごまんとあるのに、なぜMKだけが特筆されているのか。これには、同社が良くも悪くも目立つ存在であり、ニュースになりやすいことが原因のひとつであろう。今回はあまりフォローになっていないかもしれないが、「ユーザーにとって良いサービス」を提供する会社がブラック化してしまう仕組みをご説明させていただく。

 同社は1960年に京都で「ミナミタクシー」として創業。その後、「桂タクシー」と合併し、頭文字を取って「MK」とした。独創的な経営・サービスで京都のタクシー会社の大手の一つとして成長し、タクシー業界における規制緩和のきっかけをつくった会社と認識されている。マスコミからは「業界の風雲児」と称されることも多い。

 具体的には、

 ・ハイヤー並みのドア開閉サービス
 ・ドライバーを大卒者から採用 
 ・禁煙車
 ・きもの割引
 ・接客研修
 ・一流デザイナーによる制服
 ・同業経験者からは採用しない
 ・京都・観光文化検定&外国語検定取得ドライバー
 ・空港乗り合い定額タクシー
 ・GPS無線自動配車システム

など、既存事業者からは出てこなかったアイデアを次々と打ち出した。また、同業他社と比べて安価な運賃と接客レベルの高さも伴い、「予約が多いタクシー会社」=「実働の乗車率が高く、効率的な経営ができている会社」と高く評価されている。

 一方では、同社に対する厳しい見方も呈されている。

(1)MKグループの離職率の高さ。
 
 同社広報担当はその理由について「社員教育などが厳しいため」と説明しているが、現実には労働基準法で定める水準にも満たない労働条件や、朝から全員大声を出したり拍手の練習をしたりといった独特の社員教育、特有の社風に疑問を感じて退職していく者たちがいる。

(2)既存事業者や事業者統括団体などと摩擦が絶えないことから、「業界の和を乱す」という批判。

(3)タクシー業界未経験者を採用するにあたり、研修は接客マナー中心となってしまっているため、運転技術不足、地理不案内等の指摘がなされている。

 こうしたレベルであれば、ある程度は他のタクシー会社でも同様の状況があるかもしれない。

●国会でも問題点が指摘される

 しかし同社には、フォローしきれないブラックな部分があるのだ。この問題は実際に国会(第171回国会 衆議院国土交通委員会<2009年6月9日>)でも追及される事態となった。委員から指摘された事項の要旨は次のとおりだ。

・累進歩合制の給与体系により、京都府所在企業の中で、社員が極めて長時間の労働を強いられている実態がある。

・車両の「リース制」と名乗るシステムにより、実質的な「名義貸し」状態になっている。

 本来、事業を行う上で発生する損失等のリスクは会社側が負うべきなのに対し、MKのシステムではリスクを運転手が負担することになってしまうのだ。

 実際、同社運転手が負担する固定経費の中には、車両費や社会保険の事業主負担分、車両保険費が含まれている。さらに変動経費には、燃料費、修理部品費、制服費、メーター費、シートカバー費まで含まれている。実質的に、タクシー事業に必要な経費は、すべて運転手が負担するという仕組みになってしまっている。

 同社において「増車」と「低運賃」が両立できているのは、ひとえにこの「累進歩合給」と「事実上のリース制」による。収益が減るリスクは運転者に負わせ、運賃値下げもしくは増車によって一台当たりの営業収入が減っても、台数を増やすことで経営側は売上を維持ないしは増加させることができる仕組みになっているのだ。

 同社は求人広告においては、

「基礎研修中約2週間は日給8,000円」
「基礎研修後3カ月間は最低保証給制、最低保証給30万円/月(3カ月間)」

と明記している。確かにその数字は嘘ではないが、3カ月終了後は歩合給制に移行し、必要経費などがどんどん差し引かれてしまう。場合によっては天引き分ですべての給与がなくなってしまい、「給与0」になってしまうという事例も発生したくらいだ。

 つまり違法、もしくはグレーゾーンな方法により、従業員に迷惑をかけているという、私のブラック認定基準に当てはまってしまう……。残念だが、この事実についてはフォローできない。同社はこのような搾取的仕組みで利益を出し、増車と低運賃を実現してきたのである。

 京都のMKの場合、他の一般タクシー会社の運賃が初乗り640円のところ、580円である(小型車の場合)。しかも呼んで停車すると、運転手さんが中から飛び出してきてドアを手で開けてくれる。降りるときも同じである。目的地を告げると「どの道を通りましょうか」と確認してくれる。ここまで徹底しているところはあまりない。

●厳しい研修で、できない人を振り分ける

 MKの研修では、ベテラン乗務員でさえ、車のブレーキの踏み方から、荷物のトランクへの運び方、お客様の乗車のさせ方など、もう何年もやっている基本を繰り返しチェックされ、指導される。同じ動作の繰り返しだ。かなり厳しい研修といえよう。また同社は、自分たちの会社をタクシー会社だと考えておらず、「一流のサービスを提供するサービス会社」と定義している。経営陣への過去のインタビュー記事などでは、次のような発言が見られる。
 
「ありがとうございます。という言葉を言わないのは、社員側に問題があるわけではなく、経営側に問題がある。それは本人が悪いというより、それを教育しない管理側に問題がある」

「クレームに対しては管理者側がその引き起こした社員と一緒になって、一緒の血を、汗を流すというスタンスでないと、いくら表面だけ取り繕ってもダメだ」

「当社では最初の時点で、できる人とできない人をはっきりと分ける。できる人だけが次のステップに進めるようにし、自ら学んで進むという意識を身につけてもらう。なぜなら、歩合制だから。売上目標の設定であるとか、体調管理などのコントロールやマネジメントは、すべて自分でやらなければいけない」

 ちなみに東京MKの「タクシー運転手として専任する前の10日間の指導研修」では、17%がその時点でドライバーをあきらめるのだという。事前研修によって入社後のミスマッチがなくなるのはよいことだが、入社して本当に報われるかどうかは本人次第だ。「安価なサービスを求める消費者によって、劣悪な労働条件が強化される」という論調がある。その考え方に従えば、私自身も同社サービスを愛用することによって、同社の悪辣な労働実態強化に加担している形になってしまう……。

 これは考えなくてはならないテーマである。
(文=新田 龍/ブラック企業アナリスト ヴィベアータ代表取締役)

【今回のフォロー企業】MKタクシー
 ブラック度 ★★★★★  
 サービス優良度 ☆☆☆☆☆
(☆=優良度 ★=ブラック度 5段階評価中)

※本稿は、新田龍氏のメルマガ「ブログには書けない、大企業のブラックな実態」から抜粋したコンテンツです。

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最終更新:2013/02/27 14:00
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